ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。
笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。
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デコボコ坂道を探訪・可愛い路面電車とタイルの街
こんなにも雰囲気ある街はなかなかないよ。ポルトガルのリスボンは旅の中でも思い出深い場所だ。
港前の大通りを山側に抜けると、丘に向かう坂道があった。迷路のような細い道には生活感があり、人々が長くここに住んできたという独特な気配が漂っている。建物の壁はいいくらいに朽ちたり色が褪せたりしていて、新しい街にはない時間の流れを感じさせてくれるんだ。
古いガタガタした道にレールが敷いてあって、それが街中の色んな場所にあるのが面白い。広い道にも狭い道にも所構わずレールがあって、もし今ここに路面電車が来たら、どうやって避ければいいんだろうって思うような狭い場所もあったりする。
よっぽど生活に密着してきた交通手段なんだろうね。大通りの道の路面電車には観光客だらけだけど、細い路地を通っている車両はきっと地元の人が通勤なんかに使ってるんだろうな。
細い道をどこへ行くともなく、いい空間やいい風景を探してぶらりと歩いていく。そしたらあったよ、素敵なお店が。路面電車のレールがカーブした場所にある建物の一階部分。味のある古い雰囲気のお店で、中には普段着にエプロンしてる素朴な娘さんとおばあさんがいて、どうやらふたりでその店をやってるようだった。
店の中は3席ほどしかなく狭いんだけど、外に小さなテーブル席が2つあってそこでも座れるようになっている。店内のショーケースにはシンプルなパンが何種類かあって、その中に美味しそうなエッグタルトが並んでいた。
エスプレッソと一緒に注文すると、外のテーブルまで運んで来てくれたよ。今は朝が始まって間もない、風も爽やかで過ごしやすい時間帯だ。
シナモンを軽くかけて、エッグタルトを頬張った。見た目そのままの優しい甘みがじんわりと美味しくって、思わずほっぺたが緩んでひとり微笑んでしまう。エスプレッソの深い芳香を味わいながら、路面電車が角を曲がってゆっくりとこちらに走ってくるのを眺める。旅先でのこんな時間は、ホントに最高なんだ。