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コラム
2021/03/31
世界一周しながら英語・スペイン語を学ぶ!リアルな語学力が身につくGETプログラムとは?

 
 

世界一周するときに語学力は必要?というのは良く聞かれる質問です。

答えはNo。

英語やスペイン語が話せなくてもボディーランゲージや簡単な単語などを使えば、意思疎通することはできます。英語を習得してから旅に出ようと思いがちですが、英語を話せなくても旅をすることは出来ます。まぁ当然ですが、より旅を充実させるためには話せるに越したことはありません。
じゃあ、旅をしながら英語・スペイン語を学ぶ機会をつくればいいんじゃないか!という思いから生まれたのがGET(Global English / Español Training)。旅をしながらコトバを学ぶメリットは?GETの特徴は?など、さまざまな疑問についてスタッフに聞いてみました。答えてくれたのは、GETコーディネーターの小泉紀子さん。

小泉紀子さん
ピースボート国際コーディネーター/GETコーディネーター。第58回クルーズに通訳ボランティアとして乗船。その後、ピースボートの語学プログラムGETのコーディネーターとして世界各地から招く語学講師や生徒のコーディネートを主に担当。イベントやプログラムの企画・運営も行っている。
―改めてお聞きしますが、GETとはどんなプログラムですか?
小泉 ピースボートの船旅の中で生まれた語学プログラムです。せっかく船で世界一周していて色々なところに行くのに、言語の違いが壁となってコミュニケーションがうまく取れなかったり、一歩踏み込んだ交流ができなかったりするのはもったいない――そんな国際学生の声から生まれました。
―GETの特徴は?
小泉 GETは語学学校といえば語学学校なのですが、英語を試験ために勉強してもらうのではなく、言語はコミュニケーションのツールだということを大事にしています。もちろん、言語ができなくてもジェスチャーなどで意志を伝えることはできますが、言語が使えることでより内容の濃いやり取りができるようになります。
―「コミュニケーションのための英語」という部分以外では、他の言語学校とGETはどんな部分が異なりますか?
小泉 言語を教わるだけでなく、学んだことを実践してみるというインプットとアウトプットのサイクルを意識しています。なので、実際のコミュニケーションですぐに使えるフレーズや単語を大切にするという部分です。
例えば、日本の英語教育を受けた人は、よく「How are you?」に対して「I'm fine, thank you. And you?」と答えますよね。このフレーズがすぐに出てくるのは、何度も何度も繰り返してきたので自然に出てくるというのと、このフレーズがあっていると自信を持って答えられているからだと思います。ですので、GETでは会話に必要な『使える』フレーズがすぐに出てくるように、そのフレーズを学ぶだけでなく直ぐに口をついて出てくるようにたくさん練習します。
―旅をしながら言語を学ぶことには、どんなメリットがありますか?
小泉 旅をしていると、毎日のように日本語以外でコミュニケーションを取らなくてはいけない人たちとの出会いがあります。つまり、学んだことをすぐに実践できる環境が整っています。
言語ができるようになるということは、コミュニケーションを取るためのツールがひとつ増えるということなので、今まで伝えられなかったことが伝えられるようになった!という楽しさを日々実感することができます。
小泉 例えば、部屋のクリーニングやレストランで料理をサーブしてくれるクルーは、世界の様々な地域出身です。そんな彼らの共通言語は英語。笑顔のやり取りだけだった船のクルーに話しかけられるようになったら、もっとたくさんのやり取りができるかもしれません。また、寄港地で立ち寄ったお店でも、ちょっとしたあいさつから会話がはずむこともあるでしょう。言語があることで、旅の経験そのものが広がっていくんです。旅をしながらだと「会話ができた!」、「伝わった!」という喜びを味わえる機会が多いので、言葉を学ぶモチベーションを維持しやすいです。本当に「旅」は、言語を学ぶのにものすごく適した環境だと思います。
