更新日:2026/10/13

番外編・ホクレア号の世界一周③〜Peace on the Boat trip〜

ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。   最初から読む ひとつ前の記事を読む

不思議な縁はどこまでも!祈りとブレッシングの島Hawai’i

第2話(前回)はコチラへどうぞ  

そしてまた、月日は過ぎて…私はハワイの伝統「ロミロミマッサージ」を学びにハワイ島に来ていた。ホクレア号とばったり遭遇したカウアイ島から3年後、私が今回ハワイ島にやってきた目的は遊びではなく勉強。頑張ってロミロミ習得しなきゃあって思っていたら、また!なんだと思う?

 

いくらなんでもそう毎回は続かないよね。そこまで行けば前世で何か関係があるんじゃあないってくらいだよ。だけどホントに不思議なことってあるもんでさ。そう、やってくるって。ハワイ島にホクレア号が!

 

今回はそのニュースを、私がハワイ島に出発する直前に知ったんだ。ホクレア号が地球一周の旅に出る、そのスタート地点としてオアフ島からハワイ島に行くって。もちろん航空券を取った段階ではそんなこと全然知らなかったんだよ。私は今回勉強しにハワイ島に行くわけだしさ。

 

 

何年か前からホクレア号が地球一周する話は聞いているけど、いつ頃に出発するんだろうな~ってくらい情報もなくて。だからまた自分がハワイにいる期間中に、しかも自分の滞在している場所にピンポイントで船がやってくるってことはホントに驚きでさ。しかも今回ロミロミを習いながら、授業中に先生がホクレア号の話をし始めたんだ。そして、ハワイ島に船が着いたら会いに行くとも。

 

そうこうしながらもロミロミを勉強していたら、授業の最終日だったかな、ホクレア号がハワイ島の港に到着するって話が入ってきて。今いる街のかなり近い場所に停泊しているらしい、だけど私には交通手段がなくって…どうやってそこまで会いに行こうって思ってたんだ。

 

そして。授業も無事に全行程を終了して、宿を街から丘の方へと移動。知り合いの人の宿に場所替えをしたんだ。その宿はとっても素敵で、知る人ぞ知る宿なんだけどさ。そこには何人か宿泊客が日本から来ていて、ご飯を一緒に食べながら私たちは色んな話をしていた。そしたら…

 

この展開って…マジですか?

あのね、もうここまできたら驚かないよね。そのうちの一人の女性が、なんとホクレア号の取材で来てるって言うんだ。日本から来てるんだよ、しかも日本人の取材者は彼女だけ。あの、何でもお手伝いしますんで連れて行って下さいって言うと二つ返事でOKしてくれたんだ。そんな訳で翌日の朝には、私はホクレア号が待つ港へと向かっていた。ここまできたらきっと前世繋がりだな、うん。

 

ハワイ島はかなり大きく「ヒロ」と「コナ」の二カ所に空港があってさ。そのうちのヒロの街から少し行った港にホクレア号は寄港していた。たくさんの関係者で賑わっている広場から、海を眺めてドキドキしながらホクレア号を探す。

 

あっ、いた!波打ち際から30メートルほど離れた場所にもう一艘の船、ヒキアナリア号と一緒に仲良く停泊していたんだ。あぁ、またここで会えるなんて…しかも世界一周のスタート地点で再会できるなんて凄すぎる。彼女たち(※)は今から3年間かけて世界を旅し続けるんだ、だからここからもう3年間は会うことができない。そんなギリギリのタイミングで私たちはまた出会えた。ホントに感謝だなぁ、全てに。

  ※船は一般に、よく女性として扱われる。英語では船を女性名詞で「she」と呼ぶ。

取材でここに連れてきてくれたカメラマンさんも私とホクレア号との再会を喜んでくれて、そして更に、今回クルーとして乗る女性を私に紹介してくれたんだ。日本人ではふたりの女性が、ヒキアナリア号(ホクレア号のサポート船)に乗ることになっていてさ。そのうちのひとり、内田沙希ちゃんはとても若い女の子だった。えっと、なんか見たことある気がするぞ。うーんどこで見たんだろう…

 

そうだ!前回私は、カウアイ島でホクレア号の映像を撮ってたんだけど、そこにチラリと写っていた女の子じゃあないかな?あの時の彼女が、あれからなんと世界一周のクルーとして選ばれたなんて。

 

相当の努力をしたんだろうなぁ、想像もつかないや。たぶんこの時で20代半ばくらいかな、ホントに驚きだよ。話を聞くと、彼女は日本にホクレア号が来た時に初めて出会ってピンときたんだって。この船に乗りたい!ってさ。

 

当時彼女は高校を卒業する直前で。だけどこれといってやりたいこともなく、進路が決められずにいたんだけど、即決したんだ。それから卒業するタイミングでハワイに移住、ホクレア号の近くで何年もトレーニングや勉強の日々を送る。何度も言うけど、クルーに選ばれることはそう簡単ではない。誰もが夢物語と思うようなことを、彼女は直感と熱意と努力でホントにやり遂げちゃったんだ。

