朝日を全身に浴びながら小さなボートで島に向かった。波の揺れとの一体感はラパヌイと私たちが既に繋がっていることを教えてくれている。ついにあの幻の島に上陸するんだ。島はすぐそばで、大きく両手を広げて待っているよ。
地元の漁師さんたちが操縦するボートは、波がどれだけ荒くても何故か全て任せきってしまってもいいくらいの安心感がある。きっと彼らがラパヌイの海を知り尽くしているからだろう、その意識に合わせると自分までもが勇敢で大胆になれる気がしてくるのが不思議。間もなくボートは大きく波打つ岩場へと横付けされた。
火山の島だけあって、黒いゴツゴツとした岩場が小さな船着場を取り囲んでいる。そのすぐ横手にあるビーチには真っ白な砂浜が広がり、椰子の木が密集して生えていた。そしてそのちょっとした南国感に不似合いとも言える小さめのモアイが6体、海を背にして山を眺めている。近づいて正面から見て見たいと思いつつも迫る時間、ここはまた明日見ることにして早速ラパヌイツアーの車に勢いよく乗り込んだ。
この日参加したのは、植林体験&モアイツアー。実は、ラパヌイには昔たくさんの木々があったんだけど、モアイ作りや部族間の戦いの為に一気に減ってしまったらしいんだ。
木がないと土壌も弱まり、島の侵食が進む一方になってしまう。そんなラパヌイにとって植林は未来に関わってくる大切なこと。島に残る固有種の保存も含めて、ラパヌイの人々は真剣に植林に取り組んでいるんだ。そこでお話を伺ったあとに、実際に種植えなどの農作業を体験。
続いて、島内をぐるっと巡るモアイツアーに出発した。島の色んな場所にモアイがあるんだけど、その空間の雰囲気も違えばモアイの顔も違っているような感じがする。岩を切り出してモアイを製造していた山は、「ラノララク」という名の雰囲気満点の大きな休火山だ。その中腹や火口の中には今でも、切り出し途中のモアイがそのままに放置されているという、そこだけ時間が完全に止まってしまっているような凄い空間があるらしい。
あちこちに点在するモアイはホントに圧巻!大きいものだと20m程にもなるんだって。大自然の中に突如ドンって立ってる、あの感じがやっぱり凄いんだよね。観光地になっているから周りに人もいっぱいいるんだけど、もしここに私ひとりっきりで彼らと対面したらって考えたら…身体の底からゾクゾクしてくる感じだよ。やっぱりモアイはずっと何かを発している、そしてそれは時間を超えてるんだ。