
更新日:
ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。 最初から読む ひとつ前の記事を読む
ゆっくりと展開していった船の旅も終盤に差し掛かり、色んなクライマックスの場面を経てついに夢の島、タヒチへ。南国の楽園への期待は深まるばかりだ。

晴れ渡った朝、船はゆっくりと首都パペーテに到着。前日の大雨を吸い込んで、島の緑は生き生きと輝いていた。
船から降りるといつものように生演奏のお出迎え、そして今日は特別に白いお花がみんなに配られていたんだ。小さくて香り高いお花を耳の上に差してタヒチアンスタイル。それだけでこの土地に馴染んだような気がしてしまう。

ウキウキしながら街へとくり出してみた。お土産屋さんが立ち並ぶエリアの道沿いはタヒチの民芸品や、色とりどりのパレオが至る所で売っていてとっても色鮮やか。名産品の黒真珠はアクセサリーが安価で手に入れられ、その上デザインも豊富なんだ。

南国感漂うカゴや帽子の横には、オリジナルのタヒチアンオイルが所狭しと並んでいる。生花で作ったレイという首飾りもあちこちに売っていたり、市場にいるだけでどっぷりと南国気分を味わえてテンションも急上昇。

市場でお昼ご飯を物色してたら、色とりどりのフルーツや野菜、魚などに混じって、タロイモやサツマイモらしき芋が売られていたんだ。色んな芋が蒸してある料理と、新鮮な生魚をココナッツソースで和えたタヒチ料理をそこでゲット。
更に、テイクアウトできる惣菜屋さんの通りを奥に進んで行くと、あちこちにフランスパンのサンドイッチを発見。ここはフランス領だからこの文化なんだよね、だけどお洒落さがあるかっていうとそうでもなくってむしろその逆、サンドイッチの中身のダイナミックさにアッと驚いた。
このボリューミー感は一体…

フランスパンにぎっしり挟まっていたのはソーセージ、ポーク肉、そして山盛りのフライドポテト!野菜は一切れもはいってない肉肉しい内容。これはもうタヒチオリジナルだね。笑えるけど是非食べてみたいということでまずは購入。
どこで食べるかウロウロしていたら、ヒナノビールが看板に描かれているレストランを発見したよ。これはタヒチの地元ビールなんだ、最近は日本でもたまに見かけるかな。是非ぜひ飲んでみないと~って言いながらお店に入ると、席に座った途端、まだオーダーしてないのにヒナノビールがきた。

まあ、ここに来てヒナノビールを飲まない人はいないのだろう、ということで席に着くや即乾杯。そしてラッキーなことに、この店はレストランにも関わらず持ち込みOKらしい。私たちは遠慮なく肉肉フランスパンサンドを口いっぱいに頬張り、昼間っからヒナノビールをプハーっとまるで日曜日のオヤジさん状態。
けっこう長い時間そこで飲み続けてから、ほろ酔い気分でその後もあちこちでショッピングをした。スーパーではヒナノビールとフランスパンを購入、街を歩いて散策して楽しんだのがパペーテでの思い出。ヒナノと過ごした一日って記憶かな。

そして、次の日。船は海の上に美しく姿を現したボラボラ島へ寄港。昨日とはうって変わって、大自然の中をじっくりと堪能コースだ。港で迎えてくれたのは陽気で華やかなタヒチ音楽の生演奏、一瞬で南国感たっぷりのゆるゆるした空気感に染まりきってしまったよ。

今日はジープでの島内観光ツアー。みんなで狭いジープにキュッと乗り込むと、車は心地よく風をはらませながら島を駆け抜け始めた。窓ガラスがない車ってワクワク感があるよね。しかもジープだからどんな所でも行けますよってことで、それを証明するべく、車は山のボコボコ道を勢いよく駆け上り始めた!
ジープはまるで遊園地のアトラクション状態。左右の激しい揺れに振り落とされそうになりながらキャーキャー騒いで、山の上へとグングンと登っていく感じが笑える。ジャングルのような森の中を抜けて突然、山の中腹の明るい場所に出た。眼下に広がる美しすぎる景色に一同「うわぁ…!」と感嘆のため息。
美の中に身を委ねて生きる

