デッキには昨日の半分ほどの人数、だけどオーロラのモヤモヤは昨日より大きく、ちょっとたなびいてる?慌てて撮った画面を見ると、オーロラだ。これ、知ってるやつだ、ちょっと光るカーテンっぽい。
嬉しくなっていっぱい写真を撮るものの、オーロラはかなり薄暗くて私のカメラと腕では限界がある感じ。かなりボケたお化けのようなオーロラと、シャッタースピードを長くしてしまったために星が模様を描いているような不完全な写真しか撮れなくて困ってしまった。
あーあ、しっかりとカメラの勉強しとくべきだったなぁと今更に後悔。心の中でぶつぶつ言いながら撮っている間に、夜空のオーロラは次第にフェイドアウトしていき人々もそれに合わせて一緒にフェイドアウトしていった。
じーんと寒い。周りは閑散としている。なのになんだろう、さっきから何故かお部屋に帰れない。足が動こうとしないんだ、カメラを構えた手もそのままに動かない。寒さにめっぽう弱い生き物だって思ってたんだけど、実は結構いけるんじゃんって自分を褒めてみた。
ジャグジーの台の上に立って、風を避けながらマスト正面のベストポジションを陣取る。ってか、ほとんど人がいないから陣取るも何もって感じだけどね。オーロラは遠くでチラチラと残り火のように小さく薄く揺らいでいる。頭から被った布をぎゅっと閉じ直して隙間風を遮ると、誰かの帰りを待つ時のような芯のある心持ちになってきた。
必ずそれは、現れる。よく分からない確信を抱いたまま、待つこと半時間ほど。周りには全く誰もいないのではなく、ちらりといる。きっと私と同じで、足が動かないのだ。正面を見据えたままカメラを固定する。ややあって船のマストの向こうにチラチラとあったオーロラが、突然に燃え盛るがごとくに勢い良く上に向かって伸び始めた!