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コラム
2021/04/04
地雷廃絶のために私たちができることを。ピースボート地雷廃絶キャンペーン「P-MAC」とは

 

 

みなさん4月4日は何の日かご存じですか?

正解は「地雷に関する啓発および地雷除去支援のための国際デー」。世界では60の国と地域に地雷が埋まっており、その多くがいまだに除去されていません(2020年10月時点 ランドマインモニター報告書より)。1999年から2018年の間までに報告された被害者数は世界で13万人以上に上ります。2019年の1年間では分かっているだけで55の国と地域で5,554人が地雷の被害にあいました。戦争は終わっても地雷はなくなりません。地雷は現在進行形で解決するべき問題です。

今回の記事ではピースボートスタッフの森田幸子さんに、カンボジアやアフガニスタンで地雷除去を行っている政府機関やNGOの支援を行うプロジェクト、「P-MAC」の活動についてお聞きしました。

P-MACとは
ピースボートが1998年から行っている、地雷の被害にあいながらも必死に生きる人たち、地雷除去のために活動する人たちを支援し、地雷そのものを廃絶するための活動。正式名称はピースボート地雷廃絶キャンペーン(Peace Boat Mine Abolition Campaign)で、頭文字をとって「P-MAC」と呼んでいる。

 
―ピースボートがP-MACの活動を始めたのはいつ頃ですか?そしてそのきっかけは?

森田 1998年頃から地雷廃絶のために様々な活動を行っています。ピースボートは設立当初は今のような世界一周の船旅ではなく、アジアを中心に船旅をしていました。そのアジアクルーズの中で、内戦が終わったばかりのカンボジアを訪れた時に深刻な地雷被害の現状を知り、日本にいる私たちにも何かできることはないかと考えて地雷除去の支援活動を始めました。
―具体的にはどんな活動をしているのですか?
森田 大きく分けると、1・地雷を除去するための支援、2・地雷の被害に遭った人たちへの支援、3・地雷の問題を知ってもらうための啓発活動の3つを行っています。

1・地雷を除去するための支援

森田 ピースボートでは「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」という名前で募金活動を行っています。地雷の除去をするのはカンボジアの人たちなのですが、現地に地雷除去を行うことができる人はいるのに、活動資金が無くて除去作業が行えないという現状がありました。ですが、日本円で100円あれば、カンボジアの1㎡の地雷を除去することができるんです。
森田 集めた募金を実際に地雷除去活動を行っているカンボジアの政府機関「カンボジア地雷対策センター(CMAC)」に送り、これまでにP-MACでは東京ドーム約43個分となる約200万㎡の土地の地雷除去を支援し、埋まっていた394個の地雷と616個の不発弾を処理しました。また、地雷の除去だけでなく、地雷を除去した地域に小学校を建設するという活動も行っています。
―安全になった土地に、村の機能を戻すための公共施設が必要なのはわかるのですが、病院や役場など色々な種類の建物がある中で「小学校」を建てるのはなぜですか?
森田 カンボジアはポル・ポトによる独裁政権下で、学校教育が禁止されただけでなく、学校の先生や学者などの知識人が軒並み殺されてしまったため、教育の復興が必要とされています。また、学校を建てようとしても、今度は内戦で地雷が埋められたため安全な土地がなくなってしまいました。カンボジアの教育復興を支援するためにP-MACでは地雷除去だけでなく、地雷除去が終わり安全になった地域に小学校を建てるという支援を行っています。

2・地雷の被害にあった人たちの支援

森田 これは地雷のことを知ってもらう活動でもあるのですが、ピースボートのツアーではカンボジアに訪れた際、義足を作っている施設や、地雷被害者が立ち上げた地雷被害者の社会復帰を支援する団体を訪問して、地雷の被害にあった人たちの現状を知ってもらっています。また、地雷の被害者が木工彫刻で地雷のかけらを埋め込んで作ったネックレスなどのアクセサリーを船で販売し、その売り上げを支援金として送っています。
―カンボジアを訪れるツアーをコーディネートする際に意識していることはありますか?
森田 カンボジアの内戦について知れる場所を訪れること、地雷被害者のことが知れる場所に行くこと、地雷除去を行っている現場に訪れることの3点を通じて「地雷問題に取り組む現地の人たちのことを知ってもらう」ことはいつも意識してツアーを組んでいます。もちろん地雷問題の現状を学ぶことは大切なのですが「大変だな」という感想で終わってほしくないと思っているんです。地雷問題は解決まで大変な難題だけど、前向きに活動している現地の人たちがたくさんいるということは知ってほしいと思っています。
森田 カンボジアの地雷問題検証ツアーには、乗船前に「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」にも参加した人たちが参加することが多いのですが、どうしても「大変な状況下にあるカンボジアを支援してあげている」という考えになってしまいがちなんですよね。でも実際に行ってみたら「前向きに活動している人たちと出会って自分がパワーをもらった」「交流できてすごく楽しかった」という感想が多いんです。私たちは、それで良い、むしろそれが良いと思っていて、支援をしてあげるというのではなく「自分たちの知っている人たち、友だち、好きな人たちのために何かしてあげたい」という考えが、支援するときに一番大事なことだと思っています。

