ボブマーレイって名前、聞いたことあるかな?世界的に有名なジャマイカ出身のレゲエミュージシャンで、音楽を通して平和な世の中を作ろうとした人だよ。彼が有名な訳はその特徴的なドレッドヘアのビジュアルや、素晴らしいレゲエの楽曲を世に広げたからだけでないんだ。
1970年代後半、ジャマイカ国内で抗争が広がり暴力で混沌としていた時代…当時、政治的に敵同士で国を大分断させてたふたりの指導者たちの心に問いかけ、コンサート中のステージ上で彼らを握手させてしまうという凄い伝説を作ったんだ。政治をも動かす、歌の力。それは彼が、誰もの心に深く響くメッセージを歌っていたという、そんな証に他ならない。
街中のお土産屋さんはジャマイカだけあって、ボブマーレイのTシャツやグッズがあちこちで見かけられる。それだけでなく中南米で寄港したあちこちの国でも、彼のグッズがひときわ目立っていたんだ。
平和の象徴としてリスペクトされてるんだなってホント思うよ。彼の具体的な音楽や行動は今でも語り継がれているし、人々の心の奥深くに大切に刻まれているんだ。
そうそう、それでさ。お土産屋さんの前で、また新たに知り合ったばかりのツーリストポリスのふたりとボブマーレイの話をしながら、私の好きな「リデンプションソング」を何となく歌ってみたんだ。この曲は好き?ってイントロ部分を歌ったら、ふたりともパッと目を輝かせて、一緒に歌の続きを歌い始めた。
次第に高まっていくテンション、辺りに響く大きな歌声。一緒に歌う彼らの表情は豊かに感情を表し、握る拳に少しづつ力が入っていく様子がみて取れる。そして私たちはついに、3人でその曲を最後まで一緒に歌いきったんだ。
何だろうこの、胸にグッとくる感じ。国籍や言葉を超えた深い所で繋がってしまったような…ふと彼らを見つめると、大事なものを共有した仲間の顔になってこちらを見て微笑んでいる。さっきまでのただ楽しいだけとは違う、深みを持った空気感。あぁ音楽ってやっぱり凄いんだなぁって、このとき心底実感したんだ。