更新日:2026/10/13

ジャマイカ・モンテゴベイ 前編〜Peace on the Boat trip〜

ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。   最初から読む ひとつ前の記事を読む

一緒に歌って心はひとつ・ボブマーリーよ永遠に!

ジャマイカの可愛い田舎町、モンテゴベイ。

 

寄港した港からほど近いその小さな街は、海沿いの道の両側にたくさんのお土産屋さんやバーなどが並んでいて、海を眺めながら木陰でのんびりしたくなるような所だ。

 

ビーチから眺める海の色は、美しく輝くエメラルドグリーン。観光客でごった返すようなこともなくのびのびと海水浴を楽しめる空間。バーからは心地よいレゲエの音楽が流れ、ここでの時間を更にまったりとしたものへと変えている。

 

道を歩いていると、お土産屋さんの前に座っている店主たちが楽しげに声をかけてくる。陽気で人懐っこい彼らと話していると、遠い異国の街にいるのにどこか懐かしさを感じて肩の力が抜けるんだ。

 

 

どこの寄港地でもお店の客引きはすごい。アジア系の店主だととにかくこっちが何か買うまで、ずっとひっついてきて値引きの交渉を続けてくるからホントに大変。

 

だけどジャマイカの人たちは結構あっさりしていて、最初は同じように呼び込みしてくるんだけど、店内を見てから特に何もいらないと言っても別に嫌な顔をしないで、こちらの自由にさせてくれるんだ。変な媚をうってこないそういう部分からも、彼らの誇り高さを感じられて素敵だなって思ったよ。

 

ジャマイカの味「炭火焼ジャークポーク」!

 

街の道々に白い帽子を被った人たちが立っていてさ、「困ったことはない?」って気さくに声を掛けてきてくれるんだ。彼らは「ツーリストポリス」っていう、案内人&用心棒さん。トイレを探していたり、道に迷ったり…とにかく何でも知りたいことがあったりしたら、彼らに聞くとすぐに対応してくれるんだよ。

 

 

もちろん治安の維持も含めて、私たちが安心して観光を楽しめるようにしてくれてるんだ。モンテゴベイやキングストンのような街で、ツーリストポリスは日々活躍しているらしい。警察と違って彼らの存在は柔らかくて話しやすい雰囲気。

 

そんな彼らだから何人か友だちになって、アドレス交換したりフェイスブックで繋がったりと、道を歩くたびに友だちがどんどん増えていくのが面白かったよ。

 

美味しい地元のお店でランチしたいと思って、レストランの駐車場で誘導の仕事をしていた青年に聞いてみたら、近くのジャークチキン屋さんを教えてくれたんだ。

 

 

そこから歩いてすぐの「ポークピット」という名前だったかな。店は2階建てになっていて、店舗の外側にジャークチキンを焼く小屋があり、中を覗くとお兄さんが大きなスコップで赤々とはぜる炭を移していた。

 

薪がくべられている場所から煙がうっすらあがって、その上の鉄板には炭火で焼かれたチキンの姿が見える。その隣の台にはあるのはどうやらポークのようだ、ジャークポークもジャマイカではメジャーらしい。

 

ちょっと味見させて!ジャマイカンと一緒に食べよう

 

 

少なめに注文したと思っていたけど、出てきたのはボックスいっぱいのチキンの山。だけどお腹が減っていたので早速、コーラと一緒にいただきまーす!

 

その味はというと、日本で食べるジャークチキンよりも味付けが薄くて、スパイスの風味よりも肉本来の旨味をじんわり味わうといった感じ。鶏肉はこの環境で育ったなら野生に近い硬い肉かなと思っていたんだけど、炭火焼のせいもあってか、肉がとっても柔らかくて美味。

 

そうそう、その時にね、近くにいたジャマイカ女性が声をかけてきたんだ。話を聞くと、この近くでクラフトマーケットを出しているんだって。今はお昼ご飯を買いにここまで歩いて来たらしい。彼女はジャークポークを買っていたんだけど、ちょっと味見してみたいって言ったら快くOKしてくれて、私の向かいの席にひょいと腰掛けた。

 

 

お互いに簡単な自己紹介をして、早速互いのチキンとポークをシェアしつつ一緒にランチタイム、食べながら彼女は自分が住んでいる場所の話をしてくれたんだ。

 

クラフトマーケットの人たちはこの街から車で20分から、遠くて2時間ほどのカントリーサイドに住んでいるんだって。そこはこんな風な街ではなくって広大な農園があって、ココナッツやハーブなんかがいっぱいある、自然豊かな住みやすい場所だと言っていたよ。話をしている彼女の表情から、そこがどんなに素敵な場所なのかがリアルに伝わってきたんだ。

 

じゃあ今から、行ってみますか!

