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ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。 笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。 最初から読む ひとつ前の記事を読む
マルセイユって、フランスの大きな港町なんだね。マルセイユ石鹸ぐらいしか知識がない上に、てっきり山の景色が広がってるような田舎町だと思ってたら、実はフランス最大の港街で最古の都市なんだってさ。どうりで街に活気がある訳だね。
大きな建物に広い道路。観光客も結構多くて、マルシェや外国人街もあちこちにある。メインの港には大きな観覧車もあって、これに乗れば街も港も全部見渡せるんだろうなぁってぐらいの巨大さだ。街中は何だかスッキリしてて無駄のない感じ。

スタイリッシュって言えばいいのかな、パッと見、手の込んだ雰囲気はなくてシュッとしてる。よくよく見ると結構細かいところは繊細だったりもするんだけど、これがフランス流の「粋」なのかもね。
大通りのカフェでは、地元っぽい男の人が店の前に出された椅子に座って飲む姿が印象的だ。スーツ姿で出勤前という感じでもなく、普段着でのんびりとエスプレッソを楽しんでるって雰囲気でさ。この日は土曜だったからなのかな、それとも普段からこの感じ?とにかくフランスのカフェは朝早くからやってるんだって、6時くらいから開いてるみたいだよ。

道に迷い込んでみると、古いカフェ&バーのようなスタンドを発見した。中を覗くとここもおじさんでいっぱいだ。おっと、コーヒーだけでなくて朝からお酒を飲んでる人も多数。狭い通りに隠れるようにあったそのカフェは、朝の静けさの中でこっそりと賑わっていた。
興味津々で店の外カウンターからエスプレッソを注文してみた。一杯1ユーロちょっとかな、安かったよ。お店のおじさんはニコニコと親切に、エスプレッソの注文に対してあれこれ聞いてきてくれる。どうやら角砂糖の個数を聞いているようだ。エスプレッソに砂糖を入れないで飲むのは日本人ぐらいなんだってさ。甘めにしてグイッと飲むのが本場の飲み方らしい。
フランス語で言うとそれは…
ヨーロッパでは、コーヒーといえばエスプレッソなんだろうね、よく目にする光景は小さいカップで飲んでいる姿。そして後で分かったのは、コーヒーではなくキャフェと呼ぶのがフランス語。「アン キャフェ スィル ヴ プレ」ってな具合で注文するみたい。ちなみにビールは「ビエール」なので注文するなら、はい、皆さんご一緒に…「アン ビエール スィル ヴ プレ」。そうそう、そんな感じ。

エスプレッソを片手に持って、カフェの中には入らず道路沿いの外席に座ってみる。カウンターでの立ち飲みと席に座るのでは値段が違うんだってさ。スペインでもそう言われたな、日本とはシステムがかなり違うよね。お水も、日本では当たり前についてくるけど海外は別料金の場所が多かった。ここでは出してくれたけどね。確かに、水無しでこのエスプレッソを飲みきれる自信はないな。
甘い甘いエスプレッソを啜りながら、現在地を確認してみようと地図を出して机に広げる。今いる場所さえすでに分からないよ~と思って、キョロキョロしていたら珍しくおばさん客が一人店から出てきた。おもむろに話しかけて、今いる場所を聞いてみたよ。
もちろんフランス語はさっぱり分からないから地図を指しながら。そしたら周りのおじさんたちと一緒に、言葉の分からない私に一生懸命ジェスチャーで教えてくれてさ。そういう優しさってほんとに嬉しいよね、私も、ちゃんと言葉の勉強しなきゃなぁってまたもや反省。やっぱりその土地の理解度が格段に違ってくる感じがするよ。

英語ができれば海外どこでも大丈夫ってのは完全なる迷信。スペイン語、フランス語、イタリア語なんかも場所によっては必要だ。もちろんそれ以外にもだけどさ。興味を持つことって大事だね、予備知識があるとだいぶ違う。
言葉を知りたいって思ったのは旅をしてから初めて思ったことだな、日本にいるだけなら別に興味もなにもなかったかも。地理や歴史もそうだけど、行ってみて初めて興味がわく。

