ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。
笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。
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私たちはどこへと向かう?ホクレア号から届いた不思議な問いかけ
第1話(前回)はコチラへどうぞ
ハワイから沖縄まで、ホクレア号の航海のナビゲーターを務めた「ナイノア・トンプソン」。彼をリーダーとして船は古代の航海術で大海原を渡り、陸地も何も見えない旅を幾日も果てしなく続けた。そんな気の遠くなりそうな航海を経てついに彼は沖縄の島を見い出し、ホクレア号を陸へと導いたのだった。
何の確証もない中で、そこに陸地があると信じて進むしかない…そんな古代の航海術だけで海を渡るのは本当に勇気がいることだし、自分を信じきれないとできないこと。そして、仲間たちの命も預かっている。過去にホクレア号が嵐の中で遭難した際には、救援を求めて海に漕ぎ出しそのまま帰ることがなかった人もいる(※)…それほど本気で命がけの旅なんだ。
※プロサーファーの「エディ・アイカウ」、彼が亡くなった時の英雄的行動は後に「Eddie would go(エディなら行くぜ)」という有名なフレーズとなって語り継がれている。
ナビゲーターのナイノア・トンプソンは映画やメディアにも取り上げられていて、ホクレア号がこうやって日本に来ることになった立役者でもある。ホクレア号には様々な人が関わっているんだけど、その中でも彼の果たした役目は大きいと思うんだ。情熱に突き動かされた彼はサタワル島のマウ・ピアイルックから伝統航海術を学び、本当に色んな紆余曲折を経てここまでやってきた。
ホクレア号はなぜ航海を続けているんだろう。その理由のひとつに、アイデンティティーというキーワードがある。アイデンティティーといっても様々だよね。ルーツだったり、他との繋がりだったり、自分がどのように生きているかっていう証のようなものでもあると思う。ハワイ先住民の伝統文化復興運動のシンボルとして世界の海を渡り続けているホクレア号は、ハワイの人々の失われつつあったアイデンティティーをしっかりと取り戻すためのものでもあった。
「自分が何者であるか」という問いかけに誇りを持って答えることができるように、ホクレア号はポリネシアに伝わる素晴らしい叡智を証明してみせたんだ。何度も繰り返し航海は続けられ、その度に人と人、場所と場所を繋いできた。ここには書ききれないほどの物語を映画や書籍でも見ることができるので、機会があれば是非見て欲しいな。とても素敵な物語だよ。
ナイノアが壇上に立って、船旅の話をする。沖縄最後の日の講演会の中で、その話はこどもたちの未来に向けてのメッセージでもあった。船の一部分に「Kapu Nā Keiki」と刻まれてあるのは、「こどもたちの為に」という意味のハワイ語なんだって。今彼らがやっていることは、過去に対してのものだけではなく未来に対するアクションでもあるという部分が、とても重要なポイントだ。