風車の真ん前には、大きな長い船が停まっていた。動いている様子はないものの、古い感じを利用してレトロな雰囲気にリペアされている外観がオシャレだ。どうやら展示されているらしい、だけど立て看板の文字が読めずに断念。そう言えばこの船…何か見たことがあるような。そこでピーン!自分の中で繋がったものがある。
ここってベルギーだよね。名物といえば、ワッフル、ビール、チョコレート!チョコレートの映画を見たんだ、そういえば「ショコラ」っていうタイトルだったっけ。その映画に出てくる船と何だか似ているよ、この船。ジョニーデップ率いる流れ者たちがこれにそっくりな長い平坦な船でやって来て、今と同じように川岸に着けて何日か生活していたんだ。
対立する住民と流れ者。だけどいつしか、甘い魅惑的なチョコレートを通して人々の古い因習や凝り固まっていたものが次第に溶け出して、和解し合えていく…そんな内容だった「ショコラ」という映画。
確かに、チョコレートってかなり魅惑的。劇中でも「カカオは心の扉を開け、運命を解き放つ」って言ってたよ。チリの入ったカカオの飲み物を、古代マヤ人は聖なる儀式に使用していたらしいんだ。実は少しトリッキーなものなんだね、カカオって。そう思うとさ、チョコレートだらけのベルギーってちょっと面白い場所なのかも。
貴族の女性的な雰囲気を持ちつつも、その裏に隠された土着的な空気感…ベルギーの奥の奥を覗いてみたいような気がしてきたぞ~だけどそれを知るには一ヶ月ほどベルギーに住んで、毎日チョコレート食べてないと覗けない世界なのかも知れないけどね。
「ショコラ」の映画自体は、フランスの田舎町が舞台になって展開される物語なんだけど、主役の女性はどこか他の国からやってきたという設定だったんだ。もしかしたらベルギーだったりするのかな。だってチョコレート専門店を片田舎で始めるくらいだもんね、よっぽどチョコレートに思い入れがあるはずだ…なんてまた、妄想に取り付かれてしまった。
世界の映画は、旅を更に豊かにするってホントに思うよ。旅先でふとワンシーンを思い出して、ワクワク感を増幅させて楽しめたらもう最高。そして日本に帰ったらもう一度映画を見直してみるんだ、それだけで楽しみがまたひとつ増えるよ。
そしてまた、街を走り始めた私たち。自転車移動をしながらブルージュの街をあちこち撮影。どこを切り取っても絵になる美しい街だ。ガタガタ道にハンドルを取られながらも片手運転でビデオ撮影をするのが面白い。