話は戻って、パナマ運河。この日は朝から続く雨で外もどんより薄ら曇っててさ。そんな状況でも関係なしに、一目パナマ運河を体感しようとデッキは人でごった返してた。どうやら悪天候でもこのアトラクション的ワクワク感は振り払えないようだ。
目の前の、二段上のプールに大きな船が浮かんでいた。よく見るとその奥にも一隻。そんな風景を眺めている内にいつしか雨も止み、空は薄っすら明るさを取り戻している。船は行きと帰りと、逆方向の通路が隣同士に並んでいるから、行き違う時はお互いにじっくりと覗き込めたりするのが興味深い。
船でも色んな船があるんだね、貨物船が多かったけど、そこで働いている人の姿を眺めたり手を振ってみたりして束の間の交流。みんなどこから来てどこへ向かっていくんだろうか。
私たち以上に長い時間を船に乗って生活している人たちが大半だろう。陸に生きるか、海に生きるか、空に生きるか、地下にもぐるか、はたまた宇宙空間に飛び出してみるか…人生どんなふうに生きるかは、色々だ。
気がつけば雨も上がって、陽が差してきた。そしたら突然、対岸に大きなアーチ型の虹が姿を現したんだ。みんな歓声をあげて写真を撮っているよ、タイミング的にも最高だね。
パノラマに広がった虹の下では、森から上がった水蒸気が長い大きな雲と形を変えて、真っ白なその姿を山並みに沿ってふんわりと漂わせている。それにしても大きな虹だったな。本物のジャングルクルーズはいつ何が現れるか分からないだけに、ひと味もふた味も違う面白さがあるんだ。
船は細い水路を抜け、ガツン湖に入っていった。広く静かな湖の両側はもちろん広範囲に渡ったジャングルだ。時たま動物の鳴き声が聞こえてきたり、鳥の集団が移動していたりする姿が真近に見られたりする。いい望遠レンズや双眼鏡を持っていたら、更にその奥にある世界を覗き込むことができるんだろうなぁ。
さぁ、ここからは「ジャングルクルーズ」の時間だよ。静かな湖面をゆっくりと進みながら、ジャングルの中で一体なにが行われているのか、今聞こえる鳴き声は果たしてどんな動物なんだろうかと想像は膨らむ一方。