音にググッと引き寄せられるように近づいていってビデオ撮影を始めた私。本場のサルサ音楽にうっとりとしながらも撮影に集中していると、ふいにレストランの入り口にいたウェイターさんが踊りだして、私の手をヒョイと握ったんだ。
マジですか!思いもしない急展開になんとかついていこうと、笑顔を引きつらせながらも頑張ってステップを踏んでみる。船の上で習ったサルサのステップを思い出しながら踊っていると、なんだか楽しくなっちゃってどんどんノッてきたよ~。ウェイターさんも私をクルクル回しながら「イイね!」って合図してきた。
そのまま曲の最後まで踊ってもう大満足…と、バンドの近くの席についてすぐさま例のアレをオーダー。生演奏に耳を傾けつつ、店員さんが運んできたキューバリブレを喉にグイッと流し込んだ。
そしてキューバサンドを頬張りながら、「私のキューバでの思い出はこれで完璧、もう思い残すことはないわ」ってその時思ってたんだけど…実は今からがホントのキューバ旅の始まりとなるのだった。
レストランを出るときに、さっき一緒に踊ってくれたウェイターさんに話しかけたら「今晩、いい音楽の店に連れて行くから一緒に踊ろう」と誘われたんだ。話を聞くと、彼は何とプロのダンサーらしい。
余りの都合のいい話にかなり半信半疑になりつつも、でもまぁいいかと誘いに乗ってみることにした。「9時にここで待ち合わせね」と約束してレストランを出る。この短い時間でキューバ人との約束がふたつも。何だか面白い展開になってきたぞ。
第2回に続く…
(取材・文・写真/Hinata)