笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。
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「色んな意味でテーマパーク・危険なドリアンは罰金もの?」
街全体がテーマパークのようなシンガポール。いま流行りの「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」以外にも、シンガポールにはとっても素敵な植物園があるんだよ。
その名も「ボタニック・ガーデン」。敷地内はかなり広くって、何と入場無料だっていうから凄いよね。朝から張り切って行ってみたけどあまりの広さに全然まわりきれないという、植物好きには嬉しい限りの場所なんだ。
ここは150年を超える歴史あるボタニカルガーデンで、実はシンガポール初の世界遺産になった場所。ランの交配の研究が有名ということもあって様々なランが見られる。世界最大のランもここで見ることができるんだ。絶滅に瀕している植物の育成や保護にも力を入れているらしく、植物に対して愛情たっぷりの植物園なんだなぁっていうのが感じられるよ。
熱帯系の植物ってさ、何か独特のテイストなんだよね。ひとつひとつが個性が強くて自己主張していて、私を見て!って向こうから声をかけてくる感じがするんだ。花の色はパキッとしていて鮮やか、木も大きくって根っこがしっかりしてる。そして大量の水を吸い上げているような、水分の濃厚な気配。そばにいると空気から微妙にそれを感じ取れて、まるで自分も一体化したかのような潤い感を味わえるのが面白い。じっくりと時間をかけて植物を見てまわると、体が内側からどんどん緩んでいくのが分かるよ。
この日は少し雨も降ってたから土の香りがふんわりと漂い、植物も雨に濡れてしっとりと妖艶さを増していた。今にも動き出しそうな彼女たちはこちらに話しかけてくるようで、うかつに近づこうものなら花の中に吸い込まれてしまいそうなくらいの生命感。南国の小島に紛れ込んでしまったような植物の楽園っぷりが凄い。そしてここはこれだけの広さがあるのに、隅々まで手入れされていてホントに綺麗で、文句のつけようがないんだ。
昼間の植物たちは、光合成をしながらたくさんの酸素を送り出している。太陽と植物から生まれ出た空気は一種の甘みと温かさをもって、小さく呼吸を繰り返す私たちの奥深くまで沁み届く。そして気がつけば体の中は柔らかなその空気に満たされて…だからかな、どこか花が開くかのような穏やかな心持ちになってくるんだ。
熱帯植物のトロリとした空気感に癒されながら呼吸は次第に深まり、私たちは本来の呼吸を取り戻す。植物たちは何も言わずとも自然界のリズムを与えてくれる、そんな存在だ。体の中からすっかり入れ替わった私は、軽くなった足を軽快に運びながらボタニック・ガーデンを後にした。
気分もスッキリしたところで「リトルインディア」に寄ってみようと思いつき、電車の駅に向かう。いわゆるインド人街なんだけど、結構大きな街らしくてさ。電車の駅の名前も「リトルインディア」だからすぐに分かるということで、ワクワクしながら電車に乗ってみた。
「地下鉄の長いトンネルを抜けるとインドだった」…うーん、情緒というよりかは笑いの要素が漂っているような一節になるのは何故なんだろう。
リトルインディアの街に着くと、さっきまでの植物感漂う酸素空気から一転して、人の気配がとにかく濃厚な二酸化炭素空間が広がっていた。そのあまりの変化っぷりに驚いたけど、これはこれで面白い。カレー的な香辛料やらお香やら、あちこちからインドチックな匂い攻撃。そういえば日本の空港って、外国人に言わせると醤油みたいな匂いがするって聞いたことあるな。自分では全くそうは思わないし、日本人は気づいてないかも。普段慣れている匂いには全く気づかない反面、慣れていない匂いには誰も敏感になるようなもんなんだね。とにかくインド人街は目を閉じてもとことん、どこまでもインドだった。
歩いていると美味しそうなカレー屋さんを発見、勢いよく入ってみたら当たり前のようにインド系な人々だらけな店内。カウンターの数並ぶカレーを指差してあれこれ注文して待ってたら、お皿ではなくて大きな葉っぱにカレーやらご飯やらが乗って出てきた!いいねー、テンションがググッと急上昇。これは片手の手づかみで食べたいよねって思ってトライしてみたけど、米はちゃんと掴めなくてパラパラ落ちるわ、カレーは指の隙間を伝って手のひらの方に流れてくるわ…やっぱ無理無理ってなって、あえなく断念。みんな気軽にやってるけどあれは特殊な技術だったんだな、いつかインドに行く時があれば是非リベンジしてみたい手技だ。
美味しいカレーに大満足して店を出る。スパイスって食事の満足感をグッと高める気がするよね。ふらふらと街を歩いているとヒンドゥー寺院やらカレー屋さんやら、八百屋さんのBGMもポップなインドミュージック。あれ、今日はインドに来たんだっけ…ここはシンガポールだってことを何度となく忘れては思い出す。ちょっとした隙間に神様の像が置いてあったりしてさ、それが野菜の横に並んでいたりするのも可笑しいんだけど妙に頷ける。リトルインディアは、インドの人たちの信仰のポップさとその日常感が伺える濃厚空間だったよ。だけどさすがに牛は歩いてはなかったんだよね、ちょっと残念。
電車で中心街に戻ってみると、遠くの方にシンガポールのシンボル「マーライオン」が見えた。あれが噂の!是非見てみなければ~と足早に向かう。時々その姿を見失いながらも、巨大なショッピングセンターの中からその広場へと移動していく。さっきからだいぶ歩いているにも関わらず、まだ小さく見える。そんなにも遠いのか?という疑問と共にグングンと距離を狭めてゆく私。そして、やっとマーライオンの真横に到着してその姿を見上げてみる。えーっと、そう、なのね。想像していたマーライオンとはやや違った、かなりコンパクトであらまぁーなライオンにしばし目を奪われる。「あれ~、間違えたかなぁ、ここじゃあないのかもなぁ」と、とりあえず言葉に出して言ってみても何も変わらない現実がそこにあった。
そうそう、シンガポールには独特の言葉があるんだ。その名も「シングリッシュ」!
