そこで初めてちゃんと調べてみた。そしたらもうね、ドンピシャだったよ。明日私たちはナミビアに寄港してその後ブラジルへ。そしてホクレア号は、私たちよりかはブラジルに近い場所にいてさ。もちろん速度が全然違うから、このままいくとブラジルへはちょうど同じ頃に着くんじゃないかなって予想。
ここからブラジル到着までの10日間ほど。私たちはかなり至近距離で、同じように海に浮かんでブラジルを目指して航海していたんだ。今までの私たちの出会いの中でもこれは究極だと思う。なんでかっていうと、今までの出会いではホクレア号はずっと停泊していた。だけど今は違う、動いているんだ!しかも古代のまんまの航海術で、世界の海を渡っている…。
これって、かなり凄いことだ。古代のまんま旅している船と時を同じくして、しかもすぐ近くで同じように船旅をしているなんてさ。何だかイメージがシンクロするというか、隣に並んで走っているような感覚をリアルに想像してしまうよ。ホントの古代からきた船ではないけど、どこか時間軸が不思議に違うような気もするんだ。過去と平行した現在のような…そんな存在。
これ以前も、彼らは私たちよりだいぶ早めにモーリシャス、ケープタウンへと寄港していたらしい。私たちはそれを追いかけるような形でその2箇所にも寄港、ここに来るまでも同じ行動をしていたということが分かった。
そして、私たちの船がブラジルのリオデジャネイロに着いた同じ頃、ホクレア号はブラジルのNATALという場所に到着していた!これは同じブラジルでも少し距離があるんだけどね。今回はそんな感じで、ばったり出会った訳ではないにしても相当近い場所に同じタイミングで寄港していたんだ。
実際には会えていない、だけどすごく近くに感じていた。見えていなくても近くにいるってことが感覚で分かるのは、古代のナビゲーションシステムと同じような仕組みだったのかも。そこに船がいるって信じてるから感じるんだ。今、近くにいるよってね。