たくさんの人たちにジャマイカを好きになってもらいたい、そういう思いでツーリストポリスは日々街角に立っていてくれている。そしてそんな彼らが紹介してくれるモンテゴベイのダウンタウンには、冗談好きで陽気なジャマイカ人がいっぱいいたんだ。
以前、ジャマイカ人がボブスレーという雪国の競技をするっていう、ちょっと異色な映画があったんだけど知ってるかな?「クール・ランニング」っていう、実話を元にしたコメディー映画なんだけどさ。ジャマイカ人がジャマイカ人として誇り高く、そして陽気に、オリンピックという世界の舞台で自分たちを表現する物語だった。
劇中、シリアスな顔をして冗談を言う彼らがとってもコミカルだったんだけど…そんな、まるで映画を見ているかのようなやり取りがこのとき私の目の前で展開されてさ。そして彼らがこっちを振り向いてひとこと「これがジャマイカだよ」って。
きっと人と人の心の距離がとっても近いんだよね、だからそんなやり取りが楽しくできる。話していて心が通じ合ったような時に「ヤーマン!」って、拳をこっちに差し出してくれるのも嬉しいんだ、同じ仲間としてこの場に受け入れてくれているようでさ。
ジャマイカ人はみんながドレッドヘアーで「ヤーマン」って言ってるかっていうと、それはちょっと違ってた。だけど、さっきから街でチラチラとは見かけてはいるんだ、ドレッドヘアーのラスタマン。ラスタというのは宗教というより哲学といった方がいいのかな、自然回帰的な独自のライフスタイルがあってさ。
すごく簡単に言ってしまうとベジタリアンであったり、平和とレゲエミュージックをこよなく愛する人たちなんだ。彼らは街中ではなく自然の多い場所に暮らしているのかもね、自転車で軽やかに走り去っていくラスタマンの姿はとても印象的だった。