 

そんな彼女が凄い事に…

そしてこれは、この後の話なんだけど…ホクレア号の世界一周の旅で最初の目的地「タヒチ」の島を、何もない海の上から伝統航海術を使って最初に見つけたのも彼女なんだよ!話を聞いただけでも鳥肌が立つような素敵な物語だ。人間の可能性って、ホントにすごい。

 

できないと思って諦めることと、できると思って行動すること。人生にはそのふたつの選択肢が用意されている。その結果は色々だとは思うけど、何を選ぶか、可能性を広げられるかはホントに自分次第だ。スターナビゲーションで、陸がそこにあることを信じないと陸は見えないのと同じように、まずは信じることが「見える」ことに繋がってくる。全てはどこまで自分を信じられるか、だよね。

 

話は戻って、世界一周の旅の出発まで、あと何日かヒロの港に滞在するホクレア号。その周りには日々、たくさんの人々が集まってきていたよ。ホクレア号はハワイの人々にとって誇りでもあるんだ。自分たちのアイデンティティーを、守りたいものを大切にしながら世界にメッセージを送っているホクレア号。だからみんな噂を聞きつけてどこからともなく集まってきては、微笑みを持った深い眼差しでホクレア号を見つめている。

 

その広場では毎日色んなことが行われていたんだ。歓迎の歌や踊りの披露もあれば、セレモニー的なものもある。祈りを持った儀式のようなものも行われていたらしい。古代から今でも、ハワイでは目に見えないエネルギーに対して敬意を持って丁寧に対応しているんだ。

 

 

現代では昔と比べてあまり大切にされなくなってきたもの、自然や土地の神様などに対する感謝の想いを伝えることは、自分たちがどこに属していて、どうやって生かされているかを知る大事なことでもある。「目に見えない存在」に祈るってのはそういったことでもあるんだよね。

 

突然のアクシデントで大海原に取り残された時、一体なにを一番信じられるだろう。現代の技術?情報?常識?いざという時、これらはなにか助けてくれるのだろうか。そんな時に信じられるのは自分と、仲間と、そこにあるものだけだ。海や天気や魚や鳥、そんな色んなものからのメッセージをしっかりと聞き取ることができなければ、生死にも関わってくる。そしてまた、そんなメッセージを聞き取りやすくしてくれるのが、祈りというツールなのかもしれないね。

 

そうやってホクレア号の周りでは数日間、色んなことが繰り広げられていた。その間にも、ロミロミの先生がクルーたちにここでロミロミマッサージをやってあげたりしていてさ。私も習いたてだけど、やりなさいって先生が言ってくれて。だけど雨が急に降ってきて仕方なく断念…これはきっと次回、またここに来てロミロミやりなさいってことなんだなって思った。そう、次回。世界一周からホクレア号が帰ってくる時にだ。

 

旅立ちの朝に届いたプレゼント

そうこうしているうちに私が日本に帰る日が近づいてきた。実はホクレア号の出発日が、悪天候の為に予定より何日もずれ込んでいてさ。とうとう私が帰る同じ日に、世界へ出発するという話になったんだ。まさか一緒にハワイを出ることになるなんて…だけど私の出発の方が時間的に少し早く、ホクレア号の出発を見送ることができないってわかったんだ。

 

その日の早朝、飛行場に向かう前にホクレア号に一目会いたいという私の願いを、ハワイ島に住む友人が叶えてくれた。車は少しスピードを出しながら港に一直線に走っていく。

 

 

雨が降ったり止んだりしているような天候の中、早朝で人影もまばらな港の広場にたどり着いた。海の方へ駆け寄って見るとホクレア号とヒキアナリア号が寄り添うようにして静かに佇んでいる。いよいよ出発だね、無事に帰って来れますように。そしてまたここで会おうね…そう心の中で呼びかけてお別れしたんだ。

 

車に乗り込むとギリギリのタイミングで雨がきた。時間もギリギリで急いで空港に向かっていたその最中、猛スピードで走る車のフロントガラスの視界の端にふと光が見えた。横に向かって朝日がサアッと差したそこに現れたのは、大きな虹!その景色は空港に着くまでずっと追いかけてくるかのように、車の窓の端に姿をとどめていた。

 

そして私が搭乗口から飛行機に乗り込む頃になると空は晴れ、虹は聖なる山「マウナケア」に大きな柱を立てていた…ホントに驚いたよ。ハワイでは、大事な時には雨がサッと降って虹が出るんだよって教えてもらったんだけど、これはとっても素敵なプレゼントだ。きっとホクレア号もこの虹の祝福を感じているはず。私たちはハワイから一緒に出発するんだね。ありがとう。そして、いってらっしゃい。

 

そんなお別れをしてから2年後…沖縄でのんびりと暮らしていた私が、思いもよらぬことに世界一周の船旅に出ることになったんだ。

  最終話へと続く…  

(取材・文・写真/Hinata)

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