「自分が知っている場所」として、もっと知りたいって思える。学校で習うのとは違う感覚なんだ、記憶や勉強よりも「体験する」ってことは、とても深い。だから若いうちからどんどん旅に出てみるといいなぁって思うよ。今がもうそういう時代になってるよね、インターネットで世界も近くなってるし実際に行きやすいはず。
昔のマルセイユの街にワープ!
さてと、現在地も分かった所で。親切なおばさんたちにありがとうと伝えるのに「メルシー」が出てこず、なぜか「グラッツェ」と言ってしまい自分で失笑しながらカフェを後にする。イタリアもフランスもごちゃまぜだ。ほんとすみませんと思いながらも気を取り直して、教えてもらった「パニエ地区」へと向かってみる。

道に迷い込みつつ人の気配のある方へ歩いて行くと、どうやら観光地らしい場所に行き着いた。さっきまでのシュッとした都会の感じとはちょっと違って、昔ながらな感じの古めの建物が、狭い道を挟んでギュッと建っている空間。
生活感もあって、建物の小さなベランダにはシーツや洗濯物が干されている。お土産屋さんやレストラン、カフェなんかに混じって、魚の形をしたマルセイユ石鹸や、綺麗に研がれたナイフ屋さんなど、どちらかというと手の込んだ職人的雰囲気のお店がちらほら。そんな中に歴史的な教会なんかも混じって建っていてさ。

古い街なんだろうね、そのまま街全体が残されて観光地区になってる風。狭い道のあちこちに観光客が歩いていて、迷路のような街を迷いながら楽しんでいるかのようだ。
ここでは馬車のような仰々しい乗り物がない代わりに、オモチャの汽車の形をした長い乗り物が細い道をクネクネと走っていた。確かにこの街にはこういう感じのオモチャっぽい感じが似合ってる。なかなか遊び心がある街なんだね。

何度も道に迷って小さな街をぐるぐると周り、充分に満喫しきったので次の場所へと移動してみることにした。全く人の気配のない裏道を抜けて大きな道のある街に出ると、こっちの街ではオモチャの汽車ではなく路面電車が走っていた。さっきまでいた場所は何だったんだろうぐらいに、マルセイユの昔と今が、裏道を挟んで存在しているような感覚が面白い。

ブラブラと、だけど直感で道を選びながら歩いていたら、どうやらイスラム街に辿り着いたようだ。
レストランでこれして貰ったのは、初めてです…
小さなレストランが並んでいる通りに出ると、美味しそうな匂いが。店頭で焼き鳥のような大きな串を焼いているお店があって、一体何を焼いているのか覗き込んでみた。そしたら串を焼いていたお兄さんが、「どれが食べたい?」ってジェスチャーするから、これとこれも美味しそうってやってるうちに結局そこで食べることになった。

お店の中にカウンターがあって、たくさんの種類のおかずが並んでる。どうやらこれをセレクトしてワンプレートに乗せて食べるスタイルらしい。どれも美味しそうで思わず凄い量をオーダーしてしまう。テーブルに運ばれてきたのは、ラム肉のラザニア、カレーパスタ、煮込んだ豆、そして鳥の串焼きとフランスパンっていう異文化がどっさりと混じり合ったプレート。
フランスパンは頼んでないのに出てきたよ、これって普通なのかしら。しかも大きくぶつ切りしたのが何個もバスケットに入ってて、丸ごと1本分はある。あまりの量に驚いたけど、とにかく美味しそうだ。フランスパンまで全部は無理にせよ、自分で注文したものは残さないぞと勢い良く食べ始めた。

