更新日:2026/10/13

チリ・バルパライソ編〜Peace on the Boat trip〜

ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。   最初から読む ひとつ前の記事を読む

パラダイスってどんな風景?まさかのショットで気分上昇

 

バルパライソ。 その夜景の圧倒的な美しさは世界的にも有名だ。煌めく街明かりは深みのあるオレンジ色に統一され、小さなその無数の輝きに街全体が彩られた姿は、まるで宝石箱を彷彿させる。

 

寄港前夜、船はバルパライソを存分に見渡せる場所に停泊した。美しい夜の景色をこれ以上ないベストポジションから眺めつくすその贅沢さ。闇に浮かぶ光の街はまるで夜のパレードのように揺らめき、遥かなる幻想へと誘っているようだ。「パラダイス」を意味する「パライソ」、その名前から想像する美しく優雅な街へと期待は更に膨らんでゆく。

そして朝。港の待ち合わせ場所で合流したのは、同船でスタッフをやっている6名の男女。フランス、アメリカ、ロシア、そして日本人といった国際色豊かな編成だ。ワクワクしながら浮き足立って線路沿いの通用口から街に入ると…パラダイスというイメージとは、少し違う風景と出会ったんだ。

 

どちらかというと荒削りといった具合の、街の日常へと続く雑踏。遠く続く線路はそれを切り裂くように横切って、家々がギュッと詰まった丘に向かって真っ直ぐに伸びている。この道が、ホントにパラダイスへと続いているのだろうか。

 

とりあえず線路沿いにのんびりと歩き始めた私たち。どっしりとした椰子の木の街路樹が続く道のり、その道路向かいにはカラフルな建物が徐々に見え隠れし始めた。眩しいけれどもまだそこまで暑くはない、そんな朝の時間帯の散歩はちょっと得をした気分になる。歩くのにちょうどいい気候で徐々に足取りも軽くなり、スキップ気分でお喋りしながら私たちは細い道を真っ直ぐに進んでいった。

二駅ほど歩いた頃に街へと到着。目の前に突如として、この街の中心部らしい広場が現れた。何だか急に都会のような雰囲気になってきたぞ。バルパライソがチリの第二の都会だという話は本当だったんだね。

ランチに出てきたのはまさかの…?!

 

正面に立っている古ホテルの淡いピンクのくすみ具合が、広場のちょっとした歴史を想像させてくれる。周りにはレストランやカフェが広場を取り囲むようにあって、古くて味のある建物をお洒落に引き立てているようだ。ジェラート屋さんの甘い誘惑に負けそになりながらも立ち止まらずに、まずは探検するべく広場の奥の細い道に進んでいった。

 

路地を一本中に入ると商店が立ち並ぶ通りがあった。まだ午前中で時間も早いとあってか、空いている店はまだ少ない。小さめのお店が並ぶその通りはシャッターがどこもアートで、壁いっぱいに描かれた絵があったりと街全体がちょっとした画廊のようだ。朝早くてシャッターが閉まっているこの時間だからこそ絵の全景が見えるっていうのもの粋だよね。閉まっているのに個性がある街なんて、面白い。

 

レトロで丸っこいフォルムの路面電車が、これから一日が始まろうとしているお店通りの道路をするりと静かに通りすぎて行く。みたところ線路がないけど、どうやら上のアンテナらしきものと電線とで動力が繋がっているらしい。古くからある路面電車なんだろうか、その姿のアンティーク感が何とも言えず可愛いんだ。

キョロキョロと周りを見渡しながら空いているお店を探す。朝早い時間から出てきた私たち、ここまで来てかなりお腹が空いていたのでまずは腹ごしらえからかな。せっかく入るのならば、地元感がある食堂がやっぱりいいよね、観光客ばかりが入っているようなお店じゃなくてさ。

 

チラリとお店を覗き込みながら発見したそのお店は、こじんまりとしていて雰囲気が良さげ。早速中に入ってメニューを吟味、スペイン語がわからないままに今回もまた友人にお任せする。フランス人だけどスペイン語もわかる友人がホント頼もしい限りだ。

私はシーフードのエンパナーダと魚介のスープ、フルーツジュースを注文。お喋りしながらおとなしく待っていると、お酒が入ったショットグラスが人数分テーブルまで運ばれてきたんだ。うん?注文してないけど…もしかして付き出し的な?ってかショット??驚き顏の私たちが振り返ってお店のおばさんを見ていると、頷いて飲め飲めと合図してくる。やっぱりそうなんだ~わお。

ちょっと面白いよね、ランチ前にショット飲み干すなんてさ。さすが南米だなぁって思ったよ、情熱的でいいね。ということで満面の笑顔で乾杯!ぐいっと飲んだら結構そのお酒が強くってさ。しょっぱなから酔いがまわってきたぞ~ってまだ昼前なんですけど。ホッペが緩んできて、ちょっとした幸福感に浸ってきた私たち。

運命の出会い…その絵が描くパラダイス

 

食堂の壁は青一色に塗られて魚の形をしたオブジェが飾られている。私たちの席の横には、バルパライソの街中を描いた大きな絵が一枚飾ってあった。それは原色の建物と笑顔の人々がそこら中に描かれている作品でさ。絵を眺めるだけでここの街の良さが感じられるような、そんな活気に溢れたいい絵だったんだ。この街を出るまでにこんな素敵な光景に出会えたらいいなあって、私はこの時ほんわか酔いどれながら眺めていた。

