目の前にいた野良犬が2匹、私たちの横について一緒に歩き始めた。いつもこうやって誰かについて歩いたりしてるのかな、言葉はもちろん喋れないけど道案内してくれてる風で面白い。
バルパライソは野良犬がいっぱいいるんだけど、キャンキャン吠えてくるような犬は全然いない。大型で大人しくて、どこか言葉を話しかけてきそうな雰囲気。彼らはよく人間の側にいるんだ、どこか友だちのような感覚でいるのかも知れないね。道端でもよくお昼寝してたりして、何だかのんびりしているよ。
グラフィティーって呼べばいいのかな?さっきの街の絵もそうなんだけど、バルパライソの壁やシャッターのあちこちに絵がふんだんに描かれていてさ。それはどちらかというと落書きというよりアートで、建物の色合いがポップだからそこに妙にマッチしていてお洒落だったりするんだ。
そんな絵やら建物やらを横目に見ながら30分ほどひたすら坂道を登った頃、ようやく丘の上にたどり着いた。後から聞くと、ホントはバスもあったらしいんだけど、こんなに可愛い通りをサッとすり抜けていくだけなんてもったいない。ホロ酔い加減でふわふわしてたけど、歩いてみて正解だったよ。だって頑張ったご褒美に、丘の上でこんな素敵な景色が待っていてくれたんだから。
眼下に広がるパノラマの風景を見降ろす。夜とは違った雰囲気の、もうひとつのバルパライソ。カラフルな建物がひしめきあって、その向こうに海が青く広がっている。バルパライソは街全体が世界遺産になっているんだ。
昔スペインの植民地だったからどことなくヨーロッパの感じもあって、そこにカラフルさが加わって独特の雰囲気。街全体を見渡して大きく深呼吸をする。ここでのんびりと時間を過ごしてから、バスでもう一度街まで降りた私たち。