さて。陸の旅に戻るとするかな。再びバスに乗り込んで、目指すはバレッタの旧市街。観光バスは一日乗り放題のチケットがあって、そのコースは島の北を回るコースと南を回るふたつのコースがあるんだ。
バスの二階から見えるパノラマの景色にあちこち目を奪われながら、バレッタに向かうまでの途中の街並みを楽しむ。中には現代的なお店が並んでいるようなショッピング街もあるんだよ。だけどほとんどの場所が石造りの建物街となっていて、そんな雰囲気のある大通りをバスはひたすら通り抜けて行った。
バレッタの街全体が世界遺産になっているというのは何故かというと、実は要塞として作られたという歴史があるからなんだ。要塞がある国は、思った以上に世界にある。それだけ昔から戦いはどこにでもあったということなんだけど、そんな要塞の中をこうやって観光する時代が来るなんて、要塞を作った人たちにはその時、想像もつかなかっただろうね。改めて思うけど、今の時代に生きてるってホントに幸せなことだ。
気がつけば、バスはバレッタの旧市街に着いていた。街の入り口を探しながら、人の流れについて行ってみる。橋のような通路を歩きながらふと横を見ると、要塞の切り立った壁と壁の隙間にカフェのようなものが見えた。そんな場所にカフェができるなんて…やっぱり過去からは想像もつかなかっただろうと思うと、時間の流れってとことん不思議だなぁって思う。
だって、今も過去も場所は変わらずに同じ場所なんだよ。ただ時間だけが違うっていうさ。それだけでこんなにも存在の意味が違うものが現れてるんだ。未来には更に、もっと想像つかないものがそこに現れてるのかも知れない。