―旅の方法は留学やワーキングホリデー、個人旅行など色々ありますが、その中でも「ピースボート」ならではのメリットはありますか?
小泉 一緒に旅をする仲間がいるということは、一番大きなメリットですね。GETのレッスンでもグループ活動がたくさんあるのですが、ピースボートでは言語学習の経験だけでなく旅の思い出なども含めて共有することができるので、学んだことが身につきやすい環境だと思います。それに、先生やクルー、多国籍の乗船者と生活を共にするので、船内で英語・スペイン語を使う機会にあふれています。あとは、一度の旅でたくさんの国を訪れるので、色々な国の言葉に触れられることもメリットです。
―世界一周の船旅は3か月間ですが、その期間でこのくらい英語力が伸びる…というのはありますか?
小泉 GETに参加される人の言語レベルは、大半が初級レベルで、日本の学校で一度英語を学んだ経験はあるけれど話せるまでには至っていないという方です。言語の身につき方は人それぞれなのですが、参加した全員に共通して伸びるのは、英語/スペイン語を話すことに「慣れる」ということです。GETではコミュニケーションツールとしての英語という部分を大事にしているので、正しい文法を使うことよりも、自分の気持ちや意見を伝えるためには何を言ったらいいのか、という部分を教えることと「学ぶ→使う」のサイクルを作ることにこだわっています。
――GETは「Global English / Español Training」の略ですが、GETの考える「Global English / Español」とは?
小泉 「Global English / Español」はどこの国にも属さない英語/スペイン語のことです。例えば英語にフォーカスすると、世界に英語スピーカーは20億人いると言われていますが、そのうちネイティブスピーカーは4億人程度と意外と少ないんです。それだけ多くの人がネイティブな英語ではなく「自分たちの英語」を話しているので、ネイティブの英語が正しい・優れている、どこの国の英語は正しくない・優れていない、ということはありません。どこの地域の誰とでも意思疎通を可能にするコミュニケーションツールが「Global English / Español」です。
ーなるほど、つまり「Global English / Español」を学ぶということは、誰とでもコミュニケーションを可能にする英語を学ぶことなんですね。
小泉 ですがGETでは、言語のスキルやテクニックだけでなく「自分たちの表現」も大事にしてほしいと思っています。よく「自分もネイティブの人たちと同じくらいのレベルにならないと人前で外国語を話せない…」と思っている人がいるのですが、そもそも日本で英語をネイティブレベルで取得する環境はあまりありません。もともとネイティブでないなら、ネイティブレベルになることを目指すのではなく「自分の今話している言葉」を大事にすればいいんだと思います。シンガポールの人が話す英語のことを「シングリッシュ」と呼びますが、同じように日本の人が話す英語も「ジャパングリッシュ」でいいんです。繰り返しになりますが、どこの国の英語は正しくない・優れていないということはありません。なので、もっと自分たちの話している言葉に自信をもって話せる人を増やしていきたいと思っています。
―GETの先生はどんな人がいるのですか?
小泉 クルーズごとに募集をしているのですが、毎回世界各地から応募があるので色々な国や地域の先生が混在する環境をつくることが可能です。生徒の方が、様々な英語に触れることのできる国際色豊かな環境づくりを心掛けています。講師が英語のネイティブスピーカーであることにはこだわっておらず、英語/スペイン語を教えた経験があり、教えることができる、というのが講師になるための条件のひとつです。先生たちのバックグラウンドもさまざまなので、その話を聞くだけでも面白いですよ。また、外国語習得における母語との関連性や違い、学習上のつまずきや気づき等を理解し、どのように乗り越えてきたかを生徒さんに伝えられることはとても大事だと思っているので、母語以外の外国語を学んだ経験があるかも選考基準の一つになっています。
―実際に船上のGETのプログラムではどのようなレッスンを行っているのですか?
