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ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。 最初から読む ひとつ前の記事を読む

マルタ島って知ってるかな?場所はイタリア・シチリア島のすぐそばにある淡路島くらいの大きさしかない島、だけどれっきとした独立国だと言うから驚きだ。小さな島でシチリア程は有名ではないけど、穴場のリゾート地として世界各国から観光客がやってくる場所なんだって。
マルタ島の良さは、そのこじんまりした所にある。観光バスで島をぐるりと一周できるようになっているから観光しやすいんだ。オープントップの二階建てバスに乗ると、走りながら街を高い位置から眺められるという情報をゲット。さっそく港前に停まっていたバスに飛び乗ってみたよ。

移動しながらも風情ある街並みを見学できるなんて素敵だよね。バスは主要な観光地を巡ってくれるので、乗ったままで観光写真を撮ったりもできるんだ。移動手段として何となく乗ってみたバスだったけど思いも寄らず大正解、目の前に次々と展開していく景色はどことなく中世の面影を醸し出していて雰囲気たっぷり、想像以上にテンションが上がってきたぞ。
遠くに大きな教会の丸い屋根が見えてそこにどんどん近づいて行く時の感じや、二階の高さから覗き込んで見る建造物たちも、見る角度が違うと何だか新鮮味があって面白い。美しいヨットハーバーの全体を見渡しながら写真を撮ったり、次は一体何が現れるんだろうとワクワクしながら移動を楽しむ。そして何よりも、心地よい潮風を全身に感じながら島をドライブする感覚がホントに最高。

観光バスは一方通行で島を大きく回るので、降りる場所の優先順位を先にしっかり決めておくといいかも。例えば午前中のうち行った方が綺麗な場所とかもあるし、有名な教会など早い時間に閉まってしまう場所もあるので、滞在時間が少なめの人はその日一日の行動を先にイメージしておくと慌てずにまわれるはず。

この日、まず目指した場所は「青の洞門」。ここでは切り立った崖の海沿いを、小さなボートに乗って巡るツアーがあるんだ。乗り場に降りていくと、ちょうど次の船が出発するタイミングだったので早速乗り込んでみた。
アクアマリンの光
ボートは乗り場からすぐ外海へ出て、穏やかな波に乗り移動し始めた。崖に沿ってボートが前進していく先々に洞窟があって、ポッカリと大きな口を開けた姿で私たちを待ち受けているんだ。さっきとは打って変わって海面すれすれからの視界と、ちょっと不安定な揺れ感にまたもやテンションが高まってきたよ。

繰り返し来る小さな波をぐんぐんと越えて進む船は、洞窟の前に来るとスピードを落とし少し方向転換しながらその黒い穴に吸い込まれるように入っていった。ちょっとしたアトラクションのような雰囲気で船が洞窟に入っていくアドベンチャー感が、乗客たちの目をキラキラと輝かせている。
青の洞門は、午前中のうちに来た方がいいと言われて真っ先に来た観光地だ。何故かというと、光の差す角度で水の青の美しさが格段に違ってくると言われているからなんだ。この日はすでにお昼前になってしまっていたけど、それでも透明感のあるアクアマリンの水面が私たちの目の前に、その美しい姿を現してくれていた。

真っ暗な洞窟の入り口を奥に進むと、心地よい闇の世界が静かに佇んでいた。色彩と共に音までもが次第に無くなり、奥へと進む程に感覚が研ぎ澄まされていくようだ。闇の先に、ぽっかりと開いた天井から光が差し込んでいる空間があった。その水面は漆黒の中に際立って美しいブルーを湛えていて、まるで幻想を見ているまでに心を捉えられてしまう。洞窟はどれも奥行きが浅く、出入りする度に闇と光の重厚なカーテンを動かしているかのようだった。

自然界のアートワークはいつでもダイナミックで、光や色だけでなく水の動きや細かい波しぶきまでがまとめて全身にアプローチしてくるから驚いてしまう。おかげで五感が開き、船を降りる頃には目の前の世界が少し眩しく見えたよ。少しフワフワとした足取りで崖の上の出口へと向かう。
崖から見渡す海は深みのある青で、さっき見た色んなライトブルーとは違っていた。どっしりとしたその印象の青の上には小さなボートがゆらゆらと行き交っている。小さな島から海を見るといつも、海の大きさをリアルに感じてしまうのは何故なんだろうって思うよ。

こんなまさかの場所にカフェ?
さて。陸の旅に戻るとするかな。再びバスに乗り込んで、目指すはバレッタの旧市街。観光バスは一日乗り放題のチケットがあって、そのコースは島の北を回るコースと南を回るふたつのコースがあるんだ。

バスの二階から見えるパノラマの景色にあちこち目を奪われながら、バレッタに向かうまでの途中の街並みを楽しむ。中には現代的なお店が並んでいるようなショッピング街もあるんだよ。だけどほとんどの場所が石造りの建物街となっていて、そんな雰囲気のある大通りをバスはひたすら通り抜けて行った。

バレッタの街全体が世界遺産になっているというのは何故かというと、実は要塞として作られたという歴史があるからなんだ。要塞がある国は、思った以上に世界にある。それだけ昔から戦いはどこにでもあったということなんだけど、そんな要塞の中をこうやって観光する時代が来るなんて、要塞を作った人たちにはその時、想像もつかなかっただろうね。改めて思うけど、今の時代に生きてるってホントに幸せなことだ。

