ビール好きは人類共通!?
ビールが美味しい季節になってきました。ビール酒造組合WEBサイトによると、ビールの起源は紀元前8,000〜4,000年に遡るといわれ、人類最古のシュメール文明の時代にはすでにビールが飲まれていたそうです。
産業革命時代の英国では、インドに派遣された邦人に送るために、長距離輸送と赤道通過に耐えられるビールが開発されたという逸話も。そうまでしてビールが飲みたかったのかと、ビールの引力に驚きます。
南半球を一周したピースボート第93回クルーズでも、巡った国々のビール普及率は100%。Bar、カフェ、レストラン、市場の売店、スーパーマーケット、そしてビーチと、さまざまなシーンで出会った世界のビールをまとめてご紹介します。
冷蔵庫に常備したい!パタゴニアの「BEAGLE」@アルゼンチン
全19種類中、一番美味しかったのはこちら。クラフトビールは味に個性があるので好みがわかれるところですが、こちらは味わい深いのに濃厚すぎず、香りにもクセがない。日本の大手メーカーが誇るプレミアムビールのクオリティに、そこはかとなく野生的なフレーバーが加わった旨味。日本に輸入して、冷蔵庫に常備したい美味しさです。
「BEAGLE」という名前の由来は19世紀に遡ります。チャールズ・ダーウィンがビーグル号という船で地球を一周。そのときに通った海峡が「ビーグル水道」と名付けられており、別記事で紹介したウシュアイアはビーグル水道に面した街です。
楽園で飲むビール「HINANO」@タヒチ
褐色の肌と黒髪の美女が印象的なパッケージの「HINANO」。世界一周して、ボラボラ島を周遊するボートの上でこれを飲めたのですから、人生、もう何も言うことはありません。
コパカパーナビーチで缶ビール@ブラジル
ブラジル第二の都市リオデジャネイロには、中心部から車で30分程度のところに、ひろびろとして陽気な雰囲気のコパカパーナビーチがあります。そのビーチに並ぶパラソルの下で、クーラーボックスで冷やして売られていた缶ビールを3種類。薄いので水のようにゴクゴク飲んでいると、お兄さんたちがおつまみやモヒートを売りに来ました。
こんなところで日がな一日のんびりしたいですね。
タンゴ・ショーと昼ビール@アルゼンチン
アサード(牛肉の炭火焼)レストランでワインをたっぷり飲んだ後、ブエノスアイレス中心部からタクシーで20分ほどのところにあるカミニートエリアへ。
アーティストたちがつくった、色彩あふれるおもちゃ箱みたいな楽しい街です。流しのダンサーによるタンゴのショーを間近に鑑賞しながら、オープンカフェでビール!
サファリでラガー@南アフリカ共和国
南アフリカ共和国とモザンビークの国境付近に位置するクルーガー国立公園のレストランにて。このビールを飲んで15分後には野生のゾウに遭遇していました。
キリンにも。
ヒョウにも。
チーターにも。
アフリカの大自然で飲むビールは、言わずもがな最高です。
ソパ・デ・マリスコスとビール@チリ・バルパライソ
ソパ・デ・マリスコスとは、魚介がたっぷり入ったスープのこと。そこは長い海岸線を持つチリのこと。ムール貝やエビ、アサリがてんこ盛りで出てきました。ビールは、チリで寄港したもうひとつの街「プンタアレナス」で醸造された「cerveza AUSTRAL」(直訳すると「南のビール」)の「PATAGONIA PALE ALE」をチョイス。濃厚なスープに負けない、濃厚な味わいでした。
屋台飯にはやっぱりビール@シンガポール
蒸し暑い外で飲むビール、最高でした。銘柄はシンガポールを代表するTiger。
ホーカーズと呼ばれる屋台村で、テーブルいっぱいにB級グルメを並べて乾杯!
夜カフェでビールとセビーチェと@ペルー・リマ
ペルーでは、オーシャンビューのショッピングモール「ラルコ・マール」からリマの商業の中心地「ミラフローレス地区」をお散歩。
最後は、ミラフローレス地区のおしゃれな夜カフェで、南米料理の代表格セビーチェ。マチュピチュ柄のビン入り&「PARAISO〜楽園」の名を持つ地ビールを。
さっぱり系の南国ビール @マダガスカル〜モザンビーク
マダガスカル、モーリシャス共和国、レユニオン島、モザンビークの島々でもビール。
マダガスカルの「GOLD」
モーリシャス共和国の「PHOENIX」
レユニオン島の「BOURBON」
どれもさっぱり系。たくさん汗をかく南の島には、明るいうちから飲んでもすぐ汗になる、ライトなビールがぴったりです。
新疆ウイグル自治区のクラフトビール@上海
トリップアドバイザーで発見し、強烈に興味を惹かれて訪れたレストラン「錫伯新疆餐庁」は、新疆ウィグル自治区のお酒や料理を出すお店。新疆ウィグル自治区は、モンゴル、中国、チベット自治区、インド、パキスタン、キルギス、タジキスタン、カザフスタンという8つもの国や地域と国境を接しています。ビールはこちらのクラフトビール。自分たちが暮らす場所の地名を冠したビールを醸造していると、地域の誇りを感じます。きっと個性があって、旅をしたら楽しいんだろうなあ。いつか行ってみたい場所のひとつになりました。
どんなに遠く日本を離れても、行く先々で「あ、やっぱりあった」と、気づけばビールを買っていました。いろいろなテイストにアレンジされ、銘柄という上着を着替えながらも、世界中どこにでもあるビール。どんなシーンにも馴染むビールは、まるでほがらかな旅人。世界がひとつづきであることを感じさせてくれます。
(取材・文・写真/浅倉彩)