講演が終わり、会場もそろそろ後片付けの時間。話終わってからナイノアの周りには人だかりが凄かったけど、今はだいぶ落ち着いてきて…これはチャンス。そっとナイノアに近寄って話しかけてみた。彼は私たちにとって少し遠いような存在だから、何だかドキドキしてきたよ。沖縄まで来てくれてありがとう、そう伝えるので精一杯。そしたらさ、笑顔でギュッてハグをしてくれたんだ。
その時、今までに経験したことがないぐらいの心地よさに包まれた。あまりにも深くて穏やかで、気が遠くなる程にとても強い何か。それはどこかホクレア号に乗った時の感覚と似ていて。彼はこの旅で、ホクレアと一心同体だったんだなってその時心底思ったよ。
人の持つ「強さ」って何なんだろうね。力が強いとか気が強いとか、そういうことではなくもっと根源的な所からくる強さというか。私は、それをずっと探していた。きっとみんなも無意識にそれを心の奥深くで求めていると思うんだ。
自分の弱さに負けそうになる時がある。そんな時はどこか世界と切り離された感があっても、孤独や不安の中でその原因を探ることができずにいる。漠然とした違和感の中で日々を暮らすことに慣れてしまうと、笑顔のない日が続いていてもそれに気がつくこともない…何かが悪いわけでも自分が悪いわけでもないんだ。ただ、繋がりきれていないだけ。私と、世界と、あなたとが。
だからこそ探したい。繋がりのある世界を、心の奥底からくる喜びを。それは一体どこにあるの?その問いかけに対する答えをホクレア号は知っている。だから繋ぎ合わせの旅に出たんだ、世界へと。
でもこれは、実際にホクレア号に乗らなければ分からないというものでもない。なぜならホクレア号の旅は答えの全てではなく、答えのひとつの形だから。だけどわかりやすく私たちに示してくれているから、それをヒントに読み解いていくことは可能だと思うんだ。一体それはどういうことなのかってね。
私たちの足元にも答えはある。だけどきっと、体験して実感しないと分からないようなものなんだろうね。あなたや私がそれを心から求めた時に、初めて何かが現れる。それを見てしっかりと掴んでみる…何を通して体験するかは自分で選べるし、時には向こうからやってくるかもしれない。
そこでのポイントは、受け入れてまずは始めてみるということなのかもって思う。だからとりあえずやってみようよ、私たちも。案外それは楽しいことなのかも。自分がどう受け取るか次第でどうにでも変わるものだしね。