
更新日:
ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。 最初から読む ひとつ前の記事を読む
あぁホントに、人生は不思議だな。世界一周の旅に出たホクレア号をまるで追いかけるかのように、私も船で旅にでることになるなんてさ。そしてそうなるとやっぱり考えちゃうよね…ホクレア号はいったい今頃、どこにいるんだろうかって。もしかしたら今度は、世界の海で会えるとか?何だかどんどん凄い展開になってきてるよ〜!妄想は置いておいてとりあえず調べてみよう。
いや、ちょっと待てよ。こういうのって、あんまり調べないほうがいいかも。だって今まですごい偶然の繰り返しで私たちは出会ってきてる。今さら調べてどうこうっていうのはやめようよ、なんて思ったりしてネットを閉じる。
…だけどちょっとだけ、チラ見くらいならいいかな。そこでチラ見して分かったのは8月現在、ホクレア号はオーストラリア辺りにいるってこと。そこからどういう進路で行くかはもう見なかったよ。でも私たちは、同じ方向に進むんだろうってのは分かる。だから、そうなんだよ。行き場所とタイミングがもし偶然重なったら、私たちは世界でまた会うことができるかもしれないんだ。

夏が過ぎてあっという間に12月、ついに私も出発の時がきた。沖縄を出て約3ヶ月半の船の旅だ。これも不思議な縁あって、10代の頃に一度乗せてもらったことのあるピースボートに乗っての世界一周の船旅。今回はスタッフとして乗船するからちょっと緊張。だけど楽しみなんだ、旅はホントにワクワクする!
さて。船の旅って結構のんびりしてるイメージあるよね、やることなくて暇するんじゃないって言われるんだけどさ。いざ船に乗ると、暇っていう時間はほとんどなくて。びっくりするほど忙しいんだこれが。パッセンジャーの皆さんも日々のイベントにあちこち参加してはエンジョイし過ぎるほどに動き回ってる。うん、分かるよ。船内では興味深い企画が盛りだくさんでさ、どれも逃すものか~と大いに楽しんじゃう感じ。
船の中では毎日「船内新聞」ってのが出てて、そこに一日のイベントや企画のタイムスケジュールがわんさかと書き込まれている。朝起きてすぐ新聞に目を通してチェック、今日は太極拳とヨガと社交ダンスと水先案内人の講演会と、寄港地の勉強会に語学学習、夜はパーティーディナーでライブもあるわ~なんてのを普通にこなしちゃうからみんなすごい。

いや、別に忙しいのは強制ではないよもちろん。行きたいものだけ行って参加すればいいだけ。全く何も行かないし参加しないっていう選択肢もある。一日中ぼんやりと海を眺めているのも良し、プールやジャグジーに浸かってのんびりするも良し、映画を見て楽しんだりジムで鍛えたり何でもありだ。
ピースボートの醍醐味って?
この船の面白さは、多様性という所にあると思う。とにかく年齢も職業も様々、全国の色んな場所から「旅」というキーワードだけで繋がった人たちが集まってる。船の中には小さな共同社会ができ上がっているんだ。そこで日々の生活を送るんだけど、ある意味人と関わることになる。

イベントに参加したりご飯を食べたりする時、隣に座る。そこで初めて何かを話しかけたり、一緒に何かをしたりするんだ。そんなの煩わしいって思うなら関わらなくても大丈夫。どう過ごしたいかは選べるんだ、自分の行動次第だから。だけど、案外関わるのって面白い。それは旅の終わりに近づけば色濃く感じることになるよ。大きな家族のような感覚になるんだよね、一体感ってやつかな。
もちろんいいことばかりじゃないかも知れない。意見が合わなかったり迷惑かけられたりとかって、普段の生活でも普通にあることがここにもある。だけど何だろうね。最後にはホントに離れがたいんだ、色んな思い出ができちゃってさ。たくさんの想いを抱いた分、成長は大きい。それがギュッと圧縮されて心の中に残る。
違いを知ること、意見を言い合うこと、常識や個性、様々な世界観。楽しみを分かち合うこと、技術を教え合うこと、隣に誰かがいて、おかえりといってらっしゃいがいつもあること。

