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ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。 最初から読む ひとつ前の記事を読む

さ・む・い~!なんで南周りクルーズなのに、この寒さなの?最近やけに涼しくなってきたなと思って喜んでいたら、徐々に冷んやり肌寒くなってきて、そしたら一気にめちゃくちゃ寒くなってしまったよ~
アルゼンチンのブエノスアイレスまでは暑かったんだ。そこから南下すると赤道からも離れ、同じアルゼンチンでもウシュアイアは冷んやり涼しい。その2ヶ所はバスで移動すると50時間ほどかかる距離なんだって。確かに日本でも沖縄と北海道では気候が違うもんね、納得。なんせ南極の近くだし寒くない訳がない。

だけど、そんな最果ての地ウシュアイアを出てからまた、赤道方向に向かって北上してるから暖かくなるはずなのに…何で?船はパタゴニアをゆっくりと横目に見ながら北に進んでいる。聞く所によると、海流によっても気温が変わるんだってさ。地球ってホント不思議だよね。
ところでパタゴニアって、地域の名前だって知ってた?私は国の名前なんだと思ってたよ。実際は「南アメリカ大陸の南緯40度付近を流れるコロラド川以南の、地域の総称がパタゴニア。アルゼンチンとチリの両国に跨る」だって。

そんなパタゴニア地方を船で通る時に、凄い景色が見れちゃうんだよこれが。まさに船旅の醍醐味とでも言うのかな、移動するだけでなく、その景色をゆっくりと時間をかけて堪能できるんだ。オーロラとか、運河の開閉とか、満天の星空とか色々あるけど、そのうちのひとつがこの、氷河。
氷と雪の結晶、パタゴニアの氷河は大きくて大迫力だ。そして透明度が高いので青い色が際立って美しい。そんな氷河が美しいフィヨルドを、船で移動しながらゆっくりと見渡すことができるこの2日間…予告もなしに次々と現れるあっと驚くような風景をカメラに収めようと、暖かく重装備した人々はカメラを構えたまま長い時間デッキから動かないでいる。
なんと目の前で崩れ落ちた…!

その気持ちもよく分かる、この辺りは氷河だけでなく、雪の積もった山々もホントに美しいんだ。冷んやりとした冷気が体をギュッと包み込むと、それだけで心も体も芯の部分から浄化されていくような感覚に満たされる。背筋がシャキッと伸びて世界がいつもよりくっきり見えるから不思議。
ここには有名なフィヨルドが幾つかあって、それらひとつひとつに名前が付いている。その中でも私たちが見た最大の氷河が「ピオ11世氷河」。その幅なんと4,000m以上と言われていて、パタゴニア氷河の中では最大級。運が悪ければ氷河全体が霧で隠れてしまって見えないこともあるらしいんだけど、今回はバッチリとその真っ青な氷河の全景が見渡せたんだ。

天気はイマイチだったにせよ、その姿をしっかりと目に焼くつけることができて大満足。しかも、船がピオ11世氷河の断面が見える程に近づいていたその時、突然に氷河の断面がスライドして大きく海の中へ崩れ落ちた!その光景はとにかく息を呑むほどの大迫力…

氷の大地はこうやって時折大きな轟音と共に崩れ落ち、全ては常に変化しているということを物語っている。こんなすごい世界を見せられてしまうと、同じ地球上にいて、自分の普段の生活との接点が果たしてあるのだろうかと考えてしまう。

だけど実は接点はあるんだよね。まず、私たちの生活からくる温暖化の影響を氷河が受けている。ニュースになってもいるから、知る人はそれなりに身近に感じているはず。そう、だけどそれだけじゃあなくてさ。地球上のどんな場所にいたとしても、そこに生きる私たちは言ってみれば全体でひとつの生命体なんだ。(※)
例えば、世界中には色んな気候があるけど、それって素晴らしいことで。地球全体でバランスを保っているんだよね。人間もそうだけど、多様性っていうことは生かし合いを意味するものでもある。ここにはない何かがそこにあるから、保たれるものもあるんだろうと思う。
※「ガイア理論」…地球と全生命が関係し合って生きている状態を、ひとつの巨大生命体だと捉える理論がある。
氷を取りに行くって本気で?

全ては全体のバランスを保つために。だからこそ、命も交代制になっている。生命は循環の一部であって、繋がりの喜びの中にあるものだと思う。だからひとりひとりが、今を輝いて生きるということが世界にとって一番重要なことなんだね。
自然界でも食物連鎖があるけど、強いものが弱いものを食べる仕組みは一見容赦なく見えるようでいて、実はそうじゃあない。お互いに分かっているんだ、生命力の強いものが弱いものを吸い取る。それは全体の生命の維持に関わってくる。

だって生命力が弱いものばかりになったら、世界はどうなるだろう。全体を維持していく必要があるのに、エネルギー不足では成り立たないよね。だから、それぞれに強くある必要があるし、時間が経ってエネルギーが弱まれば交代することもある。
例えば何かを支える時、何かに支えられる時…生きていれば必ずその両方の時間がやってくる。だから、常に弱いだけの生き物はいない。私たちは時にそうやってお互いを導いたり捧げたりしながら、地球という大きな生命システムの中で生かし合い命を繋いでいるんだ。
そんなふうに氷河を見ながらひとり、感慨深く思っていたら。普段は船の横にくっついている小さな救命ボートが、宇宙服のようなものものしい防寒服を着た船のクルーたちを乗せて、冷たそうな海水の表面までスルスルと降りて行ったよ~

何と、今から氷河の氷を取りに行くんだそうだ。やばいでしょ、それって命がけじゃない?転覆だけはしないでねって、みんなで祈りながら彼らを見守る。よほど屈強なメンバーが集められたのか、彼らは浮いている氷河の小さな塊に向かってスイスイと進んでいく。こうやって眺めていると、大海の上では彼らの船はまるで小さな木の葉のようでしかない。
ドキドキしながら見守る私たち。クルーたちも同じ船の仲間だからどこか家族のようなものなんだよね、私たちにとってさ。無事に帰ってきてよ~と願いながら彼らを見ていると、彼らは目の前に浮いていたちょうどいい大きさの氷をネットで包み、ぐいぐいと引っ張って無事に氷を引き揚げた。

その夜、バーでは「パタゴニアの氷」が登場してオンザロックでお酒を楽しむ人々が集い、夜遅くまで賑わっていたよ。友人が以前「一度でいいから氷河の氷でお酒を飲んでみたい」って熱弁していたのを思い出した。プライスレスとはこのことを言うんだろうなぁ、氷河の海に浮かびながら氷河の氷でオンザロックを味わう贅沢感。
とにかくホント色んな経験ができるんだよね、船の旅って。
PHOTO GALLELY

氷河が溶けて海に流れ込んでいる

山は緑を残しつつ雪を身に纏う

断面が美しいピオ11世氷河

船の前方は見物のひとだかり

上から見るとこんな感じ

自然はいつでもあるがままに
(取材・文・写真/Hinata)
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2029年12月出航
第126回クルーズ
ピースボート地球一周の船旅 2027年4月 Voyage126
春に出航し、アジアから地中海、ヨーロッパ、北中米へとめぐる全108日間の世界一周クルーズ。ヨルダンやサントリーニ島、ロンドン、バンクーバーなど多彩な港を訪れ、ソグネフィヨルドやアラスカフィヨルドでは大自然の絶景を満喫します。旅行のベストシーズンといわれる初夏には、地中海から北欧まで数々の世界遺産と出会う航路へ。季節が織りなす風景とともに、まだ見ぬ世界を体感する船の旅です。
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