幅允孝
インタビュー
2016/04/20
INTERVIEW Vol.5
幅 允孝
HABA Yoshitaka

ブックディレクター・幅允孝さんが紹介する
読んで楽しむ南半球!(1/2)

PROFILE
幅允孝
幅 允孝
[ブックディレクター・BACH(バッハ)代表・愛知県立芸術大学非常勤講師]
人と本がもう少しうまく出会えるよう、さまざまな場所で本の提案をしている。その活動は多岐にわたり、図書館やアパレルショップ、病院、保育園などで本棚をプロデュースするほか、「ブックフェス」などのイベントも企画し、本から広がる可能性を追求し続けている。近著に『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』(2014年/晶文社刊)がある。
公式ウェブサイト BACH
インド洋のモーリシャス、アフリカの壮大なサファリ、そしてラテンのリズムが響くブラジル、マチュピチュ遺跡を擁するペルー。さらに南洋の楽園タヒチやサモアなどをめぐる南半球航路は、ピースボートでも人気です。このダイナミックな船旅は、飛行機ではなかなか実現しづらいルート。だからこそ、いつかは行ってみたい! と憧れを抱いている人が多いのも事実です。そこで今回は、少しでも旅のイメージをお伝えできればと、「本」を通して南半球の魅力に迫りたいと思います。
ナビゲートしてくださるのは、ブックディレクターとして活躍中の幅允孝(はばよしたか)さん。日頃、カフェやミュージアムショップ、または病院の本棚など、あらゆる場所に置く本のセレクトをおこなっている幅さんに、「南半球を旅する前に読んでおきたい本」をお聞きしました。躍動感あふれる写真集や、読み手の内面に迫る短編小説、南米の文化を深く学べるラテン文学など、多様なジャンル計5冊。旅をより豊かに彩ってくれる、名作揃いです。

孤独な時間を過ごせることも船旅の醍醐味

私は、2014年秋にピースボートの船に水先案内人として乗船しました。そのときは、スぺインのバルセロナから合流して“「食」と「旅」の本30冊”をご紹介する講座をおこないました。初めてお会いする方々との船旅はとても楽しいものでした。船内だけでなく、寄港地でもいっしょにご飯を食べたりして、盛り上がりましたね。

さまざまな年齢層の方と仲良くなれる点は、ピースボートの旅の魅力です。でも一方で、船旅は、孤独な時間を過ごせることも醍醐味だと思います。船旅は、日常とはまるで違う、いい意味で「隔離」された世界ですよね。自分自身が一人の人として、何かとじっくり向き合える。贅沢なひとときともいえます。(講座の模様はコチラ

人は日頃、ほとんどの場合が一対複数の世界と接しています。誰かと関わるにしてもテレビや映画を観るにしても、自分という個人は知らぬ間に複数のモノや出来事と対峙している。しかし、そんな中で、とても小さな単位で自分を迎えてくれるものがあります。それが、本です。本を読んでいるときは書き手と読み手が一対一の関係で、向き合わざるを得ません。そうすると、自分の考え方を改めて見つめ直せると私は思います。

 今の時代は、旅先の情報を知りたい場合、インターネットで簡単に調べられます。でも、たとえば“自分にとっての南米観”を形作りたいとき、インターネットで得た情報で形成するのはなかなか難しいのではないでしょうか。なぜなら、現地の温度や息遣いなどの実体験の生々しさは、アナログな媒体のほうが力強く伝えてくれますから。そんなとき、本は大きな力を発揮します。旅先を自分はどう受け入れるか。自分と旅先はどういう関係をつくっていくか。そういったものを、本を通して育めば育むほど、旅は奥深いものになっていくのです。

船内は、ラッキーなことに、やらなくてはいけない仕事や電話が追ってくることもありません。日ごろ一所懸命に頑張っている人が、ようやく静かに過ごせる空間といってもいいでしょう。本が語りかけてくる声に耳を傾けながら、ぜひ、自分だけの旅の愉楽を育んでいただければと思います。

写真集は、現地の生々しさを伝えてくれる

最初にご紹介するのは2冊の写真集です。1冊目は、ブラジル出身のセバスチャン・サルガドの『Genesis(ジェネシス)』。サルガドが60歳を過ぎて、ライフワークの結実として撮った作品で、コンセプトは“未開の地球”。現代文明から隔絶されて生きる人びとの姿などが並んでいて、その生々しさには驚かされます。「地球の46%は未だありのまま」という写真家の言葉に、納得してしまう一冊ですね。
今は、世界のどんな情報もすぐに手に入れられて、わかった振りもしやすいご時世ですよね。でも、自分が知っていることはほんの一部だと痛感させられる写真集です。
Genesis(ジェネシス)
セバスチャン・サルガド
TASCHEN刊
「地球の46%はまだありのまま、起源の頃と同じ姿をしている」という写真家サルガドが、8年の歳月をかけて撮影した地球の風景を収載。セスナやカヌー、気球までも使って撮影をおこない、自然や動物、社会から離れて暮らす先住民族の姿などをリアルに写し出している。
2冊目は、1971年に出版された、篠山紀信さんの『オレレ・オララ』。当時30歳だった篠山さんがリオデジャネイロに行き、実に躍動感溢れる写真を撮っています。たとえば、サンバを情熱的に踊っている人がいたり、陽気に酔っ払って大笑いしている人の姿があったり。ページごとの篠山さんのコメントもお茶目で笑えるんですよ。「この娘(こ)にキッスされたもんね、よかったね」とか(笑)。遊び心と熱気に満ちた作品です。
オレレ・オララ
篠山紀信
集英社刊
1971年に雑誌『プレイボーイ』の別冊として発行された。30歳の篠山紀信による、リオのカーニバルの写真集。副題は「カーニバル灼熱の人間辞典」。「作品全体に遊びがあって最高。篠山さんの写真集のなかで一番好きな作品です」(幅) ※現在は絶版となっております。
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