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ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。 最初から読む ひとつ前の記事を読む
シンガポール同様に、多民族国家と言われているマレーシア…それぐらいしか予備知識がないままにひとまず電車の駅へと向かう私たち。実は昨日、そこで待つよう指令のメールが来たんだ。何を隠そう今回は、旅のナビゲーター付きなんだよ〜やったね!
そう、昨日から知人のおじさんにシンガポール・マレーシアと、立て続けに観光案内してもらっているんだ。彼は普段からシンガポールに住んでいるので土地勘もあり、頼れる存在。電車の乗り方なんかも全部わからないままに全てお任せしてしまっていた。うん、たまにはお任せコースの観光も楽でいいもんだ。おじさん、お世話になります!

電車は最新のような流線型をしていて、見るからに速そう。そんな電車とは対照的な、何ともローカルな雰囲気漂う駅から電車に乗り込んでみる。始発駅だからなのか車内はおもいっきりガラ空き、この電車ってちゃんと国民に使用されてる?ってくらいに閑散としている。そして走り出した窓からの風景は、草、草、草、木、草、草、建物、草、草。どこまでも草原が続くなあといったイメージ。
そうそう、電車といえばアレだ。例によって電車の中にある注意表示をチェックしてみる。あったよ、発見。動物持ち込み禁止や危険物の持込禁止…なるほど。けどその隣にあるカップルの絵に、赤丸に斜線の禁止マークが。どうやら車内でいちゃつくのは禁止らしい。へぇ〜面白いなって思ったけど、そういえばとふと思い出した。宗教上の問題かな、イスラム系だったらそういう戒律みたいなのあるよね。世界のルールは想像もつかず幅広い。


始発の駅からのんびりと車内で過ごして1時間くらい経ったかな、いきなり窓の外が草、草的世界から一変して、建物、建物、建物、草、建物、向こうに高層ビルってな具合になってきた。突然世界が180度大きく切り替わったというか、その変化の差の激しさにすごく驚いたんだ。発展の仕方が見事に一極集中型なんだね。そんなこんなでマレーシアの首都クアラルンプールに到着した私たち。
あの〜、これ間違ってません?
突然の大都会。出発時の風景との余りの違いに目を疑いながらも、ひとまず首都クアラルンプールの街を散策してみようということで、有名なツインタワーの辺りから観光を開始することにしてみた。

駅の階段を地上に出たと思ったらおじさんがニコニコ顏で、「これがツインタワーだよ」って目の前の上空を指さした。おお、これが…とりあえず記念写真でも撮っておくか。そう言いながらおのぼりさんのようにポーズして写真を撮りまくる私たち。時間をかけてようやくひと通り撮り終えて歩き始めると、あれ?その隣にも同じくらいの高さのビルが…っていうか、これがツインタワーなんじゃない?
よくよく見てみると、さっきまで写真を撮ってた二棟のうち片方のビルは、ツインタワーの横にある何の関係もないビルだった。えーっと、間違えた?だけどおじさん、さっきこれだよって指差したよね?私たちが目で訴えかけようがおじさんは全く気にしていないようだ。なるほど、その大雑把な感じってアジアよね。
気を取り直してもう一度、笑顔でひと通り写真を撮りなおす私たち。今度はおじさんにもポージングを強要しつつ、おのぼりさんフォトを撮り終える。そして余韻を味わう間もなく、撮り終えた瞬間にササッと移動してもう次の場所へと向かう、私たちのこの興味の薄さ…ツインタワーを間違っていたことによく気付いたねって程だわ。

そうそう、このツインタワーにまつわる話なんだけどさ。20世紀の超高層ツインタワーとしては最も高いこの建物なんだけど、ちょっと驚きの話があるんだ。
この世に高い場所がある限り、登ろうとするのはクライマーの宿命なんだろう。フランスのスパイダーマンことアラン・ロベール…フリークライマーの彼はこのツインタワーに三度のチャレンジを試みた。何と素手の命綱なしで壁を登り、そのうちの二度は60階までいったという話だからその本気っぷりは半端ないよね。三度とも逮捕されて強制終了という、ちょっと切ないような可笑しいような逸話のあるこのタワー。観光でここに来て、上を見上げたら人が壁にぶら下がってたなんてマジ怖いけどね。
他にも、建設を日本と韓国で二棟を、フランスがスカイブリッジを受け持ったというグローバルさでも有名なこの建物。夜になるとライトアップされ、そのイスラム様式のフォルムが明るく縁取られてとても美しいらしいよ。
そんなに見つめられても…

イスラム街でモスクの写真を撮っていたら、太陽の見える感じがなんだかモヤっとしてるなって気づいた。時間も夕方ってわけでもないのに薄暗くって何だか変なのって思ってたら、これってヘイズ(煙害)っていう大気汚染なんだって。
インドネシア近辺の野焼きや森林火災が発生源って言われてて、大気汚染がひどい時には学校施設も休校になったりするほどらしいんだ。結構深刻な問題になってるっておじさんも言ってた。よその国から風に乗ってやってくる公害…これってどうにも難しい問題だよね。だけど今それを考えてもしょうがない。限りある時間だ、ワクワクも探してみよう。

