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ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。 最初から読む ひとつ前の記事を読む
ここでちょっと番外編。 少し不思議な話になるんだけど、私の実体験と合わせてもうひとつの船の旅を紹介するね。
ポリネシアトライアングルって、聞いたことあるかな?ハワイイ(ハワイ)を頂点として、アオテアロア(ニュージーランド)、ラパヌイ(イースター島)とを三角形に結んだ中にある地域がそう呼ばれているんだ。そこには小さな島々が点在していて、ちょうど真ん中あたりにタヒチがある。
1975年、ハワイに生まれた双胴船ホクレア号はそのトライアングルの中で実験的に航海を始めた。古代の航海術のみで行く初めての旅は、ハワイからタヒチだった。

このホクレア号、実はそんなには大きくなくてさ。二艘のカヌーの胴体の長さは19メートル、そのカヌーが板で繋がれた中央に2本のマストが立っているだけの、何ともシンプルなつくりの船だ。それがエンジンやGPSなどの現代的なものを一切使わず、古代の人たちが航海していた方法を使って島から島へ旅するという、すごい技をやってのけているんだよね。
古代の人たちは、どうやって航海してたと思う?実は、彼らは自然を読み解きながら旅をしてたんだ。例えば太陽、風、星、波、鳥…そんな自然の中にあるものから色々と読み解いて、今いる場所や目指す方向、陸が近いかなどを知ることができる。古代の人たちは当てずっぽうで色んな島にたどり着いた訳ではなく、ちゃんと理解した上で確実に目的地に向かっていた。ホクレア号のチャレンジは、それを証明する為に始まったプロジェクトなんだ。
これってすごいことだと思わない?携帯電話がないとお互い待ち合わせも出来ないくらいに常に自分以外の力(文明の利器)に頼っているようなこの時代にさ、道具に頼らず自分の力で遥かなる島を見つけ出そうなんて、一体誰がそんなこと考えついたんだろうね。そして今、なぜそれをする必要があったんだろう。
ホクレア号とピースボートが…!?
冒険って、ロマンいっぱいなイメージ。誰でも一度は憧れたことがあるんじゃないかな。無人島に行ってサバイバルしてみたいとか、船で旅して宝島を発見してみたいとか、昔から映画や本でも色んな冒険の物語があるほど、夢のある世界なんだって思う。
ただ、これは物語ではなくて現実。ロマンいっぱいではあるけど危険な旅でもある。風だけが動力だからホントに行程は風まかせだし、実際に船が転覆するということもあるからその旅は想像を絶するものでもあるんだ。

実際、この船のクルーに選ばれる人はみんな「スターナビゲーション(ウェイファインディング)」と呼ばれる古代からの航海術をしっかりと学び、身体的なトレーニングを受け、厳しい実践テストを受かった強者たちばかり。そしてホクレア号は未知なる旅を続けた結果、数々の航海を達成して世界的にも認知されてきた。
なぜ今ここで、そんな話をしているかって?そう、このホクレア号がついに、地球一周の旅に出ることになったんだ!もちろん古代の航海術だけで世界の海を渡るんだよ?驚きだよね。そして、旅がスタートしたのが2014年の夏、そこから約3年の年月をかけて世界のあちこちを旅することになってたんだけどさ…

実は、私たちが船で旅をしていた90回クルーズの中盤、モーリシャスからケープタウン、ブラジルという行程を目指していた時、驚くことに彼らはとても近くを旅していたんだ!それが分かった時に、深い、果てしない縁を感じられずにはいられなくて。またしてもここで…きっともう、何かが始まってしまっているのかも知れないって。私がそう思ったことには、実はちょっとした理由があるんだ。
こんなことが始まるなんて…
話は遡って2007年、ホクレア号は日本にもやって来た。ハワイから日本へ6000キロの遥かなる旅。その最初の到着地である沖縄で、私たちは初めて出会うこととなる。

正直いうと最初、ホクレア号に特別興味はなかったんだ。映画で見てからホクレア号のことは知ってはいたけど、船というものにそこまで興味はわかないというか…女子だしね、ロマンって言われてもね~みたいな感じでさ。だから「ホクレア号がハワイから沖縄本島に来るから見に行くよ」って、近所に住む友人が言い始めた時かなり他人事のように聞いていたんだ。
当時、私は沖縄本島から離れた離島の西表島に住んでいて。沖縄本島までワザワザ船を見に行くなんて…って思ってた。だけど、日が経つにつれて何だかそわそわしてくるんだよね、何だか分からないけど会いに行かなきゃいけない気がしてさ。なんだろうね、この感じ。私はいつも直感で動くようにしているから頭ではその意味はわからなかったけど、とにかく従ってみようと思ったんだ。

