そういえば…私が沖縄に興味を持ったきっかけは、独特な歌と踊りといった文化面に触れたことからだったんだ。風変わりなリズムの沖縄民謡、独自の音階、それに乗せた方言での歌詞の面白さやコミカルな社会風刺、エイサーなどの伝統的な踊りの中にある一種の土着宗教的な意味合いや、そんな文化が現在進行中なことに度肝を抜かれたんだよね。
アジアの仏教国なんかでそれがあるのは分かるんだけど、この日本で、しかも生活にかなり近い所でそれらは日々存在していて、当たり前のように今も大切にされていることが驚きだった。もちろん探せば日本各地にそんな存在はあるかと思う、だけど沖縄の日常とそれの密着具合がすごいんだ。
過去には文化が消えつつあった沖縄。それは昔、本土からの文化的侵略のような形でやってきた。方言を喋ると罰せられながら、日本語教育を受けていた時代がある。
今でこそ「琉球フェスティバル」とか「島唄」とか、ブームのようにして取り上げられている光景が見られる沖縄だけど…当時、高校生だった私にエイサーを教えてくれていた、大阪の沖縄県人会のおじさんから聞いていた話は違っていたんだ。
昔は本土に出稼ぎに出ていたウチナーンチュの生活は貧しく、その為に差別を受けていたような時代があったんだって。おうちでサンシンを弾いたり、ましてやエイサーを踊ることもご法度のような時代が、つい最近まであったのはあまり知られていない事実かもしれない。