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インタビュー
2020/09/22
INTERVIEW Vol.27
末本晴香
HARUKA Suemoto

14歳で地球一周。「乗りたい」より「逃げたい」が先だった。

PROFILE
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末本晴香
1997年生まれ。現在大学3年生。14歳の時、第80回ピースボートクルーズに乗船。帰国後、高校生時代は教育系NPOの活動がきっかけで不登校に対しての活動を行った。
第80回ピースボートクルーズで行っていた船上プログラムの1つ「グローバルスクール(以下、GS)」に、当時14歳で参加した末本さん。不登校だった末本さんは、一体どんなきっかけで地球一周に参加したのでしょうか。また、地球一周を通じ、どんな変化があったのでしょうか。大学生になった末本さんに、当時を振り返ってもらいました。

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とにかく今いる環境から逃げたかった。


ーさっそくですが、地球一周に参加したきっかけを教えてください。

末本「親が海外旅行好きだったこともあり、私が不登校だった時に“ピースボート・グローバルスクール”というものがあるよと教えてくれたんです。そこで、1度説明会に行ってみよう!ということになり、母親と2人で話を聞きに行きました。一通り説明を受けたあと、家でも学校でもない全くの新しい環境に惹かれている自分がいました。今振り返れば、地球一周に行きたい!という気持ちよりも、今いる環境から逃げたい!という気持ちの方が強かったのかもしれません。」

GS(グローバルスクール)とは?
ピースボートが実施する洋上プログラムの1つで、旅を通して「ヒト多様性」を学びます。年齢や出身地の違う人たちが共に旅をする中で、出会い、語り合う経験を通じて「ヒトと違うこと」に胸を張って生きる自信を生み出す原体験となり、学校や職場に馴染めない、コミュニケーションが苦手、何をやっていいかわからない、という人たちの環境を変えるきっかけに、そして少しずつ自信をつけられるような地球を舞台にした洋上フリースクールです。

 


ー船に1人で乗ることに不安はありませんでしたか?

末本「あまり不安はなかったと思います。というのも、当時熊本に住んでいたんですけど、福岡に行った時にピースボートセンターに寄ったんです。そこで、スタッフの方から『一緒にポスター貼りしてみない?』と誘ってもらって、ポスターを貼ることになりました。一緒にポスターを貼っていたボランティアスタッフの人たちと仲良くなったことで、同じ船に乗る仲間ができたので、1人という不安はありませんでした。」

ボランティアスタッフ制度とは?
スタッフ活動を行うことによって、関わったボランティアスタッフの活動分だけ船賃の割引が受けられる。この制度により、お金に余裕のない若者でも乗船しやすくなっている。居酒屋など街でよく見かけるあのポスターは、クルーズ乗船予定のボランティアスタッフが貼っている。他にもカンボジアの地雷除去のための街頭募金、世界各地に届ける支援物資集めなどのボランティアがあり、⾃分の興味関⼼や⽣活スタイルに合ったものを選択可能。1回のクルーズで10名ほどは、全額割引まで到達する強者がいるらしい!

 

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生まれて初めて、友達と言える大人ができた。


ー船内ではどのように過ごしましたか?

末本「基本的には、GSと写真チームでの活動と、あとは麻雀ですかね。中学生で麻雀って聞くと驚くと思うんですけど、船で初めて覚えた麻雀にハマってしまって、おじさんたちにおしえてもらいながら、とにかく空き時間は麻雀に没頭してました。囲碁も勧められたんですが、麻雀がしたいという気持ちが勝ってしまい、断りました。笑」

ーGSの活動の中で特に印象的だったことはありますか?

末本「GSでは、水先案内人が特別に講義をしてくれたり、皆で“普通ってなんだろう?”といった題材で議論をしたりなど様々な活動をします。上げ出したらキリがないんですが、特に印象的だったのは、あるスタッフとの出会いです。その人は、GS担当のカウンセラーだったんですが、私に対して“お客さん”だとか“中学生”だとか関係なく、自分の悩みを相談してくれたんです。それまで陸で会ってきた大人は、学校の先生とか、友だちの●●ちゃんの親とか、何かしら立場や身分があったけど、船に乗ったらそういう関係性ではなくて、中学生の私でも“1人の人間”として対等に話してくれているという姿勢が自分にとってはすごく新鮮で、生まれて初めて友だちと言える大人ができた瞬間でした。」

水先案内人とは?
ピースボートには、各界の著名な方や専門家、例えばジャーナリストやNGO活動家、パフォーマーなどが地球一周のクルーズに部分的に乗船し、これから訪れる国々や地域の歴史・文化を紹介をする講演会、歌やダンスなどのパフォーマンスを船内でおこなっていただく、洋上のゲストのことを「水先案内人」と呼んでいます。

 

GS生

 


ー船内で楽しかった思い出はありますか?

