今日の出港は夕方前。船のデッキでは大勢の人がカメラを構えている。晴れて眩しいほどの青空に、美しく映えるポルトガルの街。丘の上には今日近くを通った教会の姿が見えていた。濃厚な時間だったなぁと、今日一日を振り返って改めて思ったよ。気がつけば船はゆっくりと動き始めている。
明るい時間の出港は、感傷的気分よりも楽しさが上回る。夜の出港で夜景を見ながら出港するロマンチックさはないにしても、その国の風景を見渡しながら今日どこへ行ったか思い出したり、隣にいる友人と一日の行動をシェアし合ったりするのが楽しいんだ。
対岸に流れていくポルトガルの景色。大きな橋が頭の上を通り過ぎていくのも船ならでは。そう言えばレインボーブリッジに始まり、今までいくつもの大きな橋をくぐってきたなぁ。橋をくぐる時はみんないつもテンションが上がり気味なのが面白い。
突然、私たちの船が走っている横に大きく回り込んでピタリと船体にくっついてきた小型船がいた。何だろう、忘れ物でも届けに来たかなって見てたら、どうやら船長さんを迎えに来た様子。大きな船が港から出航する際には、安全面の都合上で港内は、その国のパイロットさんが船を運転することになっているんだって。
みんなで上から覗き込んでいたら、人がひとり小型船にヒョイと乗り込んだのが見えた。「バイバーイ!」大きく手を振る私たちを見て、パイロットさんは笑顔で大きく手を振ってくれたんだ。そして小型船は、勢いよくポルトガルの港に向かって走り去って行った。
遠ざかっていくポルトガル。デコボコした坂道と古くて味のある生活感を垣間見せてくれたリスボンの街。きっと次は、路面電車で坂道を探検しに来るからね。