晴れ渡った青空の下には、爽やかなターコイズブルーの海が色柔らかく穏やかに広がっている。海のブルーの種類は日本とはまた違っていて、グラデーションのどれもが水色ベースな優しい色。そんな何層もの色が美しく全体を彩っている海に小さな船が気持ちよさげに浮かんでいる…何だか夢の中のような光景だよ。
丘を更に奥に進むと、小さな広場にたどり着いた。さっきの眺めと同じくターコイズブルーが眼下に広がるその場所には、緩んだ心が突然キュッと握られるような、違和感あるものが置いてあった。

楽園に不似合いな古びた黒い大きな鉄の物体。そう、砲弾だ。第二次世界対戦時、日本軍を迎撃するために設置されたという。今、改めてここで見ると違和感のかたまりでしかない。幸い未使用で終わったという話だけど、時代が違えば私たちは標的となる存在だったなんて…こんな楽園のような場所にも闇はある。

丘の上でゆっくりと過ごした後は、真珠を加工している工房に行ったり、パレオを手染めしている工房にもお邪魔した。
手塗りされた布は優しい色合いで、タヒチの日射しに美しく透けている。描かれている風景も素朴で、柔らかなタッチのデザイン。昨日パペーテの街で見た原色のパレオとはまた全然違っていたんだ。同じタヒチでも、やっぱり街と田舎とで雰囲気が変わってくるんだね。

そういえばパペーテはあちこちお店だらけだったよ、ここボラボラ島では港周辺にまとまって何軒かあるだけ。きっとパペーテも昔は、ここのような素朴な島だったんだろうな。今じゃあお洒落で値段の高いレストランや、高級ブティックもあるようなちょっとした街だ。
ゴーギャンが絵に描いていたタヒチ…残念だけど今のパベーテの街にその空気感は見いだせなかった。もしかしたらボラボラ島のどこかにはまだ、その頃のタヒチの欠片が残っているのかも知れないけどね。
ボラボラ島はこじんまりとしていて小さく、その中程に象徴的に岩山がひとつそびえ立っていた。

聖山のような貫禄のあるその山は島のあちこちから見えていて、まるでその山の頂から島全体に薄い透明な膜を広げているかのような存在。何て言えばいいんだろう、それはどこか島を隠しているようにも感じられて…
人々は守られている、この島に。そして委ねているんだ、生きることの全てを。そう思えるような不思議で境目を感じないような一体感がある…集落の外れの塀にもたれかかっていた少女の姿を見た時に、ふわりとしていたその感覚は、きっと間違っていないという確信に変わった。
ゴーギャンが見た白昼夢

ジープツアーも終わりに近づいてきた。走るジープの車窓に切り取られた海を眺めていると、横一列に連なる海上コテージがまるで一枚の絵画のように見えてくる。ひと部屋ずつのコテージには海に降りる階段がついていて、まさに海に抱かれたという表現がピタリとはまる空間のようだった。
そこから少し行くと最終地点のビーチにたどり着き、車を降りた私はしばらくの間その場に言葉なく立ち尽くした。

まるで幻想のような風景。海は透明度が高くどこまでも遠浅で、水中の白砂に光が反射してキラキラと輝き、浜辺の椰子は木陰を作り南国の熱気を柔らげている。その奥では、熱帯の森がまるで大きく呼吸をしているかのようにゆらゆらと揺れている。あぁ…ここは紛れもなく、タヒチだ。

こんな楽園のような場所できっと、ゴーギャンは創造性を刺激され日々絵を描いていたのかも知れない。南国の太陽で肌を小麦色に焦がしつつ筆を握り、タヒチの持つジットリとした熱帯感に意識をどこかへと誘われながらも、目の前に寝転ぶ美しいタヒチ女性をキャンバスに写し取っていたのだろう。

それは白昼夢のようで、もったりとしていて南国の熟しきった果実の濃厚な香りに包まれた時のような、気が遠くなるような世界だったのかも知れない。
地面からの白い光を伴った熱気は、どこかへ消えつつある私の意識の奥まで届いて陽炎のように揺れている。このまま気を失ってしまうかもしれない、ふとそう感じる。そしてそれは不思議と、ここの空間に深く漂うために必要なことのようにも思えた。