これはシンガポールとイングリッシュを足してできた言葉でさ、マレー語や中国語も混じってる、英語のシンガポール方言的なもの。独自の進化を遂げている面白い言語なんだよ。どんな感じかっていうと主語や動詞の変化がなかったり、文法を無視して文章を短くしていたりでとにかく自由度が高い。英語を話せる人からしたら逆に意味が分かりにくいらしいんだけど、日本人にとっては使いやすい存在かも知れないね。
そのシングリッシュでもよく使う代表的な言葉が「Shiok(シオック)」。美味しい、凄い、素晴らしい!といった意味のほめ言葉。とにかく幅広く使える言葉らしいと噂には聞いていたんだけど…見つけたよ!ご飯屋さんの美味しそうな看板の前に大きく「Shiok!」の一文字が。こうやって旅の前に習ったものが旅先で出てくると嬉しいんだよね。あっ、あれだ!って思って写真撮ったりして。何にでも使えるほめ言葉みたいだから、是非覚えてみてね。
ふたたび電車に乗って移動する。そういえばどこの国に行ってもよく使うのが電車なんだけどさ。乗るたびにいつも面白いなあって思うんだよね。シンガポールの電車はね、日本の電車となんとなく似ている雰囲気があって。小綺麗だし、乗っていても異国にいる感じがあまりしないんだよなぁ、なんて思って周りを見渡していたんだけど…はい注目~!オモシロ看板みっけ。よくある注意看板なんだけどさ。座席の座り方とかマナー違反とか、注意書きがあるよね。世界各国それぞれにマナーも色々あって当然。
赤い丸印の中に食べ物の絵があって、それに赤で斜め斜線。車内は飲み食い禁止、なるほど。その下に罰金の金額まで書いてあるよ、500シンガポールドルだって。その隣はタバコ。まあ車内は普通禁煙だよね、わかるわかる。タバコは1000シンガポールドルでちょっと高め。その隣は爆発物かな?持ち込み禁止で5000シンガポールドル。で、その隣。なんと赤丸の中にはドリアン。「No durians」ってしっかりと書いてありますよ。
さすがに罰金金額までは書いてないな。最初はギャグかと思ったんだけど、本当に持ち込むとダメらしい。ウソみたいな話だけど以前はドリアン罰金もあったんだってさ。分かる気はするよ、匂いの責任取ってくださいって言いたくなるもの。たかが匂いくらいでって思う人には、是非ぜひお薦めします。これは体験してみないと分からないものかも知れないので、はい。それにしても、シンガポールの刑罰は厳しくて有名みたいだよ。チューインガムも持ち込み禁止、罰金もあるということで見つかると大変。皆様くれぐれもお気をつけくださいな。
そうそれで、ドリアンなんだけどさ。匂いはホントにヤバいかも、特に密閉空間で嗅ぐとノックアウトだ。どんな匂いって、例えるとフルーツなのに肉まんの匂い。玉ねぎが腐ったようなとも言われてるけど、とにかく微妙だ。なのに何で南国のみんなはあんなに好きなんだろうね。調べてみると、なんと栄養価はめちゃくちゃ高いらしいんだよね。「熱帯果実の魔王」って書かれてるよ、ちょっとウケるわ。ベトナムでもフルーツショップに山積みにされてたよ、魔王。世界はホントに様々だ。
シンガポールは買い物天国。その上、電車でまわれる範囲の近場で色々遊べるから便利だよ。たくさんの国のあらゆるものがコンパクトにまとまってる感がある。中華街も大きくて見ごたえあるし、外国人街や、夜の飲み屋街に出ると更にその混沌としたディープ感を味わえる様子。華やかでとっても賑わっているんだ、人種のるつぼって感じかな。植物もインドもマーライオンもドリアンも是非、実体験して欲しい代物だ。そんな色んな意味で、「あっちこっちがテーマパーク」といったアトラクションが満載の近未来的シンガポールの街。短い滞在でも、あれこれ楽しめること間違いなしの国だったよ。
「PHOTO GALLELY」