更新日:2026/10/13

ポルトガル・リスボン編〜Peace on the Boat trip〜

ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。   最初から読む ひとつ前の記事を読む

デコボコ坂道を探訪・可愛い路面電車とタイルの街

こんなにも雰囲気ある街はなかなかないよ。ポルトガルのリスボンは旅の中でも思い出深い場所だ。

 

 

港前の大通りを山側に抜けると、丘に向かう坂道があった。迷路のような細い道には生活感があり、人々が長くここに住んできたという独特な気配が漂っている。建物の壁はいいくらいに朽ちたり色が褪せたりしていて、新しい街にはない時間の流れを感じさせてくれるんだ。

 

古いガタガタした道にレールが敷いてあって、それが街中の色んな場所にあるのが面白い。広い道にも狭い道にも所構わずレールがあって、もし今ここに路面電車が来たら、どうやって避ければいいんだろうって思うような狭い場所もあったりする。

 

 

よっぽど生活に密着してきた交通手段なんだろうね。大通りの道の路面電車には観光客だらけだけど、細い路地を通っている車両はきっと地元の人が通勤なんかに使ってるんだろうな。

 

細い道をどこへ行くともなく、いい空間やいい風景を探してぶらりと歩いていく。そしたらあったよ、素敵なお店が。路面電車のレールがカーブした場所にある建物の一階部分。味のある古い雰囲気のお店で、中には普段着にエプロンしてる素朴な娘さんとおばあさんがいて、どうやらふたりでその店をやってるようだった。

 

 

店の中は3席ほどしかなく狭いんだけど、外に小さなテーブル席が2つあってそこでも座れるようになっている。店内のショーケースにはシンプルなパンが何種類かあって、その中に美味しそうなエッグタルトが並んでいた。

 

エスプレッソと一緒に注文すると、外のテーブルまで運んで来てくれたよ。今は朝が始まって間もない、風も爽やかで過ごしやすい時間帯だ。

 

 

シナモンを軽くかけて、エッグタルトを頬張った。見た目そのままの優しい甘みがじんわりと美味しくって、思わずほっぺたが緩んでひとり微笑んでしまう。エスプレッソの深い芳香を味わいながら、路面電車が角を曲がってゆっくりとこちらに走ってくるのを眺める。旅先でのこんな時間は、ホントに最高なんだ。

 

街中のあちこちにあるのが…

 

道を歩いている人もまばら。まだ朝早い時間で出勤途中といった感じなんだろうか、立ち寄るお客さんもお店の娘さんと短い会話をしては、長居をせずにサッとエスプレッソを飲んで去っていく。きっとこれがここにあるいつもの光景なんだろう。

 

可愛い一両の路面電車が、カーブしたレールをガタゴトと通りすぎて行った。さてと。次はあそこに見える細い道に迷い込んでみよう。満たされた気持ちでまた、あてのない徒歩の旅に出かける。

 

 

道を登ると、思いがけず近くに街があった。丘の上のボコボコした味のある道に、あちこち点在する小さなお土産屋さん。ポルトガルはコルクが特産で、それを使ったお財布やバッグなどの製品があるんだ。驚くことに、コルクの表面はサラサラして触り心地がとっても良く、まるで上質な布のように滑らかなんだよ。

 

ここでコルク同様に有名なのが、ポルトガルタイル。アズレージョと呼ばれる伝統の装飾タイルは、街の至る所で見ることができる。デザインが豊富で、シンプルな模様から複雑なものまでとにかく種類が凄い。そしてホントに美しいんだ。

 

散歩途中で、お土産に良さそうな可愛いコルクのバッグを発見。だけど手持ちのお金はドルがほとんどで、ここでは使えないんだった。何も買えないのは困るので、まずはお店の人が教えてくれた両替所に行くことに。目指すは坂の下の大きな街…何かミッションを授かったかのようにワクワクしつつ、言われた方向にある坂をひたすら下って行ってみたんだ。