もう、ほんとにどれもが美味しくってさ。モグモグとひたすら食べ続ける私を店員さんがさっきからチラチラ見てる。この女、よく食うよなあ!ってきっと思ってるんだろうね。店にはフランス人らしき客はいず、イスラム系の人ばかり。もちろんアジア系の人間も私のみ。きっと珍しいんだろうね、私みたいな客って。
そしてついに完食!マジですかって自分でも思ったよ。立ち上がれるかなぁってぐらいにお腹いっぱいで放心してたら、店員さんが来て空っぽになったお皿を指差しながら何か言ってきた。お皿下げるよって言ってるんだと思って、ウンウンとうなずく。そしたらさ。下げたはずのお皿に、また同じメニューをいっぱい入れて持ってきた~
「おかわり」ですか!思わず吹き出しそうになったよ。いやいや、無理無理、無理です~ってジェスチャーしたら、あれ、違うんだって感じでお皿を下げた店員さん。しかし「おかわり」って。初めてだよ、おかわり持ってきてくれたレストラン。しかも最初と同じ量でさ…ホントまぼろしかと思うよね。

私どれだけ大食いって思われたんだろうって思いながらも、また気を取り直してレジに精算しに行った。そしたら店員さんがさ、「いくらがいいかな、7ユーロ、6ユーロがいい?」って。私に値段を聞くのは何故?しかも結局6ユーロにしてくれたんだ、安っ。
色んな意味で、忘れられない思い出を作ったレストランを後にして、また街を散策してみることにした。重たいお腹を抱えてヨタヨタ歩きをしながらも、なかなか冴えていた私の直感は次にマルシェを見つけ出すことに成功。人でわんさかしている中へとヨタりながら突入して行った。
おじさんも野菜も元気一杯の地元産!
長い通路沿いにズラリと並んだマルシェ。商売人のお兄さんやおじさんたちの勢いが良く活気があってみんないい笑顔。どこから来たの?僕の写真撮って!いや、一緒に撮ろうよ!って、あちこちで面白おかしく話しかけてくれるのが嬉しい。

野菜や果物も色とりどり、どれも新鮮そうで生き生きしてる。海外ではこんなマルシェによく遭遇するけど、どこのマルシェもほんとに楽しいし、地元のものがいっぱいあって見応えが充分にあるんだ。
日本も昔は市場がいっぱいあって、こんな風に活気があったけど、今は大型スーパーがほとんどになってしまっていてなんだか寂しいよね。市場のあった頃は、地元産の商品を置いてあるのが当たり前だったのに、遠くからのものがズラリと並んでいるスーパーが今では主流になっている。

それってさ、流通にお金が掛かって物の値段が上がる上に鮮度もそこまで…ってことでしょ。大量仕入れだと大規模な農家さんが優先して取引とかになりやすいだろうし。こじんまりとやってる農家さんだっているから、そうなると消費者と生産者が直接やり取りできるマルシェが一番いいよね。海外ではこうやっていい形で残っているのに、日本ではどんどん市場を見かけなくなっていくのが不思議だよ。

ヨーロッパでよく見かけるのがオリーブ屋さん。オリーブの種類もいっぱいあるんだ、味付けも豊富で少なくとも10種類は並んでる。魚屋さんもお洒落なんだよね、見たことのない貝もいっぱい、その場で牡蠣を食べられたりもしてさ。
あとはチーズ屋さんかな、店を通る度に今日は何のチーズを買おうかってじっくりと考えてしまうよ。作った生産者が売ってるから愛情も感じるし、見た目で美味しいのが伝わってくる。活気があるのも嬉しいよね、やり取りするのも楽しいんだ。

日本でもマルシェ文化がまた復活するといいなって思うよ。そして実はすでにその兆しはあるんだよね、実際に手作り市だったり、若者のお洒落文化から火がついてるようなムーブメントもあるし。そういった所からまたゆっくりと戻ってくることを願いつつ。
キーワードは、お洒落に楽しく!かな。そう、ここマルセイユのようにね。
PHOTO GALLELY

マルセイユの古い街、パニエ地区

ここは昔の漁師町だったんだって

今は職人さんのアトリエがあちこちに

生活感が漂うのどかな街

朝早いのでレストランはこれから

Y字路ってやっぱり独特な雰囲気

通りで見掛けた完璧なコラボレーション

街中のオブジェもどこかほんわか

電線が印象的なゴシック様式の聖堂

あるピザ屋の物語感あるひとコマ

消防署の建物が丸っこくて可愛い

古い街の朝を切り取ってみる
(取材・文・写真/Hinata)
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