更新日:2026/10/1

南アフリカ・ケープタウン編〜Peace on the Boat trip〜

ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。   最初から読む ひとつ前の記事を読む

「自分自身の力で向き合えてるか?その奥に隠された野生」

 

ケープタウンは、南アフリカの中でも他の地域とは少し雰囲気が違うんだ。街中はどちらかというとヨーロッパ的な風景。お洒落なビルが空高く立ち並び、2階建ての観光バスが走る道路は広く整備されている。そんな街の近辺では砂のでこぼこ道などどこにも見当たらない。

 

すっきりしていて住みやすそうな街ではあるけど、アフリカらしさという視点から見るとなかなか賛否両論な街だそうだ。南アフリカに初めて白人がやってきた街、そしてここから内陸部へと西洋化が広がっていった起点ともいわれている場所。ここをアフリカと呼んで欲しくないと言っているアフリカ人もいる…それほどに西洋化したスタイルの街はアフリカという名前に沿いづらく、確かにちょっとした違和感を発していた。そしてここでもまた色んな人種の人々が暮らしている。そういった昔からの住人たちの複雑な想いは、ふと立ち寄っただけでは見えにくいのが実情なのかもしれないね。

 

街の中にあるお店を覗いてまわる。細長いビルの中に、お店がキュッと並んだ空間に入り込んだ私たち。大量の缶の蓋を合わせて作った楽器や木彫りの動物、カラフルな模様の器など独創的な手作りものがあちこちに陳列されていて、まるでミニチュアのアフリカを見ている気分になってくるんだ。

そんな楽しい民芸品屋さんの隣に、手作りの洋服屋さんがあった。原色で大柄模様の布から作り出される洋服は、体のラインに沿ったシルエットに仕立て上げると派手なようでいてとってもスタイリッシュに見える。こういったデザインも西洋文化との融合から始まり、洗練され独自なものとなってきたんだろうね。

 

洋服屋の奥に入ると、ミシンを踏みながら器用に服を作っていた黒人男性とパチリ目が合ってさ。私に何やら色々と話しかけてきてくれるんだけど、訛っているようであまり英語が聞き取れなくて。後でその時そばにいた友だちに聞いたら、ナンパされてたんだよって。なるほど、ナンパは全世界共通の男の文化なのか。何だかナンパが世界の謎を解き明かす凄いもののように思えてきたのは私だけ?

何と、彼らは水牛の長い角を口にくわえて…

 

そう言えば、ここでも音楽交流に行ったんだ。行った先の建物も何だかお洒落で、天井の作りもアート的な風通しのよい空間。そこで音楽のワークショップを受けたよ。白人2人と黒人2人のグループが私たちを受け入れてくれたんだけど、何だか面白いなぁって思った。まるでこの組み合わせって、ケープタウンという場所を象徴しているようでさ。

 

その4人組は、色んな民族楽器を使って音遊びを教えてくれたんだ。アフリカの楽器だけでなく西洋のものも取り揃ってたよ。そしてそれらを組み合わせて新たな視点で音を作ったりしていて何とも斬新。

決まり切った固定観念からスッと外れてみると、いきなり想像力の幅がググッと広がる瞬間がやってくるようだ。かなり自由度の高い彼ら…次は一体何をどうするんだろうって見ていると、彼らはおもむろに水牛の長い角を口にくわえたんだ。

 

まさかの、笛。しかもいい音してる〜!楽器の定義ってこんなにも自由なんだって、目からウロコ状態だったよ。参加者のみんなもグループ分けして熱心に楽器を練習して、最後には曲を作って演奏したりとかなり創作的なワークショップだったんだ。

どのグループも既成概念に囚われない自由な発想がとっても良かった、こんな少しの時間で彼らのスタイルから影響を受けるなんて不思議だね。それほどに「混ざる」という概念は、全く新しいスタイルを作り出す大きな起爆剤になっているのかも知れない。そんな「ケープタウン」的な面白さを、チラッと実体験できたような気がしたワークショップだったよ。

 

さて。港の近くにある観光地へと戻った私たち。ここはアフリカっぽくないよって言われてみても、観光として訪れた私たちにとって綺麗な景色と街の賑わいは魅力的に映る。ケープタウンのウォーターフロントはとても遊びやすい場所で、買い物や食事を楽しめる一大アミューズメントパークだったから、みんなこぞって遊びに行っていたよ。

 

まずは大きな観覧車に乗って眼下の景色を堪能!ハーバーに停泊しているヨットたちがまるでミニチュアのように見える。ここは都会によくある電飾看板ギラギラな感じはそんなになくって、お洒落にスッキリとした雰囲気の街だから長くいてもあまり疲れを感じない。そのうえ空気も綺麗だ。

こんなに美味しいシーフードとワインが…

 

あちこちのお店でカラフルなお土産物を物色したり、数あるレストランを選びながら楽しそうな足取りで歩き回る人々。シーフードは美味しいし、ワインも種類豊富、都会でも比較的値段は安め、満足度の高い空間にみんなのいい笑顔。

そんなウォーターフロントのすぐそばにありながら、それに全く引けを取らないくらいの大きな存在感を示している山が、ここの街のシンボル「テーブルマウンテン」だった。ケープタウンでも見ることができる、アフリカらしい大自然だ。

