私は音楽好きで、伝統音楽も昔から興味があってよく聞いてたんだけど、寒い国でも色々と違うんだ。例えば同じ島同士でもアイルランドの音楽は、家の中の暖炉の暖かさみたいに全体がホワッとしてて、寒い中に燃え盛っている火のような雰囲気。
そしてここ、アイスランドの音楽はシンとした深みのある寒さの中に灯る、ローソクのほのかな温もりといった感じでさ。ちょっと繊細さがあるというか、透明感がある。
だけど芯の火は弱くないんだ、むしろ凝固された強い意思がある。そう、ミュージシャンのビョークもアイスランド出身だよね。だけどまぁ、こういうのは個人的な感想だから人それぞれなんだけどね。
結局それから、1時間以上そこにいたんじゃないかな。とにかくたくさんのCDをひたすら聞いて、コーヒーを味わって…お気に入りのアーティストを見つけてCDを購入。エネルギー補充された私たちは、小雨の中また街に繰り出して行った。
そういえばさっき「トロール」に会ったよ。何のことか分かるかな?みんなが知ってるトロールといえばムーミン・トロール。そう、ムーミン谷に住んでいる彼らのことだよ。だけどムーミンはフィンランドで、ここはアイスランド。トロールって言うのは妖精の一種なんだって。この辺りの寒い国一帯に住んでいるみたいだよ。
そうそう、さっき会ったのはぬいぐるみのトロールで。実際に本物のトロールに会ったわけではないんだ、多分ホントに会いたかったら森の中に行かないとダメだろうね。私がさっき会ったぬいぐるみのトロールは、めちゃでかいぬいぐるみでさ、街路樹に背もたれて立っていたんだ。
身長は多分2メートル以上あるかな。けっこう迫力があるから初めて見たら驚くはず。本物のトロールってこんなに大きいのかなぁ、ちょっと怖いよ。ちなみに本の中ではムーミンって、電話帳くらいの大きさしかないらしいんだけど。
ムーミン一家の本もさ、面白いんだよ。彼らは家族みんな冒険が好きでさ、あちこち旅したりするんだ。それぞれが自由でいて、尊重し合って生活してる。とにかく個性が強いからちょっとしたケンカもするけど、基本みんな仲がいい。森の中でいつか出会ってみたいと思える素敵な生き物なんだ。アイスランドのトロールはどんなタイプなんだろうか。そんなことを考えながら街を歩く。