一日の中にふとある「空白の時間」。徐々にスピードアップしながら、日常に目まぐるしく割り込んでくる非日常を横目に、彼らはガタガタした玄関先のステップにのんびりと座り続けている。変わるものもあれば、変わらないものもある。
いつかまたキューバに来れることがあったら、ガタガタしてて、だけどツルリと丸っこくなってるステップの、その座り心地を一緒に楽しむことができたらいいな。「それまで、変わらずそこにいてね。」そう言ってしまうことは余りにも簡単で、横柄だろう。
だけど忘れ去られた過去の夢を思い出しては反芻するかのように、私たちが無くしてしまってまだ落とし込めずにいるものたちの残像を、この夕日の時間は薄っすらと照らし出していた気がするんだ。
だからこそ敢えて、私たちの未来と共に見たいその景色に声を掛けてみようと思う。キューバの街角、夕日のひととき。
「それまで、変わらずそこにいてね。」
※追記※(2016年11月26日現在)
私たちがキューバに行ってからちょうど一ヶ月がたった今日、キューバの革命をチェ・ゲバラと共に行ったカストロ議長が亡くなったという話が船内に飛び込んできた。
カストロ議長の弟ラウル・カストロが今現在も政権を維持しているけど、アメリカ大統領にトランプ氏が決定したニュースと、時を近くして彼が亡くなったことは、キューバの一つの時代が終わったことを象徴している気がしてならない。そしてこれから更に新たなる変化を余儀なくされていくかもしれないことを想像すると、友だちとなった彼らの未来が少し心配に思えてくる。
これから更に変化していくはずのキューバ、だけど変わりつつもこの夕日の時間をいつまでも持ち続けることができるのならば、きっといい未来がそこに残るだろう、そう信じたい。