ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。
笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。
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ヒゲにスカート?無関心の奥に隠れるこだわりと伝統
イギリスに着いたよ!まずは行っておくべきでしょってことで、早速ロンドンへ電車で向かう。
やっぱり大都会だね、近代的というか。見たことがあるような風景が広がっていてさ、都会はどこでも似ている気がするから新鮮味はあまりないよね。もっと、由緒あるっていう言葉がぴったりくるような、イギリスならではのものがどこかにあるはず!と探訪してみることにした。工事中の道を右に左に迷いながら進んでいくと、大きな広場に行き当たって、さっそく素敵な建物が目の前に現れたんだ。
ウェストミンスター大聖堂。大きくてとても雰囲気ある姿をしている。古い建物ってどこか生き物のように感じるんだけどさ、この教会も、近代の建物群に混じっていても全く引けを劣らないというか、より存在感がハッキリしているかのように堂々としてた。
デザイナブルな白と赤茶色の建物で、曲線のラインが印象的な教会。赤茶色はレンガの色、白は大理石っぽい質感。正面のアーチ型になっている部分には、キリストとその使徒たちの様子が物語のように描かれている。
そろりと中に入って思わず上を見上げた。天井がかなり高くて、黒いレンガが建物の上部全体を覆っている。そこには小さな窓がたくさんあり、外からの光が無数の筋となって差し込んでいて、アンティークのような華奢なシャンデリアを照らし出していた。そして中央天井部分には、大きな赤い十字架に架けられたキリストが。
ハッとさせられる何かがある。真っ黒な天井がキリストの上に覆い被さっていた。教会のイメージって白っぽいよね、だけど黒い壁に太陽光が美しく反映されている様子から逆に、柔らかさをも感じとれるから不思議なんだ。闇を連想させる黒く曲線的なフォルムは、まるで母の胎内にいるような慈しみを持ってキリストを包み込んでいるかのようだった。
心が静まっていくのを感じながらゆっくりと歩く。至る所にローソクが灯されていて、朝からここにたくさんの人が参拝しに来ていたことが伺える。今は人も少なくシンとしている廊下を進むと、小さく切り取られた部屋の中に、ひざまづいて熱心に祈っている人がいた。
心の拠り所となるものがひとつでもあるのは幸せなことだ。それが家族であれ、恋人であれ、形があるもの無いもの…その対象は様々だとは思うけど。ふとした時に、自分自身を離れて身を委ねることができる存在があるのと無いのとでは、生きていく上での安心感が違ってくる気がするんだ。
そんなことを考えながら教会を出ようとした時に、シスターが男性にそっと声を掛けているのが見えた。どうやら帽子を脱ぐように伝えているようだったので、もう外に出る時だったけど私も帽子を外さなきゃあと思って慌てて取ると、笑顔で「女性は帽子を取らなくても大丈夫だよ」って。一瞬、ここは女王様の国だから?なんて思ったりしたけど、教会では、男性は脱帽で女性は被ったままなんだって。私そんなことも知らなかったよ~勉強不足だね。