3・地雷の問題を知ってもらうための活動

―実際、カンボジアの地雷はどのような現状があるのですか?
森田 カンボジアでは2019年までに1900㎢の土地の地雷を除去していますが、実はまだ2000㎢の土地に地雷が埋まっていると考えられています。これまで30年かけて地雷を除去したのと同じくらいの面積にまだ地雷が残っているんです。
カンボジアの地雷は1990年代からずっと問題だと言われ続けているので「カンボジアの地雷問題は昔の話でしょ?」と思っている方も少なくないのですが、実際には今もまだ解決していません。その状況をたくさんの人に知ってもらいたいと思い、学校などで「なんだろう地雷出前教室」を開催して、地雷問題の認知度を上げる活動をしています。
―「なんだろう地雷出前教室」で地雷問題について話す際に意識されていることはありますか?
森田 まずは地雷の問題や現状を知ってもらうことが大事なのでそれを伝えるのはもちろんなのですが、何よりも「私たちにできることがある」ということを伝えています。話を聞いて「へー知らなかった、大変そうだなぁ」と思って終わるのではなく、知ったことから解決に向けて動くことが大切だと思っているからです。なので、学校などで講演を行う際はカンボジアのことを身近に感じてもらえるように、地雷除去をしたところに建てた学校やその生徒たちの話をすることが多いです。
―森田さんは長年地雷廃絶キャンペーンに関わられていますが、そのモチベーションは何ですか?
森田 モチベーションは「怒り」だと思います。ピースボートの2001年のショートクルーズで韓国に訪れた際に「韓国の地雷を学ぶツアー」に参加したんです。その時に「戦争が終わったけど土地も財産も失って、生きていけないほど貧しい状況で『ここなら住んでいいよ』と言われた土地が地雷原だった。地雷があると分かっていてもそこを耕して畑を耕さないと生きてはいけない。そこに住んでいる人たちの合言葉は『地雷で死のうが飢えで死のうが』だった」という話を聞いたんです。戦争は弱者が一番被害を受けるし、戦争が終わってもその影響を受け続けるのは弱い立場の人びとです。そんなのはおかしいでしょ!と憤りを感じています。しかもその現状は、たったの100円で、私たちにとっては全然大変じゃない金額の支援で解決に近づくんです。それなら解決のための支援をやらなきゃいけないでしょ、と思っています。
―新型コロナウイルスの影響で支援に変化は起こっていますか?
森田 街頭で行っていた「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」の募金ができなくなってしまったことで、寄付の金額が大幅に減ってしまいました。そんな状況でも今まで通りの、今まで以上の支援を行うために、オンラインショップでカンボジアの人びととの出会いや彼らの言葉から生まれたアイデアを形にしたグッズを販売しています。このグッズの売り上げは地雷廃絶のための活動に使っています。

>ピースボート地雷廃絶キャンペーンP-MAC オンラインショップ

 
 

―最後に、読者の人に何か伝えたいことはありますか?

森田 私たちが「カンボジアから地雷をなくそう100円キャンペーン」で支援して地雷を除去し、そこに小学校を建てたコーケー村という場所があります。内戦の影響で村人のほとんどが小学校すら卒業できていないという村だったのですが、地雷がなくなり安全な学校ができたことで教育が受けられるようになりました。小学校を卒業後に他の村の中学、高校、そして大学に進学する子どもたちが出てきたんです。
森田 これはものすごく大きな変化だと思っていて。戦争は簡単に、一瞬で始まってしまいます。でも、戦争が終わった後で平和を作るのは難しく、とても長い時間が必要です。コーケー村の人たちが教育を受けられるようになったことのように、小さな変化をたくさん積み重ねていくことが平和を築くうえで何より大事なことだと思います。その小さな変化の内の一つで、皆さんが簡単に始めることができるのが100円の募金です。ぜひ、皆さんの手で小さな変化を起こしてください。
募金受付先
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郵便振替口座 00130-3-557600
ゆうちょ銀行 ゼロイチキユウ店(〇一九店) 当座0557600
加入者名   ピースボート地雷廃絶キャンペーン P-MAC
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「なんだろう地雷出前教室」も、いつでも出前先を募集しています。ご興味・ご関心がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
>「なんだろう地雷出前教室」出前先募集中です
(文/鷲見萌夏 写真/PEACEBOAT、水本俊也、内田和稔)
PROFILE
sumimoeka
鷲見萌夏(ピースボートデッキ学生インターン)
1999年北海道札幌市生まれ。上智大学新聞学科在学中。
メディア・ジャーナリズムの勉強をしながら「表現」することを研究中。
ライターとして活動する中で、もっと自分の世界を広げたいと思いピースボート101回クルーズに参加。


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