ピースボートデッキ > COLUMN > チリ・イースター島編〜Peace on the Boat trip〜
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シリーズ
SERIES:01 Vol.19
2017/12/27
チリ・イースター島編〜Peace on the Boat trip〜
(4/5)

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「鳥人伝説」…それもモアイと同じく政治的権力や支配権を示すためのものだった。それは島に住む幾つかの部族の中で、その島全体を統一できる権力者を決めるためにできた取り決めだった。

 

部族内の一番の勇者が、垂直に切り立った崖を降り海を泳ぎ、島に上陸する。そしてある時期しか来ない渡り鳥の卵を見つけそれを崖の上まで持ち帰り、部族の長に渡す。その卵を一番に得た権力者がこの島のリーダーとなる。

 

土地のための権力争いはいつの時代もあるんだね。生き残るためにみんな色んな形で自己主張をしてきた。そういったものの名残をこの船の旅ではリアルに見ることができる。それはまた、平和とは何かをその場所の視点で感じられるということでもあるんだ。

 

 

そういえばひとつ、不思議だったことがあるんだけどさ。ラパヌイに伝わる伝統文化の中に、日本の「あやとり」に似たものを使う踊りがあるんだ。ホントにそっくりそのままなんだよ。こんなにも遠くに来て自分たちに近いものを見せられると、心底驚く。ここでもやっぱりルーツのことを考えさせられたな。

2・海

 

ラパヌイの古い伝説に「ハウマカの夢」というものがあってね。それによると、彼らの遠い先祖は古代船に乗って遠くヒイヴァという島からラパヌイにやって来たという話なんだ。

 

昔、ヒイヴァの王様のアドバイザーに、ハウマカとういう人物がいた。島が沈む可能性があることを予知したハウマカは、ある日夢の中でイースター島を見つけた。そして島の住民たちはカタマランという形の古代船で星座に基づいて航海し、ここラパヌイにたどり着いた…そういう伝説なんだって。大昔から人々は船で遥かなる旅を重ねていた。果てしなく広がる大海原によって、私たちはどこまでも限りなく繋がっているんだね。

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そんな興味深い話がたくさんあるラパヌイで、ちょっと面白かったのはさ、お土産物にミニモアイ像が手作りで作られていたこと。ちゃんと本物のモアイと同じ素材の石を使ってるって島の人が言ってたよ。結構これが可愛いんだ、意外にさ。モアイに対しての島人のそういうお茶目な部分が見えたから、モアイの持つ存在の怖さというか重さが少し薄らいで、親近感のようなものさえ感じて見れるようになった気がするよ。そんな島人たちの笑顔は、どこか力強くて安心するんだ。

 

この島に住む人々から感じるのは「野生感」。そしてそのワイルドさの中には真っ直ぐ縦に伸びる柱がある。アイデンティティーだ。彼らは生き方においてそれをちゃんと表現している。だからこの島と人々の波動は全く同じ。船の中にいても、隣にロサがいる時はロサからラパヌイを感じるんだ。不思議なんだけど、ホントにそうなんだよ。

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後日、船の上に「Toki」のメンバーがやってきた。彼らの伝統的なダンスをみんなに披露してくれたんだ。それは自然の色んな姿を表現しているダンスで、美しく、たくましく、ラパヌイそのものを表した誇り高いものだった。彼らはシンプルで厳しくもあるラパヌイの大自然の中で、日々、魚を取ったり農業をしたりしながら生活している。小さな島での生活はサイクルがダイレクトでもあるから、自然に対する感謝もきっとまた格別なんだと思う。

 

彼らが発するラパヌイのエネルギーは、その日ステージから会場全体をグッと包み込んで、私たちの中に眠る野生的な記憶を呼び起こして思い出させてくれたんだ。そう、私たちも持ち得るはずの、シンプルな大地の上で生きる力強くて真っ直ぐなエネルギーをさ。

 

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PROFILE
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Hinata(フリーライター)
国内を転々と放浪した後、沖縄にたどり着き12年を過ごす。現在は神戸を中心に活動中。ハワイ好きでフラ歴もあり、ロミロミマッサージのセラピストとしての一面も持つ。好きなことは料理・物作り・音楽・読書・写真・旅などあらゆることに興味はつきない。ピースボートで世界一周の船旅(第90回クルーズ、第92回クルーズ)に参加、その物語を綴る。


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