末本「GS生で、みんなの誕生日を祝いあったことですかね。全員で一緒に誰かのために祝うというのが、すごく楽しかったです。陸にも友だちと言える存在はいたことにはいたんですが、皆と同じことをしないというだけで、少しずつ関係がずれていったりしたこともあって、本音で話せる友だちはあまりいなかったと思います。船の中では、様々なバックグランドの人たちと交流できる。そんな環境が心地良くて、自分から本音を話したい!と思える人たちと一緒に何かをするというのが今までになく楽しいと感じたんだと思います。」

誕生日

居場所がないのなら作ればいい。


ー船を降りてから、変化したことはありましたか?

末本「1人で飛び込んで行く積極性はすごくついたと思います。高校生の時、教育系NPOが主催した“マイプロジェクトを作ろう”というイベントに参加したんです。イベント後に、自分と同じような境遇の不登校や引きこもりの子たちに居場所を作ってあげたいという思いから地域の公民館などで不登校の集まりを主催したり、卒業式に出られなかった子たちにミニ卒業式を開いたりしました。以前の自分なら、こんなイベントに参加することすらできなかったと思うし、ましてや集まりを主催することなんて想像もできなかったと思います。」

月1会

 

末本「でも逆に変化していないこともあって、それは中学校が自分の居場所だとは思えなかったことです。『地球一周すれば何か変わってるだろう』と先生とかは期待していたみたいですけど、帰国後も中学校は私にとって行きたいと思える場所ではありませんでした。ただ、地球一周を通じて、いろいろな生き方があるのを知ったことで、学校に行くことが必ずしも正解ではないと思っていましたし、学校にいけなくてもイベントに参加したり主催する事で、自分の居場所を作ることはできると思うようになりました。」

海外をもっと知りたい。


ー印象に残っている寄港地はありますか?

末本「たくさんあるんですけど、特にあげるならベトナムとシンガポールですね。
ベトナムは一番初めの寄港地で、現地の学生と交流するツアーを取りました。全く英語が話せない状態だったので交流できるか不安でしたが、ジェスチャーがあれば何とかなるなって思ったのを覚えています。
シンガポールは、水先案内人でGSのナビゲーター石川清さんとGS生何人かで回ったんですけど、王道ではない観光地をあえて歩いている中で、石川さんが『あそこで立っている女性は仕事を探しているんだよ』と教えてくれたんですね。ただの立っている女性としか思えなかったものが、知識があるだけで、その国の経済状況などを知ることができる。知識があるだけでこんなにも世界の見方が変わるんだと、中学生ながらに感動したのと同時に、もっともっと世界について知りたいと思うようになりました。」

ベトナム

 


ー地球一周はその後の進路に影響しましたか?

末本「めちゃくちゃ影響してます!地球一周の後って多分2パターンの人がいると思うんです。“世界を知った!と次の行動に進む人”と、“もっと知りたい!と思う人”。私はどちらかというと後者で、海外についてもっと勉強したいと思い、大学では国際系の学科に進学しました。今は海外のこと、世界のことを学びたいと思っています。将来どこで何をしたいかは、まだ探索中です!」

船は、自分をさらけ出せる第3の場所。


ー末本さんは14歳という若さで地球一周を実行しましたが、早い時期に地球一周して良かったことはありますか?

末本「人生にはたくさんの選択肢があるというのを早い時期に学べたのはすごく大きかったと思います。ピースボートクルーズには約1000人の乗客がいて、話を聞く度に、こんな生き方もあるんだと関心していました。中には仕事を辞めて船に乗っている人もいて、周りの目や常識を気にせずに決断ができるというのは、すごくかっこいいなと思いました。中学生の段階で、人生の色々な選択肢を学んだことで『こうじゃなくてはいけない』と言った固定概念に縛られることなく、行動できるようになりました。」

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ー最後に...不登校の人は地球一周クルーズに乗ったほうがいいと思いますか?

末本「自分の中で乗りたいという気持ちが少しでもあれば乗ったほうがいいと思います。逆にいうと、乗りたい気持ちがないなら乗らないほうがいいと思います。私は逃げたいという気持ちで乗りましたが、あくまで自分の決断で乗ったので、乗った意味を見出さないと!という姿勢で地球一周に臨んでいました。でも親に無理やりに乗せられていたなら、そんなことを思うこともなく嫌になっていたんじゃないかと思います。
もしも、今の環境を変えたい気持ちや背景や立場を気にせずに1から関係を築くことができる環境に身をおきたい気持ちが少しでもあるなら、家でも学校でもない第3の場所・地球一周、挑戦する価値は十分にあると思います!」

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(文/古池 祐二郎 写真/末本 晴香)
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