ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。
笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。
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音に遠く誘われて…私が私であるという証はどこにある?
まず驚いたのは先生の音楽の腕前。色んな伝統楽器を目の前で弾いてくれたんだけど、プロのミュージシャンじゃあないかってくらい技術が高くてさ。シンプルな形の伝統楽器から、想像もつかないようなリズムや音色が次々と踊り出てくる。
アフリカの人たちのリズム感は独特だ。頭で考えてリズムを取らず、感覚で音を奏でると同時に体の中から勝手にリズムが溢れてくるような感じ。音をポンポン空中に投げて遊んでるようなイメージでさ、そんな彼らの音楽はどこまでも広い大地を想像させてくれるんだ。
目を閉じて聴いてみる。アフリカの大地…そこに息づく動物たちの呼吸や、虫たちのざわめくような動き、流れる風景や大地に広がる赤茶けた土の質感をも表現するかのような音が、小さな部屋いっぱいに大きく展開していくのを感じる。アフリカ人の心の中にある芯のようなものが、音楽という形になって私たちの心の中にフワリと心地よく入ってくる。
演奏が終わり、音に乗ってアフリカを旅をしていた私たちの、遠く連れて行かれた意識がこの場にゆっくりと戻ってくる。その様子を眺めながら彼らはまた音を紡ぎ始める。再び目を閉じて心を音に委ねると、さっきとは違った景色の場所に辿り着く。
大地の上から今度はその中へ、巡り巡ってその奥の更に奥まで辿っていくようなループ感。そういえば、私たちはどこから来たんだっけ。DNAに刻まれた記憶が細胞を震わせる。忘れていた何かを思い出すかのようによぎるデジャブ。めくるめく展開していく音の波は魔法のように、私たちを乗せてどこまでも遠い世界へ連れ去って行くようだった。
次に始まった生徒たちの演奏は、サックスなどの管楽器やピアノだ。どこかぎこちなさがあるものの、やっぱり持ち前の音感の良さがある。彼らのハッピーな演奏空間を楽しみながらも、それが民族楽器ではないことが心に少し引っかかった。