世界のあちこちにある素敵なものといえば。美しい景色もそうなんだけど、料理や音楽といった文化がある。特に音楽は持って帰っていつでも聞くことが出来るからホントお薦めだよ。旅先で撮った写真を見ながらそこで買った音楽を聴くと、色んな思い出がその時の空気を連れてやってくるんだ。
海外の街を歩いているとストリートミュージシャンが演奏していたり、レストランで生演奏が聴けることもしばしば。大概はその土地の伝統が混じった音楽だったりするから、観光している間に景色と一緒に頭の片隅にインプットされている。
ここポルトガルでの伝統音楽といえば「FADO(ファド)」。物悲しいようなメロディーで情緒溢れる音楽…かと思いきや、明るい太陽を感じるような曲調のものもあってさ。そんなメロディーに情熱的な歌が絡んだ美しい音楽なんだ。言葉はもちろんポルトガル語で、それもまた響きが耳に心地いい。
CD屋さんでは視聴ができて、地元の今オススメのミュージシャンの楽曲をあれこれ楽しめたんだ。ファドは伝統音楽でもありながら、今でもポルトガルの生活に基づいているようだ。生き生きとした現在進行形の伝統って素晴らしいね。
世界にどれだけ素敵なミュージシャンがいたとしても、日本でそのミュージシャンの音楽に出会える可能性は極めて低い。メジャーでないと耳に触れる機会はあまりないだろうし、ポルトガルの伝統音楽みたいに少しマイナーなものは特にだよね。気軽に試聴して選べるのやはやっぱり地元ならではのものだろう。
道を行くと、坂道沿いに路面電車が行き交っていた。坂の街では歩くのもなかなか大変だから、この路面電車はホントに重宝されているんだろうな。たくさんの人を乗せて、路面電車はスルスルと身も軽く坂道を登っていく。
乗ってみようと思って乗り場に並んでいる人に聞いてみたら、乗車して毎回料金を支払うシステムではないらしくてさ。どこかで先にチケットを購入してから乗るようだったので、残念だけど今回は諦めたんだ。
のんびり歩いて坂の上の街に戻ると、急に視界が広がって海を見渡せる空間に出た。見下ろすと港に私たちの船が停泊しているのが見える。だいぶ高台まで歩いて登ってきてたんだね。青い海はキラキラと太陽を反射させ、光と影のコントラストがこの街の美しさをグッと引き立てている。