 

圧倒的な存在感で私たちを迎えてくれた巨大な岩山。名前の通りテーブルのようなまっすぐな岩の頂から、時によっては雲がゆるやかに流れ落ちてきて神秘的な景色を作り出す。それは「テーブルクロス現象」って呼ばれている状態で、寄港中に何度もそれを見ることができた私たちはかなりラッキーだったのかも知れない。

テーブルマウンテンにはトレッキングコースもあるんだって。ケーブルカーで山頂まで登ると、街全体が見渡せて絶景らしい。山の歴史を物語る断層の縞模様が、緑を交え美しく柔らかなカーブを描いている。どこか荘厳な雰囲気が漂っていて、ホントに聖なる山って感じがするんだよね。

 

「大昔からずっと、テーブルマウンテンはそこから下界を見下ろしていた。

広大な大地には動物たちが暮らし、同じように人間も暮らしていた。時は経ち、大地は変化し土はコンクリートの下に隠れ、その上に大きな建物が連なった。景色は急激に移り変わっていく。やがて動物はどこかへ去り、人は増え色は混じり、そこから出て行くものもあればやって来るものもあった。貧富の差もあれば、混ざりゆく文化もまた…

そんな長い長い時間、テーブルマウンテンはここで、その一部始終をみていた。

山の下から風が吹き上がると、雲が山肌を滑って下の街までスルリと流れ落ちていく。幾度、これを繰り返してきたことだろう。ただただ、昔から変わらないのはこれだけだ。色んなものが変化してきた。そしてこれからも。だけど変わらずにいるものも、ここにはある。」

 

そんな気が遠くなるような繰り返しの中に、この日、私たちの目の前で流れ落ちた雲も含まれているなんて素敵だね。果てしなく続く時間の層に刻み込まれた今日の一瞬を、目を閉じ心に焼き付ける。

テーブルマウンテンは私に言ったんだ…

 

ケープタウンは、一日の中に四季があるって言われるくらいに、気温や天気が一気に変わりやすい場所なんだって。風も、ものすごい強風が突然に吹いたりするらしい。そういうのを聞くと大自然の圧倒的な力を感じるというか、見た目がどんなに西洋風でも、ここはアフリカなんだなってそう思えるよ。

どれだけ文明が発達していてもどうにもできない部分、気温や風や、そういったものを畏怖する感覚を、しっかりと持ち合わせながら生きていくことができるかどうか…コンクリートの建物の中に逃げ込めばどんな寒さや風がきても大丈夫。だけどそれは自分自身の防御力ではないんだよね。

そんな事実を私たちが知っているかどうかは、生存本能を保てるかどうかにも関わってくるような気がするんだ。たぶん今の私たちの生存本能は、低いと思う。何かに任せすぎてる部分があるよね、自分のいのちを。

 

アフリカの大地は時折厳しい表情を見せるかもしれないけど、それは私たちの生き残る力を磨いてくれる愛情なのかも知れないね。そんな厳しさに対抗していく生き方もあれば、受け入れて共存するという生き方もある。何にせよそれに向き合うのが、自分自身の力であるのかどうかを問うことが大切なのかもって、テーブルマウンテンを見ながらそう思ったよ。

「あなたは世界をどう見てるの?」目の前の聖なる山を見上げ、心の中で問いかけてみる。テーブルマウンテンの存在はニュートラルだ。ただただ長い時の流れを見守っている。

人はやって来て、いつかはいなくなる。人の様々な想いも作ったものも、やがては朽ちてどこかへ消えていく。そのようなものだよと、いつものように雲をスルリと滑らせながらテーブルマウンテンは、私にそう言ったんだ。

   

PHOTO GALLELY

「PHOTO GALLELY」

 

木彫りの器や人形たちが可愛いお土産屋さん

 

アフリカの布は何ともビビッドでデザイナブル

 

ケープタウンの街はお洒落な西洋風

 

ウォーターフロントをのんびり散歩する家族

 

ライブの盛り上がりっぷりに皆飛び出し踊り出す

 

全ては混ざり、高め合い、新たに前へと進む

 

…とは言えこの混ざり具合はやり過ぎ感あり?

 

(取材・文・写真/Hinata)

「ピースボート」ってなに?

keyboard_arrow_right

どんな船で旅をするの?

keyboard_arrow_right

寄港地でのプログラム

keyboard_arrow_right

2029年12月出航

第126回クルーズ

ピースボート地球一周の船旅 2027年4月 Voyage126

春に出航し、アジアから地中海、ヨーロッパ、北中米へとめぐる全108日間の世界一周クルーズ。ヨルダンやサントリーニ島、ロンドン、バンクーバーなど多彩な港を訪れ、ソグネフィヨルドやアラスカフィヨルドでは大自然の絶景を満喫します。旅行のベストシーズンといわれる初夏には、地中海から北欧まで数々の世界遺産と出会う航路へ。季節が織りなす風景とともに、まだ見ぬ世界を体感する船の旅です。

おすすめクルーズはこちら

keyboard_arrow_right

ピースボート公式LINE@最新情報をお知らせします!

目次