さっき観光案内所で聞いたんだよね、この近辺にある美味しいレストランのことをさ。まずは腹ごしらえでしょうということで、教えてもらった店に入ってみた。そこでせっかくなのでコースメニューを選んでみた私たち。私は海老と貝の前菜、ワインと、メインはポークソテーとデザートにアップルパイ。
友人はメインに、大好きなムール貝の料理を選んでいた。ずっと言ってたんだよね、ムール貝が食べたい食べたいってさ。ここは港町だし期待できるねって言って料理が来るのを待ってたんだけど、やってきたメイン料理がさ。すごいよ、驚きのボリューム。
直径で20センチぐらいある丸い鍋が出てきたと思ったら、中にはスライスの玉ねぎ、そしてムール貝の山。鍋の高さは10センチ程あったんだけどそこから溢れるくらいの量で。もう本望だよね、今日が最後の晩餐でもさ。おめでとうございますと言わんばかりにワインで乾杯、では、どうぞ行ってらっしゃいませ。
それから15分ほど経過。食べ始めの頃は満面の笑顔だったよね、そういえば。時間がたってくるとまあ表情もそれなりに変化してくるのも分かる。大好物が何か違うものに変わっていく瞬間を見たって感じかな。結局、友人の鍋に入っていたムール貝の総数は何と74個…最後の晩餐で食べたいものリストからムール貝は外れたと予想。その後も街で見かけるたびに「あ、ムール貝」って言うと、笑顔がひきつってたような。
狭い通路を、地図を片手にあちこちをウロウロ。歴史的な建物に行き当たりつつも街の中心を探して歩いて行くと、突然広い空間にポンと躍り出た。正面にあるのは川だろうか…いや違うな、どうやらハーバーみたいだよ。ヨットが横並びに綺麗に停泊していて対岸には建物が並んでいる。
そのレンガの壁がベージュやこげ茶、明るいグレーなどで色味は落ち着いてるんだけど、色分けされて並んでるからシックだけどカラフルといったイメージ。一軒づつの敷地が狭いんだろうね、建物がどれも上に長く伸びていて隙間なく横に並んでるんだ。それが水面に映ってまるで絵を眺めているかのような景色。なるほど、ここは観光名所になるはずだわと納得。