足元をするりと通り抜けて、海辺に向かって立った一匹の犬が私を現実に連れ戻してくれた。今度は意識的に現実感を保つようにして、海を眺める。誰もが言うように、タヒチの海は格別だ。色のグラデーションも透明感も…パラダイスという響きによく馴染む。森の気配は濃く、海は透明すぎて、ある意味「この世から遠いような気もする」ぐらいだ。
タトゥーが解き明かす謎
ところで、タヒチの文化といえば。ポリネシア全体でそうなんだけど、タトゥー文化が特徴的でさ。街を歩く時に注意深く見ていたらそれが分かると思うんだ、タヒチアン、特に男性はどこかしら体にタトゥーが入っている感がある。ただ単にお洒落としてやっているのではなく、これは風習なんだ。元々はタヒチ語の「タタウ」が語源になっているらしいんだけど、タトゥーが何で存在するのか…実はとても興味深い話がある。

本来のタトゥーは神様からの贈り物で、タヒチに生きる人々の間で神聖なものとして大切にされていた。マナと呼ばれる「聖なる力、神秘的な力、生きるためのエネルギー」を、体の中に保てるようにプロテクトするものとして存在していたんだ。
そしてタトゥーは、現世だけでなく死後にも実体を残すものでもあった。18世紀末に宣教師によって禁止された後、1980年代には、タトゥーの持つ本来の神聖さは薄まっていたものの、タヒチの人々のアイデンティティーを示す大切な証として復活したタトゥー。

その模様には意味がそれぞれにあって、部族や家系、住んでいる場所や社会的な地位を示していたり、人生の重要な区切りをやり遂げたことを意味するシンボルでもあり、文字通りそれを体に刻み込むことで彼らは自分自身をそこに表現していたんだ。
そんなタトゥーがポリネシアだけでなく、実は日本の沖縄(特に離島)・アイヌにも文化として残っていて。驚くことにとってもよく似ているんだよね。それがさ、和彫りとはまた全然違う模様だから不思議なんだ。遠い民族とのルーツの繋がりを感じずにはいられないよ。

ルーツの話をしたところで、ここでひとつ話しておきたいことがあってさ。この旅の寄港地は次のマーシャル諸島でもう終わりなんだけど、実はこの船旅とまるでリンクするかのように、ある小さな船で、もうひとつの世界一周の旅が行われていたんだ。マーシャル諸島の後にそのお話をするね。
PHOTO GALLELY

ヒナノビール・ブラウンジョッキ生!

ゴーギャンのラベルの「タヒチアン・ラム」

フランスパンを買いに行くのはおじいちゃんの日課

タヒチの植物を使用した手作りオイル

教会をいくつか見かけた

伝統的なアウトリガーカヌー

ボラボラ島の美しい音楽を奏でる

この島といのちを共に歩むもの
(取材・文・写真/Hinata)
コラム
ピースボートクルーズの費用は高い?安い?基本代金・諸費用・支払い・割引を確認できるチェックリスト
コラム
ピースボートクルーズに海外旅行保険が必要な理由|船内での感染症・緊急搬送・キャンセルなど想定ケースで解説
コラム
ピースボートの口コミはなぜ両極端?乗船者の声と時期・航路・客室別の傾向から「自分に合うか」を見極める
他の記事も読む
keyboard_arrow_right
「ピースボート」ってなに?
keyboard_arrow_right
どんな船で旅をするの?
keyboard_arrow_right
寄港地でのプログラム
keyboard_arrow_right
2029年12月出航
第126回クルーズ
ピースボート地球一周の船旅 2027年4月 Voyage126
春に出航し、アジアから地中海、ヨーロッパ、北中米へとめぐる全108日間の世界一周クルーズ。ヨルダンやサントリーニ島、ロンドン、バンクーバーなど多彩な港を訪れ、ソグネフィヨルドやアラスカフィヨルドでは大自然の絶景を満喫します。旅行のベストシーズンといわれる初夏には、地中海から北欧まで数々の世界遺産と出会う航路へ。季節が織りなす風景とともに、まだ見ぬ世界を体感する船の旅です。
おすすめクルーズはこちら
keyboard_arrow_right目次