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Robin Lewis 3
インタビュー
2021/07/29
INTERVIEW Vol.29
ルイス ロビン敬
Robin Lewis

給水アプリ「mymizu」に学ぶ、明るく楽しい活動で多くの人を社会問題に巻き込む方法

PROFILE
Robin Lewis 2
ルイス ロビン敬(一般社団法人Social Innovation Japan 代表理事)
mymizuの共同設立者。ピースボート第77回クルーズに通訳ボランティア(CC)として乗船した後、ピースボートのスタッフとして災害支援や国際開発に関わる。世界銀行(気候変動グループ)のコンサルタントとしての経験を含め、これまでに20ヶ国以上における国際機関、社会的企業、NGOで活動した経験を持つ。ハイチ、ネパール、バヌアツ、モザンビークなどの国々では人道支援活動を管理し、持続可能な開発に関連する多数の国際事業にも携わった。
今、海へのプラスチックの大量流入が、海洋生態系に甚大な影響を与えているとして世界的な問題となっています。給水アプリの提供をきっかけにペットボトルの消費量削減と、環境問題に関わる人の増加をミッションとしている 「mymizu」の共同設立者・ロビンルイスさんに、環境問題に対しての活動する中で意識していることや、これからの目標についてお聞きしました。
mymizuとは
日本全国にある「ボトルを持参すれば無料で給水できるスポット」とユーザーをつなぐアプリ。現在はカフェ、レストラン、コワーキングスペース、ホテル、ショップなど世界中20万箇所以上の給水スポットと提携している。
設立者の2人が2018年に沖縄旅行に行った際、綺麗なビーチが大量のゴミ、主にペットボトルで汚染されていたことに衝撃を受けたことをきっかけに生まれる。
mymizuサイト

 

ピースボートとの関わり

―ロビンさんは通訳ボランティア(CC)として、2012年8月出航の77回クルーズに乗船されているそうですが、ピースボートとの出会いはいつですか?
ロビン 2011年の東日本大震災の時です。自分の祖父が宮城県の仙台にいたことをきっかけに、東日本大震災の時には東北に入ってボランティアをしていました。様々な団体でボランティアをしている中で、同じく災害支援をしていたピースボートと出会いました。そこで通訳ボランティアのことを教えてもらって、通訳ボランティアとして77回クルーズに参加しました。
――ピースボートに関わってみて、感じたことなどはありますか?
ロビン 今まで、mymizuを始めとして色々なことに関わってきたのですが、自分の中でピースボートの影響はすごく大きいと思っています。というのも、ピースボートに乗船している時にたくさんの人に出会って話をしたことで、自分の視野がとても広がったからです。それまでも自分の中で、社会に対して何か活動したいなという思いはあったのですが、クルーズを通して既に活動をしている人たちと出会って刺激を受けたことで、自分にもできるのではないかと考えられるようになりました。
――ロビンさんは大学生の時から国際開発に興味があったり、ピースボートで災害支援に関わったり、今はmymizuで環境問題に取り組んでいたりと、社会に対して何かアクションを起こす意識が高いなと感じています。ロビンさんの活動の根底にはどのようなモチベーションがあるのでしょうか?
ロビン 東日本大震災のボランティア活動に携わり、福島の原発事故の影響や被災地の状況を自分の目で見たり現地の人と直接話したりする中で、災害や環境について、もっと言うと人間と自然環境の関係性について考えるようになりました。なので、東日本大震災の経験は自分の中で大きなターニングポイントになっていると感じています。

mymizuの活動で意識していること

――給水場所の分かるアプリが有名なmymizuですが、その他にも企業とのコラボや講演会などの活動を行っているのはなぜですか?
ロビン 僕たちの活動は給水アプリを提供することだけが目的ではありません。このアプリが多くの人が環境問題に関わるきっかけになってほしいし、活動を通じて環境問題に対する社会のムーブメントを起こしたいんです。そのため、アプリを提供するだけでなく、学校で講演会を行ったり、企業と積極的にコラボを行っています。mymizuのアプリが、給水できる場所をボランティアの人が投稿してくれることでより充実したものになるという共創型な仕組みになっているのも、より多くの人を活動に巻き込み、環境問題について考えてもらうためです。
――ロビンさんが環境問題に対して取り組む中で意識していることを教えてください。
ロビン mymizuのタグラインに「less plastic, more fun」を掲げていますが、この「more fun」が何よりも大事だと思っています。環境問題や気候変動に関する活動というと「○○するのをやめる、我慢する」というネガティブな話が多いと感じています。ですが、環境に関わる活動ほどポジティブで楽しいものでないといけないと思います。明るく楽しみながら、多くの人を巻き込んでいくことは意識しています。
――mymizuが2019年にリリースしたのと同じタイミングで「SDGs」という言葉の認知も高まってきていると思いますが、環境問題に関する活動をする中で社会が変化したと感じることはありますか?
ロビン 一般の人の環境問題に関する意識がグッと上がってきていると感じます。「プラごみゼロ」を掲げている自治体や、SDGsに関する取り組みを行っている企業も確実に増えています。
後は、環境問題に対してクリエイティブな解決策を持って活動しているZ世代以下の若い人たちが増えてきたのは大きな希望だと思います。この間もmymizuのインターンを募集したところ100人近い応募があり、熱意のある若い人がこんなにもいるのかと驚きました。
――ロビンさん自身の中で考えが変わった部分や、逆に変わらない部分はありますか?
ロビン 環境問題に関わる活動を、明るく楽しいものに変えていきたいという部分は変わっていないです。あとは、mymizuもアプリというテクノロジーを使っていますが、環境問題の解決はテクノロジーというツールだけでは難しいので、コミュニティやパートナーづくりなど色々な人を巻き込みながら解決策を考えていきたいと思っています。

「ミッション3.5」の達成に向けて

――mymizuや、ロビンさんが今後やりたいと思っていることを教えてください。
ロビン mymizuのミッションは、実はペットボトルの削減だけではないんです。ペットボトルの削減は目標の一つで、mymizuのミッションは3.5%の人を私たちの取り組みに巻き込んでいくことです。ハーバードの研究によると、社会のうちの3.5%の人がアクションを起こすことで、社会変革が起こるとされているので、日本の人口の3.5%に当たる430万人を私たちの活動に巻き込んでいきたいと思っています。そのためにも、アプリの提供だけではなくイベントやキャンペーンを行って、より多くの人とコミュニケーションをとって活動に巻き込んでいきます。
ロビン あと個人的には、若い世代と一緒に何かを作ることを大事にしていきたいので、大学を始めとして学校とのコラボを行って、若い世代の社会活動家を応援しようと思っています。
――最後に、若い世代へのメッセージやアドバイスをお願いします。
ロビン ちょうど今は色んな助成金やプログラム、サポートがあるので、何か社会的な活動をしたいと思っている人にとっては、今が一番いいタイミングなんじゃないかなと個人的には思います。繰り返しになっちゃうんですけど、何か活動しようと思った時には楽しくないと続かないと思うので、とにかくいい仲間やチームを作って楽しく活動してください。最初から大きな活動でなくてもいいんです。一気に社会を変えるのは難しいので、自分の周りの小さなことに対して、失敗しながらでも楽しみながら何かやってみることが大事です。
あとは、よく会議などで若者のことを「フューチャー(未来の)リーダー」と呼ぶことがあるのですが、現時点で社会に対して活動をしている人たちもいるので、全然フューチャーのリーダーではなく、今のリーダーだと思います。一緒に頑張っていきましょう!
(取材・文/鷲見萌夏 写真/水本俊也、Robin Lewis、mymizu)

 

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