後日、ホクレア号に会いに行った2つめの港は、空港に近い街にあるナウィリウィリ港。そこは映画ジュラシックパークのロケ地にも使われたという、緑の多い陸地が印象的な場所だった。そこに停泊していたホクレア号の上には、クルーや関係者の人たちが何人か乗っていて。友人家族とそこに近寄ってみたら、向こうから声をかけてくれたんだ。「乗ってみる?」って。
わぁ、また乗れるんだ!もうホクレア号との距離が、すごく縮まっている気がしてさ。とっても身近な存在と感じている自分がいる。ホクレア号も、おいでって言ってくれているような気分だ。そこにはひとり、日本人の男の人も乗っていたよ。その人はいつかクルーとしてホクレア号に乗りたくて、こうして関われる時にはお手伝いしてるんだって言ってた。
そう簡単にはホクレア号のクルーにはなれないんだって。ただ海や船に関する技術があればいいってものでもない。ホントに何年もホクレア号と関わって、勉強して身体もしっかり作って、芯からホクレア号を理解した上でようやくクルーとして認められるようなそんな大変なことなんだそうだ。みんなそうまでしてホクレア号に乗りたいって思っている。それだけ、とっても夢ある凄い船なんだってことだよね。
カウアイ島では、クルーやキャプテンのお家に招待してもらったりして、船に関わっている人たちからもホクレア号を感じ取ることができたんだ。船のそばにいない時でも、彼らといると何故か船をとても近くに感じる。ほんのちょっと繋がり始めたぐらいの私がそれを感じ取れるほどに、クルーたちはみんな心の底からホクレア号を愛しているし、誇りに思っているってことを深々と知らされたんだ。
まるで意思のあるひとつの生命体であるかのように、船体の一部一部までを大切に扱われているホクレア号。そんな風に大切にされたものには、ホントに命が宿るんだ。クルーたちはその命に抱かれながら大海原を渡っている。だから、果てしない未知の世界も怖くないんだよね、きっと。
ホクレア号、彼女がどうして意志あるものとして存在しうるのか。そしてそんな彼女がハナレイの海に浮かぶ私に届けた不思議な問いかけ…カウアイ島の旅は、ホクレア号という存在の内側と触れることができた旅だった。
(取材・文・写真/Hinata)