さて。お腹も満たされいい気分にもなった私たち。ぶらりと街の散策を再開するべく店を出てゆっくりと歩き始めた。

 

お店の並びが一旦途切れた場所に、木の箱で上手に組み立てられた即席の野菜売りのお店を発見。

この辺りのレストランが買い付けに来るのだろうか。それとも、この近辺にもしかしたら住宅街があるのかも…って思ってたら、道を回り込んだ少し広い空間にも小さなマーケットが出現していた。台の上には大きめの魚がどーんと並べられている。

 

やっぱり港町だね、新鮮そうなお魚がいっぱいだ。そこから道行く所々に野菜を売るお店が幾つも現れ始めて、辺りは次第に賑やかな街の風景へと様変わりしてきた。卵だけを山ほど売っているお店もあって、変わり種のお店に興味津々。

買い物したいのをグッと抑えつつ、カーブを曲がった場所から突如として始まる坂の道を登り始めた。あれれ、結構きついよ、坂道上るのさ。

 

何でかな~って思ったらそういえば、さっきショットを飲んだんだった。昼からの飲酒をちょっと反省するのも束の間、周りの建物の色合いのポップさに目を奪われながらふわふわと歩き続ける。一軒一軒の建物がカラフルでとっても可愛いバルパライソの街並み。

犬がまるで誘うように…

 

目の前にいた野良犬が2匹、私たちの横について一緒に歩き始めた。いつもこうやって誰かについて歩いたりしてるのかな、言葉はもちろん喋れないけど道案内してくれてる風で面白い。

バルパライソは野良犬がいっぱいいるんだけど、キャンキャン吠えてくるような犬は全然いない。大型で大人しくて、どこか言葉を話しかけてきそうな雰囲気。彼らはよく人間の側にいるんだ、どこか友だちのような感覚でいるのかも知れないね。道端でもよくお昼寝してたりして、何だかのんびりしているよ。

 

グラフィティーって呼べばいいのかな?さっきの街の絵もそうなんだけど、バルパライソの壁やシャッターのあちこちに絵がふんだんに描かれていてさ。それはどちらかというと落書きというよりアートで、建物の色合いがポップだからそこに妙にマッチしていてお洒落だったりするんだ。

そんな絵やら建物やらを横目に見ながら30分ほどひたすら坂道を登った頃、ようやく丘の上にたどり着いた。後から聞くと、ホントはバスもあったらしいんだけど、こんなに可愛い通りをサッとすり抜けていくだけなんてもったいない。ホロ酔い加減でふわふわしてたけど、歩いてみて正解だったよ。だって頑張ったご褒美に、丘の上でこんな素敵な景色が待っていてくれたんだから。

 

眼下に広がるパノラマの風景を見降ろす。夜とは違った雰囲気の、もうひとつのバルパライソ。カラフルな建物がひしめきあって、その向こうに海が青く広がっている。バルパライソは街全体が世界遺産になっているんだ。

昔スペインの植民地だったからどことなくヨーロッパの感じもあって、そこにカラフルさが加わって独特の雰囲気。街全体を見渡して大きく深呼吸をする。ここでのんびりと時間を過ごしてから、バスでもう一度街まで降りた私たち。

バルパライソに感じた日本愛

 

そして街を満喫しているうちに夕方になり、今日のメインイベントとなっている会場へと向かう。バルパライソと日本の交流イベントとなっているその大きな会場は、驚くことに、人を避けて歩かないといけないほどの人、人、人。お土産屋さんや特産品のブースも並んでいる。数々の展示に混じって日本のアニメのブースまであって驚いた、思わず二度見してしまったよ。

 

大きなステージが正面に設けられ、そこではそれぞれの国の文化を披露し合い盛り上がっている。バルパライソはかなりの親日らしい。彼らが演奏する和太鼓と三味線のユニットもとっても素晴らしかったし、日本のアニメが大好きなコスプレ若者もいてホント驚き。

そんななかステージも後半、おじいさんとおばあさんたちによるチリの歌や踊りが披露されたり、日本の若者たちからの「ヨサコイソーラン」の踊りが登場するシーンも。会場も盛り上がりがピークになってきて、気がつけばステージ前はバルパライソの人たちの笑顔で溢れかえっていた。

 

みんな興味津々の表情で、拍手や歓声が飛び交ってとってもいい雰囲気。こちら側が用意した演目ひとつひとつに心地よい反応を返してくれている…こんなにも日本に関心を持ってくれていることに驚いたし、受け入れて大切にしてくれていることに喜びを感じたよ。

 

日本からの移民も多いチリ、そういった歴史的な背景もきっと大きく影響してるんだろう。そんなことを考えてたら、目の前の景色に何かを思い出しそうになった。何だろう…そうだ、昼間見たバルパライソの絵だ!カラフルでポップなバルパライソの街、活気で溢れる人々の笑顔…そんな風景を見れたらいいなと思っていたら、今まさに、ここにあったよ。

出会えてよかった、やっぱりここは「パラダイス・バルパライソ!」

 

PHOTO GALLELY

「PHOTO GALLELY」

 

トコトコと一緒に歩いて道案内

 

お昼になれば人でいっぱいになる街

 

風景写真を撮ったつもりが鳩写真

 

番地名の看板が店ごとについていた

 

こんなにもジャパン愛

 

堂に入った素敵な伝統ダンス

 

(取材・文・写真/Hinata)

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