ローマの街は坂道が多い。一方通行の細い道をどんどん下ったり、また登ったり。足元の石タイルは小さくガタガタしていてヒール靴には余り適していない。そういえば、オードリーヘップバーンも靴をヒール靴からベタ靴に履き替えていたっけ。「ローマの休日」というあまりにも有名な映画のワンシーンが頭に蘇る。
映画では、ローマの街中をデートするんだよね。今もちょうどそのコースを巡ってるとこなんだ。ミーハーって言われそうだけど、あの映画自体がローマ観光を促してるような映画だからさ。上映されてからこれだけの年数が流れてる今でも、これだけの観光客がごった返しているんだから凄いことだよね。映画が観光に与える影響力の強さを改めて感じるよ。
イタリア系の雑誌や映画を見ていて思ったのは、イタリア男性のスーツ姿は拍手ものだってこと。身体のラインにピタッと添うようなスーツをラフに着こなしてるんだ。スラッとした長身に少しカールがかった髪、そして伸びたヒゲは、不精とはならずお洒落としか言えない。姿勢良く颯爽と通り過ぎる姿に思わず振り返ってしまう…そんなイメージだったんだけどさ。実際はって？
うん、意外にお腹ポッチャリ体型もいたかな。ピザにパスタ、美味しいものがいっぱいあるからなぁ。まあ所詮、映画は作り物の世界ですからね。だってしょうがないよ、道沿いにはレストランがどこまでも続いていて、オープンエアーのテーブル席で常に誰かが美味しそうに食べている。昼間からずっといい匂いが漂ってるから食欲は途切れないし、雰囲気のあるワインバーやバルがいっぱいあって楽しいんだ。そりゃあ飲んじゃうし、食べちゃうよね。
狭い通路に観光客がごった返している道、その先にようやく「トレビの泉」を見つけた。よくもここまで集まるものだとちょっと感心するくらいに、人口密度が相当高い観光スポットだった。ツアーガイドさんは各国の旗を持って人々を誘導している。あちこちの国から来ていてるのを見てると、各国からのツアー客を見るショーのような気がして面白かった。平和的な多国籍軍の集会とでも言ってみようか。こんな時代でホントに良かったと半ば本気で思う。
美味しいのは間違いない場所なんだったら、その中でも最高に美味しいのを食べてみたいって思うよね。いつもより更に時間をかけてレストランを選んでいた私たち。マルシェがあるという広場方面へと向かうと、昼を過ぎてしまって何軒かはもう店じまいの様子だった。開いているお店には駆け込みのお客さんがちらほら。果物や野菜が屋台のカゴに仕分けされている。各地からの新鮮野菜の集まるマルシェ近辺のレストランなら、間違いなく美味しいだろうと期待は高まる。