この日はイスラム街を歩いたんだけど、カメラを向けるとみんないい笑顔をしてくれたんだ。女性は布で頭を覆って隠しているくらいだから、ちょっと気をつけてカメラはなるべく向けないようにしてたんだけどさ。男性はこぞってみなさん素敵な笑顔だったなぁ、ちょっと気取ってみたりして何だか愛らしい。
同じイスラム系でも、国や場所によって反応が違うのが面白い。マレーシアに住む彼らはどこか人慣れしている感じがしたよ。多分色んな国の人たちが混じった国際的な土地だから、独特な、敬虔でシャイな感じがあまり感じられなかったのかも知れないね。中華街も同じく人でいっぱいだけど混沌とした雰囲気ではなくて、賑わってはいてもどこかマイペースな空気感だった。

歩いていたら、タバコ屋のお兄さんたちが大きなアクションでこっちに向かって手招きをしてきた。何があるんだろうって近寄ってみたら、いきなり電子タバコを大きく吸い込んで、煙を横にフーッと吐き出した。で、私をじっと見る。もう一度、吸い込んで吐き出してまたじっとこちらを見る。一瞬の沈黙。更に繰り返す彼、真剣に見つめる私…グッとこらえていたけど、ついにお互いプッと吹き出して笑ってしまったよ。言葉が通じないならではのデモンストレーションだね。
間違いなく危険です
手招きと言えばもうひとつ。今日はおじさんが私たち一行を案内してくれてるんだけど、彼がいきなり大きな道路を赤信号なのに渡り始めて、道路の真ん中で車を阻止しながら私たちにおいでおいでをした時があってさ。
えっ、今渡るの?何だかとても危険そうに見えるけど、マレーシアってそんなルールがあるんだ!?って思ったけど、どうやらそれは「マレーシアルール」ではなく「おじさんルール」だった。どうりで、阻止された車の運転手たちはみんな苦笑いだった訳だ。お茶目なおじさん、だけど危険なのでとりあえずやめようね。

それにしてもあちこちにある、あの旗。マレーシアの国旗が、建物にも街のアーケードにも、中華街のあちこちにもあるし、イスラム街でも…どれだけ飾れば気がすむんだってくらいに国旗がどこにでも掲げられてた。
何でかなぁって思っていたら、何と明日が国家記念日なんだって。1957年8月31日にイギリスから独立したことを祝う日。マレーシア全土で行われるという国家記念日の前夜は、街全体が華やかに飾り付けられカウントダウンが行われるらしい…って、今夜じゃん!

だからかぁ、なんだか今からここで一大イベントがあるような雰囲気で、広場前に組み立てられている座席の大型な設営がかなり仰々しい感じ。巨大スクリーンなんかもあって、すごい有名人でも来るのかなぁって。後で分かったんだけど、ちょうどここが独立広場だったんだ。なるほど、今夜ここに国のトップが来て独立を祝うんだね。惜しいなあ…私たちは夕方でもうタイムアウト、船に戻るんだ。ちょっとその場に遭遇してみたかったな。
ローカル感と発展のはざまで
だってさ、独立を祝うんだよ。何だかすごい響きだよね、「独立」ってさ。植民地でもなく、支配されていたものから自立する。色々なものから解放される反面、新たに自分たちで作り出す社会。今までとはガラリと変わる生き方、入れ替わる物や人の流れ。そんな大々的な切り替わりの瞬間の記念日なんだ。

理想を持って、作り直していく世界…願わくば、個々が個々としての特性を生かして助け合える世界だといいな。心のない、競争の世界なんかじゃあなくてさ。
ちなみに、昨日行ったシンガポール。前回も船で寄ったんだけど、こちらも発展が凄まじい。「ガーデン・バイ・ザ・ベイ」のような超巨大な植物園があったり、国全体がテーマパークのようだとも言われているほど。世界各国からの観光客で溢れかえっている様子を見ていると、きっとこのまま更に開発は進んでいくんだろうなぁっていう雰囲気だ。
そんな開発空間の中にも、ヒョイと路地裏を覗き込めば生き生きとした「ローカルの世界」もあったりする。シンガポールではおじさんが、観光客がどこにもいないようなローカル御用達の食堂街に連れて行ってくれたんだ。あまり綺麗とは言えない雰囲気たっぷりな空間だったけど、安くて美味しいご飯とアジア感満載の空間、そしてそこで乾杯したことが何とも色濃く記憶に残っている。

そんなこんなで駆け足で巡ったシンガポールとマレーシア。旅にナビゲーターが付くと、その人特有の世界観の中で観光も楽しめるんだってことが今回とてもよく分かったよ。一種独特な後味を保ちながらも、おじさんのおかげで思い出すとつい笑ってしまうような微笑ましいものとして、記憶の中にしっかり刻まれたシンガポール・マレーシアの旅。ちょっと迷子になったのも今となってはいい思い出だ。そんなお茶目なおじさんに、心から感謝!
「PHOTO GALLELY」

中華街にもマレーシア国旗

カメラを向けると素敵な笑顔

こちらもまたまた素敵な笑顔

看板の文字が可愛い

いい匂いが漂っていた食堂

見たことのないフルーツが山盛り

カラフル過ぎるシュウマイたち

独立記念を祝うマレーシア国旗

シンガポールのローカル食堂
(取材・文・写真/Hinata)
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春に出航し、アジアから地中海、ヨーロッパ、北中米へとめぐる全108日間の世界一周クルーズ。ヨルダンやサントリーニ島、ロンドン、バンクーバーなど多彩な港を訪れ、ソグネフィヨルドやアラスカフィヨルドでは大自然の絶景を満喫します。旅行のベストシーズンといわれる初夏には、地中海から北欧まで数々の世界遺産と出会う航路へ。季節が織りなす風景とともに、まだ見ぬ世界を体感する船の旅です。
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