小泉 船の上で行うGETのプログラムにはテキストがなく、その人に合ったカスタマイズレッスンを行っています。「寄港地で買い物ができるようになりたい」「世界のことを知りたい」といった目標を受講者がそれぞれたてて、それを基に先生がレッスンをつくっていきます。GETでは「学ぶ→使う」のサイクルを大事にしているので、レッスン中も先生より生徒さんの方が英語を話す機会が多いです。ホームワークも「今日学んだことを使って〇人に話を聞いてみましょう」というように、学習内容を実践することを重視した内容になっています。さらに、船上では英語の絵本をつくったり、詩を書いたり、劇をつくって演じたりといったプロジェクトも行っていて、毎クルーズとっても好評です。単に英語やスペイン語を学ぶだけでなく、それらの言葉を使って何かをするという経験をすることができるのもピースボートの船旅ならではです。
―寄港地で行われるGETの「チャレンジ・プログラム」ではどんなことをするのですか?
小泉 チャレンジ・プログラムはGETの受講者限定のオプショナルツアーで、現地学生との交流や、その土地の文化体験などをします。繰り返しになりますが、GETでは学んだことを実際に使ってみるというサイクルを大切にしているので、チャレンジ・プログラムは学習の成果を試す機会のひとつです。
チャレンジ・プログラムは、参加前に使える英語を学ぶ「事前オリエンテーション」、洋上レッスンで学んだことを実践するプログラム当日、そして寄港地での体験を振り返る「Re-Portセッション」の3部構成になっています。クラスの中でも英語やスペイン語を話す機会はたくさんありますが、顔見知りの人達と練習をするだけだと自信がつきにくいので、自分がどれくらいできるようになったのかという成果を知るチャンスでもあります。
小泉 他の国の人が話す言葉に直接触れるというのは、言語を学ぶ上でとても重要な経験です。せっかく言語を勉強していても、各地方によって訛りがあるので「わからない……!!」というショックを受けることも少なくありません。世界には色々な英語・スペイン語があるんだ、色々な英語・スペイン語があっていいんだということを体感することができるので「ネイティブが一番」という先入観から解放されるきっかけになります。
―最後に、英語やスペイン語を学びたいと思っている人にメッセージをお願いします。
小泉 言語は、学習し続ければ誰でもできるようになります。得意不得意や向き不向きはあるので習得が大変だと感じる人もいますが、諦めずに努力を続ければ、年齢などは関係なく誰もがある程度のレベルまでは必ず到達します。なので「できるようになりたい!」と思ったらぜひチャレンジしてみてほしいです。GETはそんな方を応援するためのプログラムです。モチベーションの維持や、自分だけで努力をするのは難しいなと思っている方のサポートができるので、ぜひ気軽に参加してもらえたらうれしいです。
あとは、GETに限らず言語の習得には「学ぶ→使う」のサイクルが本当に重要なので、とにかく会話の機会を増やして、言葉が伝わることの楽しさを実感してみてください。

終わりに

世界一周だけでも一生の思い出になりますが、言語というツールがあればその楽しみはさらに深まるというのは、私もピースボートに乗っていてものすごく感じました。現地の人と直接自分の言葉で話した経験は、乗船してから2年近くになる今でも覚えています。
個人的に言語習得の最大の敵は、学んだことを「忘れる」ことだと思っているのですが、世界一周しながら英語やスペイン語を学ぶGETなら、世界一周の思い出と言語学習がつながるので、普通に陸で勉強するよりも楽しく身につきやすそうだなと思いました!
現在GETではオンラインイベントを行っているそうなので、そちらもぜひ併せてご参加ください!
>GETオンラインイベント
(取材、文/鷲見萌夏 写真/PEACEBOAT、水本俊也、片岡和志)
PROFILE
sumimoeka
鷲見萌夏(ピースボートデッキ学生インターン)
1999年北海道札幌市生まれ。上智大学新聞学科在学中。
メディア・ジャーナリズムの勉強をしながら「表現」することを研究中。
ライターとして活動する中で、もっと自分の世界を広げたいと思いピースボート101回クルーズに参加。


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