森林が放つ新鮮な空気に包まれ、流れゆく雲に誘われながらジャングルクルーズはのんびりと進行中。その間にも見えはしないものの、このジャングルの奥にある集落を通り過ぎているのかも知れない。パナマの森には幾つかの部族が住んでいる。
「エンベラ族」同様、伝統的な生活を営んでいるパナマでは、元々79部族あったのが7部族に激減した悲しい歴史や、過去に政治的な事件も起こっていたりして、先住民たちの暮らしは楽観視できるものでは決してないらしい。
パナマシティーのような近代的ビルだらけの大都会と、彼らのコミュニティーのような小さな共同体が同居するパナマ。パナマ運河の水の色でさえ、部族が多く住むコロン近辺の透明で美しいブルーと、かたやもうひとつの出入り口であるパナマシティー近辺の、泥混じりの茶色く濁りきってしまった水といった具合で全く違うんだ。
同じ国の両端で、全く違う色をしている水…それだけでこの国が今どういう状況なのかが物語られているような気がしてならないよ。
パナマはこれからどちらの方向に進んでいくのだろう。もしくは、どちらもが共生できる世界が現れたりするんだろうか…未来のことはどうにも分からないけど、素敵な変化に向かうことを祈るばかりだ。とにかく一度、このジャングルに暮らすエンベラ族や色んな部族のおウチを訪ねて、実際の生活の様子に少しでも触れてみたいなぁってそう思ったよ。
運河の入口と出口で見たジャングルと大都会、ひとつの国の両極端な姿が象徴的なパナマ運河の旅だった。