年齢によってできること、できないこと、そしてそれを補い合うこと…船上運動会なんかでは、そんな風景がわかりやすく見えるよ。みんな心から楽しそうなんだ。そんな面白さがこの船にはいっぱい詰まっている。そうやって盛りだくさんな日々を送っていたら、ホクレア号のこともどこか記憶の片隅の方にいっちゃってた。
だけど不思議なもんでさ。ある日突然ソワソワしてくるんだよね。あ、なんか…近いかもって。これって全くの感覚でしかないよ、調べてないしね。第六感ってやつかな。私は今までの人生、ほとんどこれで生きてきたから自信あるんだ。
共に海を走るホクレア号を感じて…
そこで初めてちゃんと調べてみた。そしたらもうね、ドンピシャだったよ。明日私たちはナミビアに寄港してその後ブラジルへ。そしてホクレア号は、私たちよりかはブラジルに近い場所にいてさ。もちろん速度が全然違うから、このままいくとブラジルへはちょうど同じ頃に着くんじゃないかなって予想。
ここからブラジル到着までの10日間ほど。私たちはかなり至近距離で、同じように海に浮かんでブラジルを目指して航海していたんだ。今までの私たちの出会いの中でもこれは究極だと思う。なんでかっていうと、今までの出会いではホクレア号はずっと停泊していた。だけど今は違う、動いているんだ!しかも古代のまんまの航海術で、世界の海を渡っている…。

これって、かなり凄いことだ。古代のまんま旅している船と時を同じくして、しかもすぐ近くで同じように船旅をしているなんてさ。何だかイメージがシンクロするというか、隣に並んで走っているような感覚をリアルに想像してしまうよ。ホントの古代からきた船ではないけど、どこか時間軸が不思議に違うような気もするんだ。過去と平行した現在のような…そんな存在。
これ以前も、彼らは私たちよりだいぶ早めにモーリシャス、ケープタウンへと寄港していたらしい。私たちはそれを追いかけるような形でその2箇所にも寄港、ここに来るまでも同じ行動をしていたということが分かった。
そして、私たちの船がブラジルのリオデジャネイロに着いた同じ頃、ホクレア号はブラジルのNATALという場所に到着していた!これは同じブラジルでも少し距離があるんだけどね。今回はそんな感じで、ばったり出会った訳ではないにしても相当近い場所に同じタイミングで寄港していたんだ。
実際には会えていない、だけどすごく近くに感じていた。見えていなくても近くにいるってことが感覚で分かるのは、古代のナビゲーションシステムと同じような仕組みだったのかも。そこに船がいるって信じてるから感じるんだ。今、近くにいるよってね。
何かと「繋がる」面白さ
3年間会えることないと思っていたけど、2年後に一緒に海の上にいた。世界の海の上で存在を越えて感じ取ることができたんだ。それだけでもう充分だなぁって思う。それにこの話はまだまだ続きそうだしね。たぶん、ホクレア号が世界一周から戻ってきた頃には何かしら見えてくるものがあるんじゃないかって気がする。私たちがこうして出会い続ける訳を、そこから見えてくる私の、アイデンティティーから繋がっていく未来の姿を。
ちょっと長くなっちゃったけど番外編、私とホクレア号の不思議な縁のお話…個人的なエピソードを通して、私がホクレア号から教えてもらった大切なことや、ハワイが持っている深い部分を少しでも伝えられたらいいなって思ったから、ちょっとした物語としてここに書いてみたんだ。ホクレア号による世界中の寄港地でのアクションは、深い文化交流や歴史・環境などの勉強会に留まらず、自然と共存して生きて行く術を実践から伝えるとても具体的なものだ。彼女たちのチャレンジは未来を真っ直ぐ見据えながらこれからも続いていく。
そして。このお話を通して「何かと繋がる面白さ」を伝えられたら嬉しいな。もしあなたが旅したことないなら、是非って言いたい。長い旅でもいいし、すごく短くてもいいんだ。なぜなら旅は遥かなる縁を繋ぐし、日常を客観的に見るにもとてもいい機会だから。いつもの場所を離れて遠くからいつもの場所を見てみる。日常では出会うことのない人と繋がる。そして改めて、自分自身を見てみる。