 

大きな道沿いにどんどん坂を降りて行くと、景色が変わって近代的な建物やブランド物らしきお店が並ぶ通りに出たよ。カフェも大きくて、こんなにも変わるものなのかというぐらいにさっきと雰囲気が違う。車もいっぱい走っているし、道の幅もかなり広い。

 

とっても綺麗な街なんだけど新しいというか、知ってる感じの街並みだ。両替だけしてもう一度坂の上の街に戻ろう、そう決めてササッと用事を済ませて歩いていたら、嬉しいことにCD屋さんを発見。思わず吸い込まれるように中に入ってしまった私。

 

 

「ファド」を持って帰ろう

 

世界のあちこちにある素敵なものといえば。美しい景色もそうなんだけど、料理や音楽といった文化がある。特に音楽は持って帰っていつでも聞くことが出来るからホントお薦めだよ。旅先で撮った写真を見ながらそこで買った音楽を聴くと、色んな思い出がその時の空気を連れてやってくるんだ。

 

海外の街を歩いているとストリートミュージシャンが演奏していたり、レストランで生演奏が聴けることもしばしば。大概はその土地の伝統が混じった音楽だったりするから、観光している間に景色と一緒に頭の片隅にインプットされている。

 

ここポルトガルでの伝統音楽といえば「FADO(ファド)」。物悲しいようなメロディーで情緒溢れる音楽…かと思いきや、明るい太陽を感じるような曲調のものもあってさ。そんなメロディーに情熱的な歌が絡んだ美しい音楽なんだ。言葉はもちろんポルトガル語で、それもまた響きが耳に心地いい。

 

 

CD屋さんでは視聴ができて、地元の今オススメのミュージシャンの楽曲をあれこれ楽しめたんだ。ファドは伝統音楽でもありながら、今でもポルトガルの生活に基づいているようだ。生き生きとした現在進行形の伝統って素晴らしいね。

 

世界にどれだけ素敵なミュージシャンがいたとしても、日本でそのミュージシャンの音楽に出会える可能性は極めて低い。メジャーでないと耳に触れる機会はあまりないだろうし、ポルトガルの伝統音楽みたいに少しマイナーなものは特にだよね。気軽に試聴して選べるのやはやっぱり地元ならではのものだろう。

 

 

道を行くと、坂道沿いに路面電車が行き交っていた。坂の街では歩くのもなかなか大変だから、この路面電車はホントに重宝されているんだろうな。たくさんの人を乗せて、路面電車はスルスルと身も軽く坂道を登っていく。

 

乗ってみようと思って乗り場に並んでいる人に聞いてみたら、乗車して毎回料金を支払うシステムではないらしくてさ。どこかで先にチケットを購入してから乗るようだったので、残念だけど今回は諦めたんだ。

 

 

のんびり歩いて坂の上の街に戻ると、急に視界が広がって海を見渡せる空間に出た。見下ろすと港に私たちの船が停泊しているのが見える。だいぶ高台まで歩いて登ってきてたんだね。青い海はキラキラと太陽を反射させ、光と影のコントラストがこの街の美しさをグッと引き立てている。

 

犬と歩けば食堂に当たる

 

通りを散歩していると、日常の素朴な風景に出会った。木陰のベンチに3人仲良く並んで座っているおじいちゃんたち。ゆっくりと流れる時間。そんな風景を眺めているだけでまた満たされた気持ちになったよ。

 

 

その後、街をぐるりとひたすら散策。2時間ほど歩いたかな、とにかく味のある街並みだから、ずっといても全然飽きず楽しかったよ。街が小さいから歩いてまわれるのがいいよね。今日は電車もバスも全く使ってないけど、とにかくあちこちに行った気がする。

 

歩くスピードで見る風景はじっくりと記憶に入って来るから、濃度が凝縮されて頭に張り付いていくような感じなんだ。今日はたくさんの、生活の中にある細い道を通り抜けたよ。