当時ホクレア号が、ハワイから沖縄に伝統航海術だけで到着したということは結構凄いこととしてメディアでも取り上げられていて、県内外からも注目を集めてかなり盛り上がってた。そんな中、西表島から本島に行く私は、本島に住んでいる友人に久しぶりに連絡をとってみようと思ったんだ。
電話でホクレア号の説明をしようとした。そしたら彼女、なんて言ったと思う?「あ、それなら話が早い。一緒にスタッフとして動いてね。」ってさ。ん?どういうこと?実は、当時から彼女はメディア系の仕事をしていたんだけど、今回のホクレア号の沖縄入りをカメラに収めるべくスタッフとして数日間撮影することになっていたんだ。驚き!
そんな訳で、本島に着いて友人に会ってすぐ再会を懐かしむ間もなくスタッフTシャツを手渡され。間もなく始まろうとしているホクレア号と私との、深い縁が結ばれるスタート地点へと向かった。まさかその後、何年かに続くホクレアとの縁が待っているなんて…この時にはもちろん、全く思いもしなかったんだ。
ここから、深くつながった縁…
沖縄でのウェルカム体制はとにかく凄かったよ。ホクレア号が停泊した港では日中ずっとイベントが開かれていて、フラや音楽の生演奏などで会場は賑やかに華やいでいた。私はそんな景色を遠目に眺めているだけの予定だったのが何故か今、汗をかきながらクルーたちの食事になるBBQを焼いているのが不思議。イベントは暗くなるまで続き、大盛り上がりのステージでは最後に大カチャーシー大会。クルーも参加者も混ざり合って沖縄の歓迎会は幕を閉じた。
次の日もまた船の停泊する港へ。ここで思いもしなかった、初めての乗船体験!みんな何日も前から予約して、キャンセル待ちでようやく乗れるような状態なのになぜか急にひとり分空きが出て、その場にいた私が乗れることに。だってあの、ホクレア号だよ?停泊している状態とはいえ、映画や本で見ていた遠い存在が…ホントに乗っていいの?と、少し緊張しながら初めてホクレア号の船体にそろりと乗ってみた。

なんか、優しい。船って男の感じがするかと思ったけど、どこか女性的で。荒さとか男気とかを感じないんだ。どちらかといえば大きな母のような包容力と芯の強さ。
ふと、上を見上げる。高くまっすぐ立ち上がっている柱の先っぽに、布のようなものがはためいている。不思議と気になって何度も見上げたんだ。聞いてみたら「ハワイから神様を連れてきているよ」だって。それは、船体の後ろにあるティキ像のことなんじゃないかって他の人には言われたけど、私は柱の一番上にいると思ったんだ。彼女は船全体が見渡せる、一番高い場所からみんなを優しく見守っていた。

船の上にいる間は、不思議と感謝の気持ちで心穏やかに過ごせた。色んな想いを、この船は運んでいるんだなぁって感じたよ。そして船を降りてから乗船会に来た人が少なくなった頃、船の前でクルーが集まってゆっくりと円になり手をつなぎ始めたんだ。
その場からそっと立ち去ろうとしたら、体の大きなクルーが横に立って片手を私に差し出した。えっ、いいの?そしたら後ろからやってきた他のクルーが、もう片方の私の手を取ってギュッと握ったんだ。
円は大きなまん丸の形になって、クルーたちは向かい合い静かに目を閉じていた。つなぎ合わせた両手をぎゅっと握る。ハワイから沖縄まで、命がけの船旅をしてやってきた彼ら。古代の英知を証明するために、そして、これから世界に向けてのメッセージを運ぶために。ものすごく純粋で力強いエネルギーだ。彼らが運んできた大切なものが、私の中にも流れ込んでくる。何かがグッとこみ上げてきて目頭が熱い。ありがとう…ただそれだけしかなかった。
(取材・文・写真/Hinata)
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第126回クルーズ
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春に出航し、アジアから地中海、ヨーロッパ、北中米へとめぐる全108日間の世界一周クルーズ。ヨルダンやサントリーニ島、ロンドン、バンクーバーなど多彩な港を訪れ、ソグネフィヨルドやアラスカフィヨルドでは大自然の絶景を満喫します。旅行のベストシーズンといわれる初夏には、地中海から北欧まで数々の世界遺産と出会う航路へ。季節が織りなす風景とともに、まだ見ぬ世界を体感する船の旅です。
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