道を歩いている人もまばら。まだ朝早い時間で出勤途中といった感じなんだろうか、立ち寄るお客さんもお店の娘さんと短い会話をしては、長居をせずにサッとエスプレッソを飲んで去っていく。きっとこれがここにあるいつもの光景なんだろう。
可愛い一両の路面電車が、カーブしたレールをガタゴトと通りすぎて行った。さてと。次はあそこに見える細い道に迷い込んでみよう。満たされた気持ちでまた、あてのない徒歩の旅に出かける。
道を登ると、思いがけず近くに街があった。丘の上のボコボコした味のある道に、あちこち点在する小さなお土産屋さん。ポルトガルはコルクが特産で、それを使ったお財布やバッグなどの製品があるんだ。驚くことに、コルクの表面はサラサラして触り心地がとっても良く、まるで上質な布のように滑らかなんだよ。
ここでコルク同様に有名なのが、ポルトガルタイル。アズレージョと呼ばれる伝統の装飾タイルは、街の至る所で見ることができる。デザインが豊富で、シンプルな模様から複雑なものまでとにかく種類が凄い。そしてホントに美しいんだ。
散歩途中で、お土産に良さそうな可愛いコルクのバッグを発見。だけど手持ちのお金はドルがほとんどで、ここでは使えないんだった。何も買えないのは困るので、まずはお店の人が教えてくれた両替所に行くことに。目指すは坂の下の大きな街…何かミッションを授かったかのようにワクワクしつつ、言われた方向にある坂をひたすら下って行ってみたんだ。
大きな道沿いにどんどん坂を降りて行くと、景色が変わって近代的な建物やブランド物らしきお店が並ぶ通りに出たよ。カフェも大きくて、こんなにも変わるものなのかというぐらいにさっきと雰囲気が違う。車もいっぱい走っているし、道の幅もかなり広い。
とっても綺麗な街なんだけど新しいというか、知ってる感じの街並みだ。両替だけしてもう一度坂の上の街に戻ろう、そう決めてササッと用事を済ませて歩いていたら、嬉しいことにCD屋さんを発見。思わず吸い込まれるように中に入ってしまった私。