 

 

小柄な可愛い犬が私の前を歩いて道案内してくれたり、色んなお店に立ち寄っては初めて見るものを手に取ってみたり…感じることに意識を集中させながら歩いたリスボンの街。

 

充分に満足してから坂道を下り、港に向かう。その途中に何だか美味しそうなレストランを発見したんだ。気取らない感じの、食堂的な雰囲気がホッとするお店。

 

 

賑わっているその中に入ってまずはビールを注文。それからシーフードのリゾットのランチセットを頼むと、結構なボリュームで出てきたよ、しかも美味しい。トマト系のリゾットでエビや貝などのシーフードたっぷり、トマトソースに魚介の味がしっかり付いててコクもある。熱々のリゾットが冷める間もないうちに完食してしまったよ。

 

そして満腹になった所にやってきた、これまたボリューミーなデザート…まぁ、別腹ということで。

 

 

そのデザートのビスケットケーキが、フォークを縦に突き刺した状態で運ばれてきたので驚いた。日本じゃこれやっちゃあダメだよね。けどどうやら海外ならOKらしい、所変わればだね。そして更に驚いたのは、これ全部で5ユーロだったってこと。うーん、ポルトガルに移住したいかも。

 

デッキでじんわり味わう出発の時

 

 

今日の出港は夕方前。船のデッキでは大勢の人がカメラを構えている。晴れて眩しいほどの青空に、美しく映えるポルトガルの街。丘の上には今日近くを通った教会の姿が見えていた。濃厚な時間だったなぁと、今日一日を振り返って改めて思ったよ。気がつけば船はゆっくりと動き始めている。

 

明るい時間の出港は、感傷的気分よりも楽しさが上回る。夜の出港で夜景を見ながら出港するロマンチックさはないにしても、その国の風景を見渡しながら今日どこへ行ったか思い出したり、隣にいる友人と一日の行動をシェアし合ったりするのが楽しいんだ。

 

 

対岸に流れていくポルトガルの景色。大きな橋が頭の上を通り過ぎていくのも船ならでは。そう言えばレインボーブリッジに始まり、今までいくつもの大きな橋をくぐってきたなぁ。橋をくぐる時はみんないつもテンションが上がり気味なのが面白い。

 

突然、私たちの船が走っている横に大きく回り込んでピタリと船体にくっついてきた小型船がいた。何だろう、忘れ物でも届けに来たかなって見てたら、どうやら船長さんを迎えに来た様子。大きな船が港から出航する際には、安全面の都合上で港内は、その国のパイロットさんが船を運転することになっているんだって。

 

 

みんなで上から覗き込んでいたら、人がひとり小型船にヒョイと乗り込んだのが見えた。「バイバーイ!」大きく手を振る私たちを見て、パイロットさんは笑顔で大きく手を振ってくれたんだ。そして小型船は、勢いよくポルトガルの港に向かって走り去って行った。

 

遠ざかっていくポルトガル。デコボコした坂道と古くて味のある生活感を垣間見せてくれたリスボンの街。きっと次は、路面電車で坂道を探検しに来るからね。

 

 

PHOTO GALLELY

「PHOTO GALLELY」

 

真っ赤な額に絵を切り取ったよう

 

曲がりくねった道があちこちに

 

玄関先に座って読書

 

路面電車でお買い物

 

扉の取っ手は可愛い手

 

楽しいおしゃべりの時間

 

街をずっと登って振り返れば海

 

街にはトゥクトゥクも走っている

 

アイスクリーム屋さんの朝が始まる

 

アートなタイルとポップな消火栓

 

坂道の街の日常風景

 

美しいポルトガルのタイル「アズレージョ」

 

こちらの看板も可愛いアート

 

新しいタイルも売っているよ

 

丘の上からはこの景色

さりげなく素敵にポージング

 

ブルーと白のタイルが美しい

   

(取材・文・写真/Hinata)

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