天気は晴れたり曇ったり。ハーバーに光が差すと、一瞬でその表情がガラリと変わる。ヨットの真っ白な船体が光に照らされている姿が、余りにも美しくて自然と歩みが止まってしまう。そんな風景に後ろ髪を引かれながらもまた再び、狭い路地へと入り込んでみた。
メルヘンな街の教会は、やっぱりメルヘンだったよ。こじんまりとして温かみが感じられる空間。懺悔する時に入る小さなスペースがあるんだけど、見たことあるかな?牧師さんと自分とだけが入れる縦長の箱のような狭い小部屋でさ。真ん中が仕切ってあってお互いに顔は見えないんだけど、そこで懺悔を打ち明けるんだ。映画でしか見たことなかったような小部屋がそこにあったんだよ、ちょっと感激。
狭くて暗く、重たいイメージがあった懺悔室は、ここでは外からの光に照らされて温かみさえも伺えてさ。その小さな小部屋は、ホントに罪が許される場所のように見えたんだ。心に抱えた秘密を打ち明ける、そのためだけに存在する箱。狭い密室だからこそ秘密を言ってしまうような心理があるのかも知れない、そう思うと懺悔室って面白い空間だよね。
街を歩くと、ここのメルヘンワールドにどんどんと連れ込まれていく感覚になる。街を離れて少し坂道を登った裏通りは更に、人も少なくて物語感が増している。ここで3匹の子豚がおうちを作っていても、真っ赤な頭巾をかぶった女の子が寒そうにマッチを売っていても、普通に受け入れてしまいそうなくらいのメルヘンな街、オン・フルール。
オープンエアーのレストランが続く道沿いを歩いていたら、山盛りのムール貝の殻を入れた鍋があちこちの店先で置いてあった。きっと、ここの風物詩のようなものなんだね。ここに来てこれを食さずに帰るなんてありえないぐらいなのかも知れない。
それにしてもさ、よくみんなこれだけのムール貝を食べ切ってるなあと感心。食べるというよりかはチャレンジって空気感はあるんだけどさ。まあ好きな食べ物はほどほどに楽しんで、最後の晩餐辺りで満腹までチャレンジするぐらいが幸せでいいのかも。
とりあえず未来、ここオン・フルールに貝塚が発見されることは間違いなしだね。