そこまではほのぼのとして楽しかったんだけどさ。よくよく話を聞いてみるとおじさんは、どうやら私に甥っ子であるその男の子を薦めている気配。年を聞くとなんと19歳、いや~それはもう犯罪でしょ。無理無理と言い張る私におじさんは猛烈トークでたたみ込んでくる。
そんなこんなで約30分経過、トーク内容はひたすらそれのみ。なんじゃこのキューバ人の押しの強さは。とりあえず私は写真を撮る仕事があるから行くね、と言いつつ逃げると、「じゃあ仕事が終わったら一緒に食事に行こう」と、半ば強引に時間指定を受けてようやく外へと解放された。
結局、カーサの宿はそこの建物内の別の部屋だったと後で判明。そう言えばどうみてもカーサには見えなかったあのお部屋…きっと工事中の部屋だから安く借りられてたのかも知れないね。おじさんも親子たちも昼間からおうちにいる所をみると、仕事がないのかも。
キューバでは今、貧困層の人たちが生活にだいぶ困っているらしい。アメリカとの国交正常化によって、消費的な社会へと変化しつつあるキューバのこれからは、裕福層と貧困層の格差が更に広がっていくだろうと言われている。そしてもうすでに今、色んな形でそれが見えているんだ。
自分が体験したさっきのキューバ的猛烈アタックも、大げさに言うと「政略結婚」みたいなものかもしれない。とにかくこの子と結婚しなさいと笑顔でひたすら強く薦めてくるおじさん、最初は冗談だと思ってトークを楽しんでたけど、次第に鬼気迫ってくる様子にあまり笑えなくなってた。
だけどこれも、リアルなキューバの今を知る貴重な体験だったかも。楽しかったけど複雑という時間をあとにして、また街へとくりだした。