気がつけば、バスはバレッタの旧市街に着いていた。街の入り口を探しながら、人の流れについて行ってみる。橋のような通路を歩きながらふと横を見ると、要塞の切り立った壁と壁の隙間にカフェのようなものが見えた。そんな場所にカフェができるなんて…やっぱり過去からは想像もつかなかっただろうと思うと、時間の流れってとことん不思議だなぁって思う。
だって、今も過去も場所は変わらずに同じ場所なんだよ。ただ時間だけが違うっていうさ。それだけでこんなにも存在の意味が違うものが現れてるんだ。未来には更に、もっと想像つかないものがそこに現れてるのかも知れない。

絢爛豪華とはコレのこと!
そう言えばさ。マルタ島には古代遺跡がたくさん残されているらしいんだ。ここの遺跡は凄いんだよ、世界最古といわれるエジプトのピラミッドより更に古い歴史があるんだって。古い遺跡ということはマルタ島の周辺もまた、サントリーニ島同様にアトランティスの名残りだったりするのかな。
遺跡は今回見逃してしまったけど、代わりにすごいものを見たよ。その名も「聖ヨハネ大聖堂」。外観は全然パッとしてなかったから、特に何も期待してなかったんだけどさ。中に入るととにかく凄かった。

絢爛豪華というか、どの場所を見ても装飾や彫刻や絵画がぎっしり詰まってるんだ。しかもほとんどの場所に、黄金色の装飾がちりばめられていてゴージャス。これだけの装飾が集中しているのに、悪趣味な感じになっていない所がここのホントの凄さかも。

どこもが個性的で主張があるけど、邪魔し合ってない。きっと全体的な統一感があるからなんだろうね。中には今時のポップさに繋がるような部分もあってさ、マークのデザインなんかも可愛いんだ。

入り口で翻訳機を借りることができるから、ひとつひとつの作品の説明を聞けるようになっていたよ。とにかく天井も高くてそこにも絵画がぎっしり。教会を超えてもはや美術館だね、じっくり見ているうちにあっという間に時間が過ぎていってしまう。
うっとりとした心持ちのまま外に出ると、大聖堂の周りを囲むようにカフェやレストランがあるのに気づいた。そういえばまだ何も食べてなかったっけ。と、足は自然にお店の前のメニューに向かう。へぇ、ウサギ肉のパスタだってさ。マルタ島の名物なのかなぁ、気になる。ということで大聖堂の真近にあったレストランに決定。
要塞の街に生きた人々

初めて食べたウサギ肉。ウサギはさすがにピョンピョン飛び跳ねてるだけあって、弾力感のある引き締まったお肉だったよ。場所によってよく食べられているお肉の種類が違ってくるね。ここは狭い島だし、余計に限られてくるんだろうな。
そういえば昔行った南太平洋の島で、コウモリのスープとウミガメの料理を食べたっけ。友人たちが興味本位で注文したんだけどさ、ここではこんな動物も食べるんだって驚いたような記憶がある。世界ではホントにありとあらゆるものを食べるよね。島の大きさや気候、環境などがそこの食べ物に全て反映されているんだなぁって思いながら、ウサギ肉を食べつつマルタ島という島を実感する。

要塞の中の旧市街はかなり広かった。大通りを道いっぱいに行き交う人々。昔ここでどんな風にみんな暮らしていたんだろうか。要塞に囲まれ、暮らす日々。生と死の垣根のような存在を目の前にして、それでも人々は日々生活を送っていたんだろうね。どんな格好をして、どんなものを食べて、どんな音楽を聴いて踊ったり歌ったり、祈ったり。毎日をどう感じながら生きていたんだろう。
争いから身を守るような時代にあっても、ここの中では生きる喜びと共にあれたのだろうか。そんなことを考えながら、現代に残るその要塞の中を歩き続ける。

今、私の目の前に歩いている人々の表情に厳しさは全く見て取れない。リラックスしてこの空間を存分に楽しんでいる人たちばかりだ。こんな時代がやがてここにも訪れるんだよ、過去に住む彼らにそう心の中で語りかけながら、要塞の出口へと向かっていく。
とめどない思いを馳せながら私は、「今」という時代を囲んでいる要塞の門をゆっくりと後にした。
PHOTO GALLELY

お洒落なドアノブコレクション

港近くの馬車は坂道を駆け上がる

遠くからずっと見えていた丸屋根

青の洞門ツアーのボートが並ぶ

洞門付近のエメラルドグリーン

要塞の壁の隙間にカフェ

大聖堂にはたくさんのお部屋が

手彫り感がたまらない

寝っ転がってる人を発見

ゴージャス可愛い

街に立っていたキリストさん

レストランがあちこちにあるよ

手紙を出すと過去に届きそう

要塞の街は人々を守り続けている
(取材・文・写真/Hinata)
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第126回クルーズ
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春に出航し、アジアから地中海、ヨーロッパ、北中米へとめぐる全108日間の世界一周クルーズ。ヨルダンやサントリーニ島、ロンドン、バンクーバーなど多彩な港を訪れ、ソグネフィヨルドやアラスカフィヨルドでは大自然の絶景を満喫します。旅行のベストシーズンといわれる初夏には、地中海から北欧まで数々の世界遺産と出会う航路へ。季節が織りなす風景とともに、まだ見ぬ世界を体感する船の旅です。
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