誰でも一度は思ったことがあるんじゃないかな、「自分は何のために生きているんだろう」って。
その答えは、正直わからないかもしれない。答えなんてないかもしれないしね。自分が腑に落ちるというか、大きく頷ける何かがあるとすれば、それはひとつの答えなのかもしれないけど。そういったことのヒントを旅が見せてくれる時もあるんだ。もし、人生つまんないなあって思ってるなら、私は迷わず旅をおすすめするよ。
色んな世界観、言葉、食べ物、音楽、生活…全く違うものを見て触れて、感じることの面白さ。色んな人々の姿を見て自分自身を見る。「私とは、いったい何者なのか」自分の足元からそれを知るためにも。
ホクレア号と私の物語はこれでおしまい。最後まで読んでくれてホントにありがとう。少しでも楽しんでもらえたなら嬉しいな。物語はまだまだ続くよ、生きている限り展開し続けるんだ。
ここでちょっとオマケ・草の船で海を渡る!
ちょっとだけ追記。最近ね、沖縄の八重山諸島の一番端っこにある与那国島で、面白いプロジェクトが行われたんだ。
八重山諸島には小さな島々が点在してるんだけど、与那国島は晴れると台湾が見えるくらいの場所にあってさ。そんな与那国島から西表島まで約75kmの距離を、草を編んで作った船(※)で渡ってみようという実験が行われてたんだ。
これは「日本人はどこから来たのか」というテーマで、3万年前、台湾から沖縄に航海してきていたということを国立科学博物館などのチームが実証しようとしたプロジェクトでさ。なんでそんなことをしたのかっていうと、実は最近、八重山の石垣島で大昔の人骨が大量発見されていて、2万年以上前の旧石器時代の人骨発掘では、今回のは国内最大規模のものとなったらしいんだ。そうなるとやっぱり考えるよね、ルーツの事をさ。
※草船は、ペルー・ティティカカ湖の葦船をモデルにしたもの。

与那国、西表島から屈強な若者たちが集められ、草を編んで作った船に乗り込んでのこの実験的航海。結果は、船が北に流されすぎた為に伴走船で引っ張って進路を変えたり、夜間はうねりのために漕ぐことを中断したりなどして、西表島まで到着はしたものの本来の古代そのままの航海再現は難しかったということだった。
だけど今、このタイミングで、私たちのルーツを探るムーブメントのようなものが海を舞台に繰り広げられていることが面白い。色んな仮説を実証するためには、古代の英知は欠かせない。そしてそれを使うことでアイデンティティーの探求にもつながる。
みんな知りたがっているんだ。自分はどこから来た何者であるのかを。平和といえども政治的にも不安定さがあり、地震や自然災害など色んなものが一度に起こり始めている。そんな現代をしっかりと生き抜くためには、人に頼るだけではなく自分たちの力で何とかしていく必要がある。諦めるんじゃなくて、自分から発信していく力強さ。そのための生きる柱としてのアイデンティティーはとても重要なんだ。
そんなわけでいっぱい船の話をしたけど、私は別に船マニアって訳ではないよ。ロマンもそこそこで。だけどまた何かあったら、とりあえず続編出そっかな。
2016年7月某日
※この後、ホクレア号は世界一周の3年間の旅を終えて無事ハワイへと戻ってきた。そして私は、再び不思議な導きのままに出会う事となった。その話の続きはまた、どこかで…。
(取材・文・写真/Hinata)
コラム
ピースボートクルーズの費用は高い?安い?基本代金・諸費用・支払い・割引を確認できるチェックリスト
コラム
ピースボートクルーズに海外旅行保険が必要な理由|船内での感染症・緊急搬送・キャンセルなど想定ケースで解説
コラム
ピースボートの口コミはなぜ両極端?乗船者の声と時期・航路・客室別の傾向から「自分に合うか」を見極める
他の記事も読む
keyboard_arrow_right
「ピースボート」ってなに?
keyboard_arrow_right
どんな船で旅をするの?
keyboard_arrow_right
寄港地でのプログラム
keyboard_arrow_right
2029年12月出航
第126回クルーズ
ピースボート地球一周の船旅 2027年4月 Voyage126
春に出航し、アジアから地中海、ヨーロッパ、北中米へとめぐる全108日間の世界一周クルーズ。ヨルダンやサントリーニ島、ロンドン、バンクーバーなど多彩な港を訪れ、ソグネフィヨルドやアラスカフィヨルドでは大自然の絶景を満喫します。旅行のベストシーズンといわれる初夏には、地中海から北欧まで数々の世界遺産と出会う航路へ。季節が織りなす風景とともに、まだ見ぬ世界を体感する船の旅です。
おすすめクルーズはこちら
keyboard_arrow_right目次