正面に立っている古ホテルの淡いピンクのくすみ具合が、広場のちょっとした歴史を想像させてくれる。周りにはレストランやカフェが広場を取り囲むようにあって、古くて味のある建物をお洒落に引き立てているようだ。ジェラート屋さんの甘い誘惑に負けそになりながらも立ち止まらずに、まずは探検するべく広場の奥の細い道に進んでいった。
路地を一本中に入ると商店が立ち並ぶ通りがあった。まだ午前中で時間も早いとあってか、空いている店はまだ少ない。小さめのお店が並ぶその通りはシャッターがどこもアートで、壁いっぱいに描かれた絵があったりと街全体がちょっとした画廊のようだ。朝早くてシャッターが閉まっているこの時間だからこそ絵の全景が見えるっていうのもの粋だよね。閉まっているのに個性がある街なんて、面白い。
レトロで丸っこいフォルムの路面電車が、これから一日が始まろうとしているお店通りの道路をするりと静かに通りすぎて行く。みたところ線路がないけど、どうやら上のアンテナらしきものと電線とで動力が繋がっているらしい。古くからある路面電車なんだろうか、その姿のアンティーク感が何とも言えず可愛いんだ。
キョロキョロと周りを見渡しながら空いているお店を探す。朝早い時間から出てきた私たち、ここまで来てかなりお腹が空いていたのでまずは腹ごしらえからかな。せっかく入るのならば、地元感がある食堂がやっぱりいいよね、観光客ばかりが入っているようなお店じゃなくてさ。
チラリとお店を覗き込みながら発見したそのお店は、こじんまりとしていて雰囲気が良さげ。早速中に入ってメニューを吟味、スペイン語がわからないままに今回もまた友人にお任せする。フランス人だけどスペイン語もわかる友人がホント頼もしい限りだ。
私はシーフードのエンパナーダと魚介のスープ、フルーツジュースを注文。お喋りしながらおとなしく待っていると、お酒が入ったショットグラスが人数分テーブルまで運ばれてきたんだ。うん?注文してないけど…もしかして付き出し的な?ってかショット??驚き顏の私たちが振り返ってお店のおばさんを見ていると、頷いて飲め飲めと合図してくる。やっぱりそうなんだ~わお。
ちょっと面白いよね、ランチ前にショット飲み干すなんてさ。さすが南米だなぁって思ったよ、情熱的でいいね。ということで満面の笑顔で乾杯!ぐいっと飲んだら結構そのお酒が強くってさ。しょっぱなから酔いがまわってきたぞ~ってまだ昼前なんですけど。ホッペが緩んできて、ちょっとした幸福感に浸ってきた私たち。