今思えば、沖縄での日々は自然がいつもすぐそこにあった。なんて贅沢な時間だったんだろう。そんな大切なものをそっと箱にしまって、沖縄の地を後にしてすぐこの船に乗り込んだ。旅立つ場所は、世界。ここよりも遥かに大きく想像のつかないその空間に身を投げ出すことは、ある意味今までの時間の終わりを意味し、もうひとつの未来への始まりを意味することでもあった。
2016年、私はその半分近くの月日を海の上に浮かんで過ごしていた。PEACE BOATでの世界一周の旅。3ヶ月半の船旅を別ルートで2ラウンド、南回りとヨーロッパ回りで合計39カ国の国々を一気に回ったんだ。
世界はいろんな色で溢れていたし、光を強く感じる場所もあれば闇のような重たい空間もあった。音は流れたり跳ねたり自由にその形を変えて存在し、世界のどこにいてもそのリズムが止むことはなかった。
素晴らしい風景や精神性の高い人々、誇り高い文化が色褪せぬままにあちこちに見られた。たった一日の観光でもそんなものたちを感じ取れるくらいだから、短い滞在時間で逆に良かったと思えるくらいだ。だって、長く滞在してしまったらきっと、もう帰りたくないって心から思ってしまうんじゃないかな…それほどに世界はバラエティに富んでいて、楽しくてとても刺激的なんだ。
そんな旅をしながらふと、思ったことがある。「沖縄ってなんて素晴らしいんだろう」って。
それは単に美しい海や山、その景色のことだけじゃなくてさ。何のことかって言うと沖縄という場所には、強くて揺るぎない精神性や根の深い文化、人々のアイデンティティー、人が人らしく生きる為に本当に必要なものが揃っているんだ。