 

 

食べ終わってから私たちは一緒に彼女のお店に向かった。街の端の方にそのクラフトマーケットがあってさ、そこは色んな場所から手作りものを持ってきて売ってる人々の、コミュニティーのような雰囲気のある場所だった。

 

とにかく店舗数の多いこと、小さな掘っ立て小屋のような店が数え切れないほど繋がってる。そこには年寄りから子供まで色んな人たちがいて、座って話をしたりゲームをしていたり、仲のよい雰囲気も伺える。ちょっとした村のような雰囲気でまとまりがあり、入るときにお邪魔しますと言いたくなるような場所だったんだ。

 

 

彼女の店は奥の方にあって、こじんまりととても小さかった。その中の半分ずつを友人とシェアして借りているんだって。彼女の家族が描いたという絵がいくつかあったんだけど、絵を見て、さっきの彼女の村の話を思い出した。

 

その絵にはのんびりと釣りを楽しんでいる様子や、大きなバスにみんながキュッと詰まって乗っている様子が描かれてた。バスの上にはカラフルな荷物や野菜のカゴが人同様に満載されてて、なんだかちょっと楽しそうな雰囲気の絵でさ。そのバス道は砂地の道路になっていて、道の横手には「JAMAICA NICE」って書いた看板が立ってるんだ。

 

すごく気に入ってその小さな絵を買ったら、別れ際に彼女の手作りのミサンガを私の手に巻いてくれてさ。キュッと巻かれたそのミサンガは、まるでジャマイカと私の心を結ぶ何かの約束のように手首に固定されていた。

 

たくさんのジャマイカ人との出会い。そんな中でこの日、心に深く刻まれた思い出がある。

 

あぁ、音楽ってやっぱり凄い!!

 

ボブマーレイって名前、聞いたことあるかな?世界的に有名なジャマイカ出身のレゲエミュージシャンで、音楽を通して平和な世の中を作ろうとした人だよ。彼が有名な訳はその特徴的なドレッドヘアのビジュアルや、素晴らしいレゲエの楽曲を世に広げたからだけでないんだ。

 

 

1970年代後半、ジャマイカ国内で抗争が広がり暴力で混沌としていた時代…当時、政治的に敵同士で国を大分断させてたふたりの指導者たちの心に問いかけ、コンサート中のステージ上で彼らを握手させてしまうという凄い伝説を作ったんだ。政治をも動かす、歌の力。それは彼が、誰もの心に深く響くメッセージを歌っていたという、そんな証に他ならない。

 

街中のお土産屋さんはジャマイカだけあって、ボブマーレイのTシャツやグッズがあちこちで見かけられる。それだけでなく中南米で寄港したあちこちの国でも、彼のグッズがひときわ目立っていたんだ。

 

平和の象徴としてリスペクトされてるんだなってホント思うよ。彼の具体的な音楽や行動は今でも語り継がれているし、人々の心の奥深くに大切に刻まれているんだ。

 

 

そうそう、それでさ。お土産屋さんの前で、また新たに知り合ったばかりのツーリストポリスのふたりとボブマーレイの話をしながら、私の好きな「リデンプションソング」を何となく歌ってみたんだ。この曲は好き?ってイントロ部分を歌ったら、ふたりともパッと目を輝かせて、一緒に歌の続きを歌い始めた。

 

次第に高まっていくテンション、辺りに響く大きな歌声。一緒に歌う彼らの表情は豊かに感情を表し、握る拳に少しづつ力が入っていく様子がみて取れる。そして私たちはついに、3人でその曲を最後まで一緒に歌いきったんだ。

 

何だろうこの、胸にグッとくる感じ。国籍や言葉を超えた深い所で繋がってしまったような…ふと彼らを見つめると、大事なものを共有した仲間の顔になってこちらを見て微笑んでいる。さっきまでのただ楽しいだけとは違う、深みを持った空気感。あぁ音楽ってやっぱり凄いんだなぁって、このとき心底実感したんだ。

 

なんだか離れがたくなっちゃった…ので?

 

ジャマイカで生まれた、ボブマーレイの歌。その中の言葉を、所々強調しながら歌っていた彼ら。それだけこの曲の歌詞は大事なことを伝えている。「リデンプションソング」の、リデンプションには「解放される」っていう意味があるんだ。

 

 

昔、奴隷としてたくさんの人たちがアフリカからここへ連れてこられた。奴隷船に乗せられ、船底へ連れ込まれた。だけど私たちには信じているものがある、強い意志を持っていつか奴隷から解放されるんだっていうのが1番の歌詞。

 

そして2番の歌詞…手に繋がれた鎖、それは自分自身で解き放つことができる。目の前にあるまやかしを恐れず、あなたの手によってそこから自分を解放するんだって、そうボブマーレイは言っているんだ。

 

私たちは常に自由なんだよね、自分を自分で縛っているということに気がついたなら、そこから解放してみようよってそう言ってくれている。これは、生き方をうたった歌なんだ。

 

 

ツーリストポリスのふたりと私は、この歌を歌った後で互いの距離が縮まり、何だか離れがたくなっていた。結局、それから夕方遅くまでずっと彼らの仕事にくっついて歩いた私。

 

彼らは街中にいる友だちをたくさん紹介してくれたり、色んなお店の中まで連れて行ってくれたりしてさ。ここにはこんな面白いものがあるんだよって、モンテゴベイの小さな街の彼らの日常を惜しみなく見せてくれたんだ。

 

だけどそんな中、ふと思い出したことがある。「ジャマイカでは気をつけて」って言われていたことを…そしてこの後、その言葉の意味を深く考えることとなったんだ。

 

ジャマイカ・モンテゴベイ 後編へ続く…

   

(取材・文・写真/Hinata)

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