ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。
笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。
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あれはもしや、バチカン市国のウワサの人物?!
イタリアのローマに電車で向かう途中、降りる駅を間違えたことからそれは始まった。
例のごとく何にも下調べせずに電車に乗り込んでいた私たち。車内でローマの地図を片手に調べてはみたものの、結局はいつも通りの行き当たりばったり旅になるがごとく、思いついたままに行動をとってしまう私と友人。たくさん人が降りた駅でそのまま流れに任せて一緒に降り、たぶんこの辺がローマの街なんだろうと人々の歩みについて行ってみる。
うーんと、ここってホントにローマ?道は至って普通、観光地というより通勤路のような。道幅もそんなに広くないし浮き足立った雰囲気もない。ただ、道の向こうにやたらと大きな半円形のドーム屋根が見えてきたぞ。もしや教会的なものかしら、雰囲気あるし行ってみようってな具合でとりあえずそこに向かってみた。
大きな壁沿いに、小さな水場のようなものがあった。神社でいう手水舍みたいなものかな、そこで手を洗って身を清める。まだ朝早いせいかその周辺も閑散としていて、なんだか微妙に場違いな感じが否めない。ここの教会ってもしかして閉まってる?なんて思いながらもその大きな壁を曲がって入り口を探し歩いてみると…
何だなんだ、この人だかりは。角を曲がってからその奥に見えた光景は、遊園地のアトラクションに並んでいるかのような人の行列と警備員の群れ。しかも入り口で何かチェックされてるよ、荷物検査かな。突然に様変わりした光景の訳も分からないままに、とりあえず並んでみることにした。
ちょっとワクワクしてきたぞ。並んだ隣にダフ屋のようなお兄さんが来て、しきりに美術館のチケットを買わないかと勧めてくる。美術館?私たちは今から教会に行くんだけど何故かしらと思いながらも、絡んでくるお兄さんをヒョイとかわして入り口へと進む。
中に入ると、広すぎるくらいにだだっ広い空間に、ぎっしりと詰まった人、人、人。一体みなさんどこからやって来たんですか、そしてここはどこ?未だに何も状況を把握できていない私たち。だけど様子を伺ってみると大勢の大半は教会の正面を向いていて、そこから聞こえてくる話にどうやら耳を傾けているようだ。あまりに遠くで豆粒にしか見えないその話し手の方を見ると、両脇に大きなスクリーンがあって、その話し手を大きく映し出していた。
「…もしかして、ローマ法王?」かなり当てずっぽうに言ってみたものの、なんだかそう間違いでもなさそうな雰囲気にちょっと身が引き締まる。なんでそう思ったのかっていうと、これにはちゃんと伏線があったことを思い出したよ。そうそう、「バチカンで逢いましよう」って映画を最近見たんだった。遠くカナダからローマ法王に逢いに来たおばあちゃんの、ちょっとぶっとんだ愛と料理の物語。
キーワードがカチリと音を立ててハマった感だ。だってローマだし、教会だし。近からず遠からずってところだよね。友人は「またまた~違うでしょ」って信じてくれない。そうだよね、このタイミングの良さは半端ないよ。自分たちの意思に反して、まるで誘われるかのようにここにやって来てさ。しかもちゃんと法王の講話の時間にだよ。だけど…やっぱりそれは当てずっぽうで終わらなかったんだ。計画を立てないで直感で動くことの、その面白さを改めて実感した瞬間だった。